【2024年10大ニュース】S&P500連日最高値、エヌビディア時価総額世界1位など:7~10位
トウシル / 2024年12月23日 18時51分
【2024年10大ニュース】S&P500連日最高値、エヌビディア時価総額世界1位など:7~10位
2024年10大ニュースをアンケート集計!
2024年は投資家にとってどんな年だったのでしょう? トウシルはこのほど、お金の専門家や個人投資家が選ぶ「2024年金融・経済10大ニュース」を決定しました。
プロのアナリストや、投資で成功を収めた個人投資家の目には、今年1年がどのように映ったのか。株式市場に影響を与えた10大ニュースを振り返り、新年の幕開けに備えましょう。まずは10位から7位のニュースを順に見ていきます。
アンケート実施方法:トウシルが選んだ32の金融・経済ニュースの中から、「特に重大」と思うニュース1~5位の回答を得た。1位に5点、2位4点、3位3点、4位2点、5位1点と配点し、アンケート結果を集計した。アンケート期間は12月4~11日。
10位:エヌビディア、時価総額世界1位に。生成AIブーム続く
米オープンAIが対話型AI(人工知能)「Chat(チャット)GPT」を公開してから、11月末で2年が経過。生成AIブームはとどまることなく、文章や画像の作成、データ分析など、幅広い分野で技術の応用が進みました。
株式市場では、米半導体大手エヌビディア(NVDA)がAI関連の花形株として君臨。AIの学習に欠かせないGPU(画像処理半導体)で世界トップシェアを握り、独走を続けています。
同社の株価は2024年だけでも前年末比2.7倍に上昇しました。
6月18日には、投資家がその企業につける「お値段」といえる時価総額が約3兆3,400億ドル(1ドル=150円で計算して約500兆円)を記録し、米マイクロソフト(MSFT)を抜いて初めて世界1位に躍り出ました。
エヌビディアの株価上昇を支えているのはその驚異的な業績成長です。AI技術を駆使したデータセンターの増強に必要な高性能半導体の販売を伸ばしています。
同社の決算発表には、世界中の投資家が注目を集めます。決算発表後に同社の株価が上昇すれば、米国や日本の半導体関連株が買われる「エヌビディア祭り」、逆に下落すれば関連株も売られる「エヌビディア・ショック」と、世界の株式市場に大きなインパクトを与えるからです。
11月に発表した2024年8-10月期の売上高は前年同期比90%増。今後も高成長を維持しそうです。
回答者のコメントは?
「生成AIは、世界中のビジネスのやり方を根本的に変える変革を生じると思っている。今年よりも来年、さらにAI関連で大きなニュースが増えると予想する」(窪田真之)「地球上で一番注目の決算と表現されました。こんな会社は二度と出てこないような気もしますし、米国ならまた出てくるような気もします」(岡村友哉さん)と、今後の成長拡大に期待が寄せられました。
9位:米FRB、4年半ぶり利下げ開始。金融引き締めから転換
中央銀行が金融政策を転換すると、株式市場に多大な影響があります。
中でも、米国の中央銀行に当たるFRB(連邦準備制度理事会)は世界の基軸通貨であるドルの政策金利を決めているだけに、絶大な影響力を持ちます。
そんな米国FRBは2024年9月のFOMC(米連邦公開市場委員会)で、4年半ぶりとなる政策金利の引き下げ=利下げに踏み切りました。
利下げ幅は通常の倍となる0.5%でした。
さかのぼること、2022年6月。米国のCPI(消費者物価指数)は前年同月比9.1%を記録する物価高に見舞われていました。背景には、コロナ禍明けの物流停滞や人手不足、ロシア・ウクライナ戦争による資源価格高騰の影響があります。
当初は物価高を一時的なものとして様子見していたFRBですが、2022年3月からはインフレ退治のために利上げを開始。2023年7月には政策金利の上限を5.5%に引き上げて物価高の鈍化を見守ってきました。
そして、2024年に入って物価上昇率がFRBの目標とする年率2%台まで下落したことを受け、利下げ路線に政策を転換しました。
利下げを行うと株式市場にお金が流れ込みやすくなるため、株価にとっては大きなプラスです。FRBは11月、12月にも0.25%の追加利下げを行いました。これが、2024年後半の米国株を大きく上昇させた一因であることは間違いありません。
回答者のコメントは?
「物価など経済指標の多くは『前年同月比』で公表されている。2024年のFRBの利下げ実施が、前年同月比ではカバーできない物価の高止まりが続く中で行われたことで今後のFRBのかじ取りが難しくなった感は否めない」(吉田哲)と先行きを心配する声のほか、「FRBが利下げ局面に転じたことから、ドル安圧力が続く展開になった」(ハッサクさん)と、為替市場のトレンド転換を予想する声もありました。
8位:活況の米国株市場。ナスダック、S&P500、NYダウで連日最高値更新
2024年は米国株の上昇ぶりが際立った1年でした。
米国の個人消費は、物価高にもかかわらず底堅く推移しました。主にサービス業を中心に好調が続き、FRBの高金利政策を受けても景気はハードランディング(景気後退)に陥ることなく、ソフトランディング(軟着陸)を続けています。
2024年前半はエヌビディア(NVDA)を筆頭にAI関連株が米国株をけん引しました。
2024年後半は、景気敏感株、金融株、資源株、防衛関連株なども上昇。11月の大統領選挙で圧勝した共和党のトランプ次期大統領が減税や規制緩和などを掲げたため、業績に好影響を受ける株が買われました。
巨大IT企業を中心に米国の優良企業500社を集めたS&P500種指数は、ハイテク株の上昇で2024年1月19日、約2年ぶりに史上最高値を更新。
その後も2024年は54回も史上最高値を更新し、年間の上昇率は前年末比27.5%超を記録しました(12月2日時点の終値ベース)。
ハイテク株が集まるナスダック総合指数も、2023年はFRBの高金利政策で大きく売り込まれたものの、エヌビディア(NVDA)の躍進もあって2024年2月29日に約2年3カ月ぶりの史上最高値を更新。2024年の上昇率は33.5%に達しています(12月11日時点)。
回答者のコメントは?
「米国株式の強気相場が世界株式の堅調をリードし、新NISA(ニーサ:少額投資非課税制度)で外貨建て株式分散投資を実践した個人投資家がリターンを実感できた」(香川睦さん)、「2024年の米国実質GDP(国内総生産)は3%近い成長、ノーランディング(着陸なし)を達成。生産性も高くグロース企業がけん引。景気、企業業績、イノベーションに裏付けられた高値更新を評価」(倉持靖彦さん)と、多くのプロが米国株の強さに拍手喝采を送っています。
7位:衆院選で自公大敗、少数与党に。石破茂政権、10月本格始動
岸田文雄前首相の首相辞任表明を受けて、9月に投開票された自民党総裁選は、史上最多の9候補が乱立する混戦になりました。
第1回の投票では、アベノミクス継承を表明していた高市早苗氏が1位の座を獲得しましたが、2位の石破茂氏との決選投票が行われると、予想に反して石破茂氏が大逆転。首相に就任した石破氏は衆議院の早期解散に踏み切りました。
しかし、選挙期間中に石破氏が裏金問題で自民党の公認候補から外した議員が、所属する政党支部に2,000万円の活動費を支給していたことが判明。
裏金問題に対する国民の反発はますます強いものとなりました。自民・公明の与党は、10月に投開票された衆議院選挙で、過半数の233を下回る215まで議席を減らす大敗を喫(きっ)しました。反対に野党の立憲民主党や国民民主党は議席を大幅に増やして躍進しました。
ところが、自民党が大敗して政治が不安定になったにもかかわらず、選挙日翌日の10月28日、日経平均株価は691円も上昇。
自公政権が少数与党に転落したことで、逆に国民民主党が主張する「年収の壁」撤廃など、株高につながる減税などの政策が実現しやすくなる、という期待感も日本株が大きく下落しなかった一因といえるでしょう。
回答者のコメントは?
「岸田首相の低い支持率でも日経平均は上がり続けたことや、自民公明が惨敗したにもかかわらず、日経平均が3万9,000円水準を維持するなど、『政治と経済』が別物になってしまったことを痛感した出来事だった」(田代昌之さん)といった驚きの声のほか、「103万円の壁議論は減税であり、官から民への資金の移動、つまり『金融緩和』を意味するため、大きなニュース。株式市場にとってもインパクトのあるもの」(DUKE。さん)など国民民主党に期待する声も寄せられました。
アンケート結果は以上です。10位から8位までは絶好調な米国株やそれを後押ししたFRBの利下げ路線への転換に関するニュースが並びました。2025年も米国株の上昇が続く限り、日本株も好調に推移しそうです。自公政権の少数与党転落(7位)によって、減税など国内消費の活発化につながる政策の実現に期待が持てるようになりました。2025年の日本株にとって引き続き楽しみな好材料になりそうです。
アンケート協力※50音順
個人投資家:えま、エル、カブ主優待ライダー、すぽ、たぱぞう、DUKE。、DAIBOUCHOU、弐億貯男、バンクアカデミー、ぽんちよ、ほっすん、まる子、むらやん、虫とり小僧、はるあき、ようこりん、Rょーへー
専門家:株式コメンテーター・岡村友哉、マリン・ストラテジーズ シニアマーケットアナリスト・香川睦、パラソル総研 執行役員副社長兼フェロー・倉持靖彦、金融文筆家・田代昌之、ハッサク
楽天証券経済研究所:チーフエコノミスト・愛宕伸康、客員研究員・加藤嘉一、チーフ・ストラテジスト・窪田真之、客員研究員・田中泰輔、コモディティアナリスト・吉田 哲
(敬称略)
(トウシル編集チーム)
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