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「タカ派FRB・ハト派日銀」で円安進むも、日経平均下落。悪い円安?(窪田真之)

トウシル / 2024年12月23日 8時0分

「タカ派FRB・ハト派日銀」で円安進むも、日経平均下落。悪い円安?(窪田真之)

「タカ派FRB・ハト派日銀」で円安進むも、日経平均下落。悪い円安?(窪田真之)

円安でも株安

 先週の日経平均株価は、1週間で768円下がって3万8,701円となりました。先週は、日米金融政策の発表を受けて、1ドル=157円台まで円安が進みました。円安が進むと、外国人の買いが入って日経平均は上昇することが多かったのですが、先週は「円安で株安」となりました。

日経平均週足:2023年1月4日~2024年12月20日

日経平均週足:2023年1月4日~2024年12月20日
出所:QUICKより楽天証券経済研究所作成

「タカ派FRB、ハト派日銀」で円安

 先週は、日米の金融政策発表を受けて、ドル高円安が進みました。発表された内容は、事前の市場想定とほぼ同じでした。あえていえば、パウエルFRB(米連邦準備制度理事会)議長は市場想定よりもタカ派色が強く、植田和男日銀(日本銀行)総裁は、想定よりもハト派色が強かったと言えます。「タカ派FRB・ハト派日銀」に反応して、ドル高円安が進みました。 

 12月18日(日本時間19日早朝)、FOMC(米連邦公開市場委員会)の結果が発表されました。19日昼に、日銀金融政策決定会合の結果が発表されました。結果は以下の通りです。

先週発表された日米金融政策の内容

先週発表された日米金融政策の内容
出所:各種資料より楽天証券経済研究所作成

 FRBは、0.25%の利下げを実施したものの、2025年の利下げ回数(FOMCメンバー予測中央値)は、4回(前回予測)から2回(今回予測)に減少しました。来年、通常スケジュールではFOMCは8回開催されます。8回のうち、2回だけ0.25%の利下げが実施されるという見通しが示唆されました。

 トランプ次期政権の政策によってインフレ再燃の懸念もあり、「利下げ終了が近い」可能性を示唆したと取ることもできます。

 一方、日銀は、利上げを見送りました。輸入関税の引上げなどトランプ次期政権の政策によって日本および米国の景気にダメージが及ぶリスクを気にしています。また、日本で賃上げ・値上げの良い循環が起こることに、確信が持てないと表明した面もあります。

 以上、まとめると、円安が進んだ背景は、株式市場にとってポジティブなものではありません。トランプ次期政権の政策によって米国でインフレが再燃する懸念、日本がデフレに逆戻りする懸念によって、円安が進んだと言えます。いわば、悪い円安であり、それによって日本株が売られたのは当然とも言えます。

日米金利差が縮小する中で円安、いつまで?

 ドル/円為替レートを動かす最大のファクターが、日米金利差であることは変わりません。これまで長年にわたり、日米金利差が拡大すると円安となり、日米金利差が縮小すると円高になるトレンドが続いてきました。

 2024年の年初「今年は円高になる」という予想が多かったのは、2024年はFRB利下げ・日銀利上げによって日米金利差が縮小すると考えられていたからです。実際、今年は予想通り、日米金利差は縮小しました。ところが、金利差が縮小する中で、円安が進む珍しい年となりました。

ドル/円為替レートと、日米2年金利差の月次推移:2020年1月~2024年12月(20日)

ドル円為替レートと、日米2年金利差の月次推移:2020年1月~2024年12月(20日)
出所:QUICKより楽天証券経済研究所が作成

 日米金利差が縮小したとは言っても、まだ大きく開いた状況に違いません。2024年は金利差をねらって、円売り・ドル買いをしかける動きが続きました。

 2025年はどうでしょう? ここからさらに日米金利差が縮小すれば、円高に反転することが考えられます。ただし、急激な円高は想定されません。FRBの利下げピッチは遅く、日銀の利上げピッチも遅くなる可能性があるからです。2025年は、日米金利差がさらに縮小するものの緩やかに円高にとどまると考えられます。2025年末1ドル=140円くらいを想定しています。

日本株の投資判断

 結論は、いつも述べていることと変わりません。日本株は割安で、長期的な上昇余地は大きいと考えています。日経平均は4年以内に、5万円まで上昇すると予想しています。

 ただし、来年1月にかけて下値を一度トライするリスクもあります。トランプ次期政権をめぐる不透明要因が大きく、1月にかけてショック安に注意が必要です。

 時間分散しながら、割安な日本株を買い増ししていくことが、長期的な資産形成に寄与すると考えます。

 最後に「株トレ」新刊出版のお知らせです。ダイヤモンド社より8月に、以下、私の新刊が出版されました。

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▼著者おすすめのバックナンバー

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(窪田 真之)

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