【2024年金融・経済10大ニュース:4~6位】日経平均4万2,000円超、1ドル=161円の円安など
トウシル / 2024年12月25日 19時0分
【2024年金融・経済10大ニュース:4~6位】日経平均4万2,000円超、1ドル=161円の円安など
2024年10大ニュースをアンケート集計!
2024年は投資家にとってどんな1年だったのでしょう? トウシルはこのほど、お金の専門家と個人投資家が選ぶ「2024年金融・経済10大ニュース」を決定しました。
プロのアナリストや、投資で成功を収めた個人投資家の目には、今年1年がどのように映ったのか。株式市場に影響を与えた10大ニュースを振り返り、新年の幕開けに備えましょう。前回に続き、6~4位のニュースを順に見ていきます。
アンケート実施方法:トウシルが選んだ32の金融・経済ニュースの中から、「特に重大」と思うニュース1~5位の回答を得た。1位5点、2位4点、3位3点、4位2点、5位1点と配点し、アンケート結果を集計した。アンケート期間は12月4~11日。
関連記事:【2024年10大ニュース】S&P500連日最高値、エヌビディア時価総額世界1位など:7~10位
6位:円安、一時1ドル=161円台に。政府・日銀、過去最大の為替介入実施
10大ニュース6位に選ばれたのは、止まらない円安でした。
外国為替市場で、ドル/円相場を動かす主な要因は日本と米国の金利の差です。金利の高い国の通貨が買われ、金利の安い通貨は売られる傾向が強くなります。
1月に1ドル=140円台だったドル/円相場は、7月に1ドル=161円台と歴史的な円安水準をつけました。日米の長期金利の金利差が拡大したことが原因です。9月には米国が利下げに転じたことで140円台まで円高が進みましたが、足元では再び150円台後半で推移しています。
行き過ぎた円安を是正するために、政府・日本銀行は大規模にドルを売って円を買う「為替介入」を行いました。4月29日から5月にかけては総額10兆円近く、7月には総額5兆5,000億円規模の円買い・ドル売り介入を行いました。
急激な円安が進むと、日本国内の輸入品の物価が上がり、国内の物価高騰に拍車がかかることになります。為替介入には、こうした懸念を和らげる効果があります。
円安トレンドが止まらない理由には、投機筋が低金利の円を借りて、海外の高金利通貨や高利益が見込める資産に投資する「円キャリー取引」が横行していることもあります。少子高齢化が進む日本という国自体の衰退も影響しているのかもしれません。
回答者のコメントは?
専門家からは、「通貨は国力」(加藤嘉一)、「日本が『大安売り』されている象徴」(窪田真之)と、止まらない円安を懸念する声が多く集まりました。田代昌之さんは、「投機筋の円キャリーの力を思い知った」とコメント。今後も為替動向を注視する状況が続きそうです。
一方、個人投資家にとって、円安は運用の追い風にもなります。「歴史的な円安によって米国株を保有している人は為替差益を享受できた。通貨分散の観点からも外国株を保有する重要性を感じた」(バンクアカデミーさん)という声もありました。
5位:日銀、マイナス金利政策解除。「金利ある世界」へ、追加利上げも
日銀は3月19日の金融政策決定会合で、マイナス金利政策の解除を決めました。マイナス0.1%としていた政策金利を、0~0.1%程度に引き上げました。長期金利を低く抑え込むためのYCC(イールドカーブ・コントロール、長短金利操作)の終了も決めました。利上げは実に17年ぶり。日銀の金融政策がこれまでの緩和から正常化に向かう大転換となり、大きな関心を集めた出来事です。
日銀は日本の中央銀行で、民間の金融機関が短期の資金を貸し借りする際の金利を上げ下げすることで物価や景気を安定させるのが主な役割です。利上げすれば、お金を借りるコストが上がり経済活動が抑制されることになります。
日銀が利上げに踏み切ったのは、物価上昇率で目標とする2%を、安定的に達成する見通しが立ったと判断したためです。
さらに、2024年7月には1ドル=161円台まで円安が進行しました。円安は輸出品の価格高騰を通じて物価高に拍車をかけます。
そこで日銀は、7月31日の金融政策決定会合で政策金利を0.25%に引き上げる追加利上げに踏み切りました。
取引終了後の記者会見で植田和男日銀総裁が政策金利0.5%は「壁」になるとは「認識していない」と金融引き締めに積極的な発言を行いました。
この発言を受けて8月5日、日経平均株価は過去最大となる4,451円の下落幅で大暴落しました。
「植田ショック」とも呼ばれる株価の暴落や急速な円高進行を見ても、日銀の金融政策の転換が市場に多大な影響を及ぼすことが分かります。
日本株市場では、銀行株や生命保険、損害保険会社など、金利上昇が収益増加に貢献する銘柄の株価が大きく上昇しました。
日本にようやく金利のある世界が戻ってきたことは、決して悪いニュースではなく、良いニュースといっていいでしょう。
回答者のコメントは?
「長期停滞が続いたこの日本で物価と賃金の好循環が起動し始め、しかもそれに伴って日銀の金融政策が正常化に動き出したことが極めて大きな出来事だった」(愛宕伸康)と、日本の金融政策の転換をポジティブに捉える回答が目立ちました。
「今後も日銀の利上げに対するスタンスや実施ペースが株式市場や為替相場を揺さぶるでしょう」(弐億貯男さん)、「利上げは比較的多く金融銘柄を保有している私にはプラスの出来事となりました。ただ同僚が、住宅ローンが上昇し困っているという話を聞くと手放しには喜べない状況です」(カブ主優待ライダーさん)という意見もありました。
4位:日経平均、史上最高値更新。7月に一時4万2,000円超
日経平均株価の史上最高値更新という明るいニュースが4位にランクインしました。
2024年以前の日経平均株価の最高値(終値ベース)は1989年12月29日のバブル最盛期につけた3万8,915円でした。
2024年2月22日、日経平均株価は3万9,098円まで上昇し、実に34年2カ月ぶりに史上最高値を更新。歴史に残る1日となりました。
2月の最高値更新の原動力になったのは米国発のAI(人工知能)ブームに沸いた半導体関連株でした。東京エレクトロン(8035)、アドバンテスト(6857)といった日経平均株価の採用銘柄でもある半導体製造装置メーカーの株価が軒並み上昇し、日経平均の最高値更新をけん引しました。
日経平均は乱高下した後、7月11日に4万2,224円まで上昇し史上最高値を更新しました(12月25日時点)。6月末に米国大統領選挙に向けたテレビ討論会が開催され、トランプ氏が勝利するのではないかという思惑が拡大。米国株と連動して日本株が上昇したためです。
一説にはオイルマネー流入も噂されるなど、日経平均やTOPIX(東証株価指数)が最高値を更新するためには外国人投資家の爆買いが必要不可欠といえるでしょう。
とはいえ、日本株は米国株に比べてまだまだ割安です。
米国経済の好調が続き、インバウンド(訪日外国人)需要の拡大や日本企業の賃上げ、国内の消費拡大につながれば、2025年の日本株がさらに最高値を更新するような上昇を続けても決しておかしくありません。
回答者のコメントは?
「日本人にとって、マザーマーケットの日本株が好調であることは投資をしたいと考える人を増やす効果も大きい」(エルさん)「もちろん米国のほうが投資対象として強いことは分かっていますが、それでもやっぱり日本企業を応援したい気持ちがあります」(はるあきさん)と、日本の投資文化が新時代を迎えていることを歓迎する声が目立ちました。
一方で、「史上最高値を出した年なのに、物価高に賃金上昇が追いつかず、沈滞ムードなのは、なんだか寂しいですね」(まる子さん)という意見もありました。
10大ニュース6~4位は以上です。とめどない円安は国内の物価高にもつながるためネガティブな面がありますが、緩やかな円安は海外売上比率の高い外需企業の好業績やインバウンド需要のさらなる盛り上がりにつながるため、日本株にとって究極の追い風にもなります。
日銀の利上げによる金利の復活、日経平均株価の34年ぶりの最高値更新など、2024年の日本経済には明るいニュースが目立ちました。
アンケート協力 50音順※
個人投資家:えま、エル、カブ主優待ライダー、すぽ、たぱぞう、DUKE。、DAIBOUCHOU、弐億貯男、バンクアカデミー、ぽんちよ、ほっすん、まる子、むらやん、虫とり小僧、はるあき、ようこりん、Rょーへー
専門家:株式コメンテーター・岡村友哉、マリン・ストラテジーズ シニアマーケットアナリスト・香川睦、パラソル総研 執行役員副社長兼フェロー・倉持靖彦、金融文筆家・田代昌之、ハッサク
楽天証券経済研究所:チーフエコノミスト・愛宕伸康、客員研究員・加藤嘉一、チーフ・ストラテジスト・窪田真之、客員研究員・田中泰輔、コモディティアナリスト・吉田 哲
(敬称略)
(トウシル編集チーム)
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