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「公的年金シミュレーター」で将来の年金額を試算して投資計画に役立てよう

トウシル / 2024年12月24日 7時30分

「公的年金シミュレーター」で将来の年金額を試算して投資計画に役立てよう

「公的年金シミュレーター」で将来の年金額を試算して投資計画に役立てよう

公的年金シミュレーター、知ってますか?個人の年金加入データから試算ができる無料サービス

 厚生労働省が最近リリースしたサービスの中で、特にオススメなものをあげろ、と言われたら「公的年金シミュレーター」を推します。

 これは公的年金の受取額を「個人的」に試算できるものです。公的年金の受取額は、ニュースで言われる「モデル額」はあまり意味がありません。当然ですが、モデル額より少ない人もいるし、多い人もいます。そもそもモデル額自体が「夫婦。夫は会社員40年、妻は専業主婦40年」という非現実的なものなので(だから「モデル」なのです)、リアリティがありません。

「ねんきん定期便」というハガキが、誕生月になると郵送されてきます(電子化を選択し、郵送不要を選択した場合を除く)。このねんきん定期便には、直近までの保険料納付状況と、それに基づく年金額が記載されています。

 30歳の人は20歳から10年分の保険料に相当する年金見込額を表記するため、年金額はごくわずかのようにみえます。国民年金額が年20万円と記載されていれば年金不信にもなりますが、40年納付するうちの10年しかまだ納めていないため、そう表示せざるを得ないのです。

「じゃあ、自分が65歳になったときはどれくらいになるのよ」という疑問に答える仕組みのひとつが公的年金シミュレーターです。これを使えば「このまま働き続けたら、年金額はどれくらいになるか」が簡単に分かります。

 また、これを生かすことで「自力でどれくらい資産形成をするべきなのか」「どれくらいリスクを取るべきなのか」を考えるヒントも手に入ります。ここから、この公的年金シミュレーションについて少し紹介してみたいと思います。

(50歳以上の方には「このまま60歳まで働いた場合」の65歳の年金見込額が表示されています)

試してみたいのは「65歳まで働いた場合」と「繰り下げた場合」

 ねんきん定期便を開くとQRコードが二つありますが、このうちの一つが「公的年金シミュレーター」にダイレクトにリンクするものです。あなたの加入履歴などを引き継いで試算できるので、まずはスマホで撮影してみましょう。

 公的年金シミュレーターの画面に移動すると、生年月日などの確認を求められますが、それらが完了するとすぐに年金額の見込みが表示されるはずです。

 シミュレーターで試していただきたいのは、三つのスライドバーで自分なりのカスタマイズをしてみることです。具体的には、

  • 今後の年収はいくらくらいで働くか(収入増が年収増にどれくらい反映されるか)
  • 何歳まで働くか(長く働いた場合の年金増額の確認)
  • 何歳から年金を受け取るか(繰り下げ増額の確認)

の三つが確認できます。基本的にはスライドバーの動作なので、適当にスライドしては修正してみる、みたいな使い方でもOKです。むしろ年収、働く年月、繰り下げのそれぞれが与える影響がダイナミックであることを直感的に理解できると思います。

65歳まで働けばおそらく会社員の年金は怖いものではない

 若い方の年金額に大きく影響するのは「これから先の年収」です。今は年収が低い場合でも、今の年収のプラス100万から200万円くらいを入力してみましょう。キャリアアップは目の前の生活だけではなく、将来の年金増額も導くことが目に見えて分かるでしょう。

 65歳まで働くようにスライドバーを修正することも有効です。現在でもほとんどの人が65歳まで働いていますが、これを加味するだけでも年金額がぐっと増えます。単純に40年分の保険料と45年分の保険料は、それだけで12.5%長期間にわたって納めるわけですから、年金額にもそれなりに反映されるわけです。

 世論の反対が多かったため今回は法改正が見送られましたが、老齢基礎年金(国民年金に相当する一階部分)について、45年化されていれば基礎年金分も12.5%増になり、会社員に有利だったのですが(会社員にとっては反対することが損だった)、こちらの実現は次回以降の改正に期待しましょう。

 最後の要素である繰り下げも年金額を大きく変えます。現在、半数以上の60代後半の男性が働いているとされています。67~68歳まで働いてリタイアすると年金額がどれくらい増えるのか、自分の目で一度チェックしてみてください。「死ぬまで働かされる……」と考えるより、年金増額を意識したほうが働くモチベーションにもなるはずです。

 このように三つのスライドをいろいろいじってみると「会社員の年金はそこそこもらえるもんだな」ということが分かるはずです。場合によっては、モデル年金額(夫婦で月23万円ほど)を1人でもらえることもあるでしょう。

年金の受給見込みを資産運用計画にも生かしてみよう

 個人投資家はしばしば、公的年金を過小評価する傾向があります。しかし、私はむしろ個人投資家こそ、公的年金の現実的な水準を理解し、自分の投資計画に生かすべきだと思います。

 年金制度の破たんは考えにくく(破たんを意識するなら、老後に1億円の資産形成を全国民が考える必要がありますが、これは非現実的でしょう)、日常生活費をやりくりする程度の年金水準はなんとかもらえると考えてみれば、老後のマネープランはシンプルになります。つまり、

(公的年金収入)=(日常生活費)

(個人の資産形成)=(老後のゆとりや楽しみ予算+手をつけない資産)

と整理し、どこまで貯めてどこまで老後の豊かさを確保するかを考えればいいからです。

 iDeCo(イデコ:個人型確定拠出年金)やNISA(ニーサ:少額投資非課税制度)をできる範囲で積み立て続け、そこに退職金を加えれば、ほとんどの人にとっては老後というのはそれほど怖いものではないはずです。

「私の生活水準は老後も高い。ゆえにどんな公的年金額であろうと大幅に不足するだろう」「毎月5万円の取り崩しとは別に、自分は2,000万円くらい確保しておきたい」というような人であっても、それを具体化する手助けになります。

 やみくもにiDeCoとNISAを上限額いっぱいまで積立投資し、目の前の生活を極限まで切り詰めるというのはなかなか継続できません。

 また、投資に求める期待リターンを過大なものとせざるを得ない投資計画を立案することはおすすめできませんが、現実的な年金収入を理解することで適正なリスクを取った運用計画に修正できるかもしれません。

 自分の運用方針を見直すヒントとして、年末年始に公的年金シミュレーターをチェックしてみてください。

(山崎 俊輔)

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