新NISA1年目と2年目の違いは?注意すべき三つのこと
トウシル / 2024年12月30日 7時30分
新NISA1年目と2年目の違いは?注意すべき三つのこと
資産形成の正解は人それぞれですが、一方で、多くの人が失敗してしまう考え方や、やり方があるようです。このシリーズでは、資産形成を始める人が陥りがちな失敗事例を取り上げ、やってはいけない行動を分かりやすく解説します。
お悩み
新NISAを初めて1年が過ぎて、2年目はどうしたらいいのか?
田中志穂さん(仮名)会社員・36歳(既婚、ご主人も会社員、子ども1人)
2024年から制度改正された新NISA(ニーサ:少額投資非課税制度)をきっかけに積立投資を始めた田中さん。1年目では、ランキング上位にあった投資信託でS&P500種指数と全世界株式を投資対象とした投資信託の二つにそれぞれ2万円ずつ投資をスタートしました。
これまで投資の経験がなかったので、いざ投資を初めてみると最初は日々投資信託の価格が上下することが気になっていましたが、日々の生活や仕事でバタバタしているうちに気にならなくなってきました。
あっという間に年末が近づいてきて、ある日投資の状況を確認してみることにしました。すると積立投資の投資原資は予定通り20万円を超えていて、評価益が予想より大きく出ていることに安心しました。
今年はいい結果で投資を終えることができそうだと感じた田中さんは、来年はもう少し金額を増やしたり他の商品にも投資をしたりしてみようかと考えています。
田中さんのように新NISAを経験した人は、2年目の投資ではどんなことに注意しながら投資をしたらいいのでしょうか?
新NISA1年目と2年目の違いは?何に注意したらいいのか?
旧NISA制度は、2014年1月から一般NISAが始まり、NISA制度が開始してからは10年以上が過ぎています。その中で、さまざまなNISAに関する知見が生まれ、使い方はどうしたらいいのか議論がされてきました。
しかし、新NISAは2024年から開始され、今年は、誰もが新NISA1年目でした。旧NISAの経験者は、これまでの投資経験をもとに新NISAを使う人もいれば、初めてNISAを使った人もいたでしょう。メディアなどでおすすめの資産形成の積立投資をしたり、高配当株式を買ってみたりなど、みんなで試しながらの1年でした。
この1年で多くの投資家が新NISAを経験し、疑問や悩みなどは、さまざまなメディアを通じて共有され、解決されていきましたが、情報が多過ぎて判別できないという声もききます。
そこで今回は、新NISA2年目にあたって注意したいこと、やってはいけないことをお伝えしたいと思います。
新NISA、2年目で注意したいこと1:1年目の振り返りを忘れないこと
投資知識は学ぶことで身につきますが、投資経験はただ投資を行うだけではなく、投資した結果を振り返ることで身につけることができます。特に新NISAで投資を経験した貴重な1年目は経験値としてとても濃厚なものでしょう。
では、どんなことを振り返ったらいいのでしょうか? 例を挙げてみると、「1年目に投資した金額は適切な範囲と言えたでしょうか?」「投資した商品の値動きは自分の許容できるリスク(投資資産の価格変動)でしたか?」「投資する前と実際に投資した後では投資目的や投資したい商品に変化はありましたか?」などが考えられます。
その結果は、望んだ通りの結果だった人もいればそうでない人もいるでしょう。ただNISAで長期積立投資を行うことを目的としていたなら「長期」投資のたった1年目に過ぎません。貴重な初年度ですが、まだ投資の成果を求めるには早過ぎます。
反省するべき箇所は次年度で修正するべきです。ライフプランの大きな変化があれば投資を継続できないかもしれませんが、無理のない範囲で継続することが大切です。1年間の経験をもとに自分の収支や家計状況を考慮した「適切な投資金額」「投資目的にあった商品」で投資できていたかを振り返ってみましょう。
新NISA、2年目で注意したいこと2:1年目の運用成績に振り回されないこと
1年目の結果としてどのくらい評価益が出たのか、もしくは評価損となってしまったのかは気になるところでしょう。毎年年末年始には、どんな株式や投資信託の成績が良かったかなどランキングも発表されることでしょう。
運用成績というのは言うまでもなく重要です。どんな投資であっても運用成績が良ければ結果的に投資して良かったとなるでしょう。しかし、運用成績で投資を判断することはハイリスクハイリターンな投資だったり、偏った投資先へ資金を振り分けたりすることにつながりかねません。
運用成績が上位ということは、それだけハイリスクの商品に投資した結果、ハイリターンを得たという可能性が高いと言えます。
また、運用成果が思ったほど振るわなかったといっても見切りをつけるのは早計かもしれません。株式インデックス投資の成績が好調だとすれば、さまざまな資産に分散投資している商品の成績は劣っているかもしれませんが、それはそもそも運用目的が違います。
積立投資において重要なことは、投資原資を積立することで増やしつつ、長期分散投資をすることで安定したリターンをできるだけ長期間達成することです。短期的な運用成果に惑わされずに投資目的にあった商品選択ができているのかで判断しましょう。
新NISA、2年目で注意したいこと3:何か変化を求めようとし過ぎないこと
投資1年目が終わり、2年目に入って何か新しいことをしなければいけないわけではありません。投資した結果が予定通りだったり、満足のいく結果であったりしたなら継続すれば良いだけです。
もちろん悩みを持つ人も多くいるわけで、私がアドバイザーとしてお客さまから来年のNISAに向けて相談に乗った例を二つあげたいと思います。あくまで一例であり、投資する人の状況によって回答は変わることはご了承ください。
- 来年から金額を増やしたいが問題ないか?
金額が家計に負担のなく、継続的に投資できる範囲内であれば問題ありません。ぎりぎりの金額ではなく余裕のある金額内で投資をしましょう。 - 他の商品に投資をしてみたいがおすすめはないか?
投資目的や投資金額によっておすすめはかわります。金額が少ないうちは商品数を絞ることをお勧めしますが、いろんな商品に分散投資して経験を積むという考え方もあります。いずれにせよ管理できる範囲内に商品数は抑えましょう。
新しいことに挑戦しようとする投資の姿勢は、前向きで素晴らしいと思いますが、現状の投資がうまくいっているなら変化をしないという選択肢もあります。むしろ積立投資の場合は、投資目的にあった投資商品や割合を決めたらならしばらくそのままの投資を継続するだけで十分でしょう。
1年の投資経験は生かせることばかり
身に付けた投資知識を使って投資を実践し、投資経験を積むべし
長期投資を前提としている積立投資では1年というのは短い期間ですが、投資経験の少ない人やNISAを初めて利用した人にとってはとても貴重な1年となったでしょう。
投資は慣れるまでは専門用語も多く、管理画面の操作も難儀なものでしょう。日々相場を動かすようなニュースや経済指標が発表され、翻弄(ほんろう)される方も珍しくありません。しかし、1年が終わって年度末になればあっという間と感じるのではないでしょうか。
毎年多くのイベントが起きて相場を揺るがしていきますが、逆にいうと相場が1年間を通じてあまり動かないという年の方が珍しいです。投資に慣れてきて、適切な金額内で投資をしていれば慌てることもなくなるでしょう。
ぜひ新NISA2年目もご自身のペースで投資を続けてみてください。
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また、リーファス社の公式YouTubeチャンネル『ニーサ教授のお金と投資の実践講座』では、同コラムの他にも動画でお金と投資の知識を学ぶことができます。
(西崎努)
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