今週の日本株は円安進行で底堅い!?2025年トランプ時代到来間近で人気株に変化の兆し!
トウシル / 2024年12月23日 13時5分
今週の日本株は円安進行で底堅い!?2025年トランプ時代到来間近で人気株に変化の兆し!
先週は米国の金融政策を決めるFOMC(米連邦公開市場委員会)で示された来年2025年の利下げ回数予想が米国株急落の引き金になりました。
予想通り0.25%の追加利下げが行われたのは朗報でした。
しかし、FOMC参加理事たちが今後の政策金利の水準を予想した分布図「ドットチャート」の2025年末の政策金利予想の中央値は3.9%と前回9月時点から0.5%高くなりました。
これは2025年内に0.25%の利下げが4回行われる予想だったものが、たった2回に引き下げられたことを意味します。
米国の中央銀行に当たるFRB(連邦準備制度理事会)が想定以上に高金利長期化を容認するタカ派色を打ち出したことで、機関投資家が運用指針にするS&P500種指数は18日に前日比2.95%も急落しました。
2025年の利下げペースが非常に緩やかになることを受けて、米国の長期金利の指標である10年国債の利回りは一時4.6%台寸前まで上昇しており、今後も株価の上昇を阻む障害になりそうです。
ただ20日(金)発表の11月個人消費支出の価格指数(PCEデフレーター)が予想を下回る前年同月比2.4%増だったことで物価高再燃懸念がやわらぎ、米国株は大きくリバウンド上昇。
S&P500種指数の下落率も週間では前週末比1.99%安にとどまりました。
一方、19日(木)終了の日本銀行の金融政策決定会合では観測通り、追加利上げは見送りになりました。
その後の記者会見で植田和男日銀総裁は「賃金動向についてもう少し情報が必要」と発言。
これは2025年の春闘集中回答日がある3月中旬までは利下げしないことを暗に匂わせたようなものだったため、2025年3月19日(水)終了の会合以降まで日銀は追加利上げをしないのではないかという見方も出てきました。
日米金利差縮小が見込まれないことから20日(金)には一時1ドル=157円90銭まで円安が進行。米国の物価指標が鈍化したこともあり、1ドル=156円30銭台で先週の取引を終了しています。
1週間で2円以上の円安が下支えしたこともあり先週の日経平均株価(225種)は前週末比768円(1.9%)安の3万8,701円と小幅下落で踏みとどまりました。
18日(水)にはホンダ(7267)と経営不振の日産自動車(7201)が経営統合する見通しが報じられ、そこに三菱自動車(7211)も合流する自動車業界大再編というサプライズなニュースも飛び出しました。
米国トランプ次期大統領の関税引き上げ政策は2025年以降、4年間続きます。その間に米国市場への輸出が大きな収益源になっている日本をはじめとした世界の自動車産業の優勝劣敗が進みそうです。
今週は25日(水)がクリスマスで米国市場をはじめ多くの市場が休場。大きな経済指標の発表もなく、欧米中心に25日以降は年末休暇に入るため基本的には小動きが予想されます。
ただし売買高が減るため、少しの取引で株価や為替レートが大きく動くこともあるので注意が必要でしょう。
週明け23日(月)の日経平均終値は前週末比459円高の3万9,161円となり、7日ぶりに大幅反発しました。半導体関連株や自動車、電力株を中心に買われ、一時は前週末比500円を超えました。
先週:半導体株二極化、自動車業界再編、ゲーム株台頭など2025年の投資のヒント満載だった1週間!
先週の米国市場では、2025年の利下げ回数(通常、0.25%)が2回だけになるというFOMCドットチャートの発表がネガティブサプライズになりました。
政策金利が高止まりすると景気にも悪影響が及ぶため、景気敏感株が多いダウ工業株30種平均は18日(水)に前日比1,123ドル(2.58%)安と50年ぶりに10営業日連続で下落。週間でも前週末比2.25%安とハイテク株の影響力が強いS&P500種指数以上の下げでした。
2024年相場のけん引役だった米国の半導体株も明暗が分かれました。
AI(人工知能)向け半導体メーカーのブロードコム(AVGO)が先々週12日(木)の決算発表でデータセンター向けカスタムAIチップの売上に関して強気な見通しを示したことで買いが殺到。
13日(金)から16日(月)にかけて12日の終値比で38%以上も急騰し、時価総額が初めて1兆ドル(約156兆円)を突破しました。
その後は利食いで下落しましたが、2025年はエヌビディア(NVDA)に続く第2のAIスター株として注目を集めそうです。
一方、スマートフォン向け半導体メモリメーカーのマイクロン・テクノロジー(MU)が18日(水)に発表した2024年12月-2025年2月期の売上高は市場の予想以上に落ち込む見通しとなり、株価は前週末比で12.0%も急落。
米国のトランプ次期政権が対中国向け半導体の輸出規制をさらに強化するという思惑も重なった「マイクロン・ショック」は日本の半導体株にも波及。
エヌビディアに半導体検査装置を販売していることから株価の勢いがよかったアドバンテスト(6857)が前週末比8.2%安となるなど下落する銘柄が目立ちました。
株式市場では今、米国のトランプ次期政権の政策の影響を受けやすい半導体株から影響を受けにくいといわれるゲーム、エンターテインメント株に資金の乗り換えが進んでいるようです。
その主役といえるソニーグループ(6758)は11月に前月末比10.4%高したあと、12月も20日(金)終値時点で9.2%高。
任天堂(7974)も11月8.2%高、12月3.6%高と最高値更新が続いています。
来たる2025年もゲームやエンターテインメント関連企業はトランプ次期政権が生み出す貿易摩擦の悪影響をあまり受けないセクターとして注目されそうです。
一方、トランプ関税発動を目前に控え、その悪影響を受けそうな自動車産業の将来を暗示したのがホンダ(7267)と日産自動車(7201)の経営統合のニュースでした。
18日(水)に日本経済新聞がこのニュースを発表すると、業績不振で株価が低迷していた日産自動車はストップ高まで買われ、週間でも24.5%高まで急騰。
合併に参加予定と伝えられた三菱自動車(7211)も11.7%高でした。
逆に業績好調にもかかわらず電気自動車の出遅れもあって株価の下落が続いてきたホンダは続落し4.9%安。
経営統合の流れにトランプ政権誕生が関係しているわけではないものの、日本経済の中核産業といえる自動車会社や自動車部品メーカー再編の動きは2025年も株式市場を騒がせそうです。
先週は日米ともに2025年の株価トレンドを先取りするかのような動きが出た1週間だったといえるでしょう。
今週:クリスマス休暇突入で穏やかな値動き!?2025年はトランプににらまれない米国進出企業が有望?
2024年も残すところ、あと1週間ほどになった今週の米国では23日(月)に民間調査会社コンファレンス・ボードの12月消費者信頼感指数と、11月の新築住宅販売件数が発表されます。
25日(水)のクリスマス以降、株式市場はお休みモードに入って閑散相場になるのが通例です。
今回の日本市場の年末年始は2024年12月30日(月)の大納会から2025年1月6日(月)の大発会まで長い休みに入ります。
米国などの海外市場は1月2日(木)から始まるため、日本市場の長い取引停止期間のスキを狙うような海外勢の仕掛け売り的な動きが今週後半から始まってもおかしくないでしょう。
特に1ドル=160円台が目前のドル/円レートに関してはさすがに年末年始、政府・日銀が為替介入に動くことはないだろうという目算で海外ヘッジファンドが円売り攻勢を仕掛けて為替相場が乱高下する可能性もありそうです。
株式市場は年が替わると人気株や不人気株のラインアップも変わり、新たなトレンドが生まれやすくなります。
今回の年末年始は2025年1月20日(月)に米国でトランプ次期政権がスタートすることもあり、なおさら人気銘柄のトレンド転換が発生しそうです。
トランプ氏は気に食わないことに対して徹底的に罵詈(ばり)雑言を浴びせるものの、米国の国益に関係ないものや自分自身があまり関心のないものには寛容な面もありそうです。
そういう意味ではトランプ次期大統領ににらまれずに米国市場に進出して高収益を上げているエンターテインメント関連企業や外食企業、食品会社などが2025年の有望株になるかもしれません。
実際、日本のアニメ文化などを取り入れた米国でのゲーム施設運営が好調なラウンドワン(4680)は12月に入って前月末比30%近くも急騰。
同じく米国の無人ゲームセンター運営企業を買収して米国進出に積極的なGENDA(9166)も12月は8%ほど上昇しています。
日経平均株価は先週12月20日(金)終値時点で2023年末比5,237円(15.7%)上昇しました。
過去50年間で上昇率が最大だった2013年(アベノミクスが始まった年)の56.7%高には遠く及ばず、2023年の上昇率28.2%からも伸び率が鈍化しています。
しかし7月11日の取引時間中に4万2,426円の史上最高値をつけるなど株価が高くなっているため、上昇した値幅でいうと昨年2023年の7,369円高、2013年の5,896円高に次いでバブルが崩壊した1990年以降では3番目の値上がり幅になりそうです。
2024年のほぼ最後となる今週も株価上昇で締めくくりたいものです。
(トウシル編集チーム)
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