【2024年金融・経済10大ニュース:3位】日経平均4,451円安、過去最大の下げ幅。令和版ブラックマンデー
トウシル / 2024年12月26日 19時0分
【2024年金融・経済10大ニュース:3位】日経平均4,451円安、過去最大の下げ幅。令和版ブラックマンデー
2024年10大ニュースTOP10をアンケート集計!
2024年は投資家にとってどんな年だったのでしょう? トウシルはこのほど、お金の専門家や個人投資家が選ぶ「2024年金融・経済10大ニュース」を決定しました。
プロのアナリストや、投資で成功を収めた個人投資家の目には、今年1年がどのように映ったのか。株式市場に影響を与えた10大ニュースを振り返り、新年の幕開けに備えましょう。
【アンケート実施方法】トウシルが選んだ32の金融・経済ニュースの中から、「特に重大」と思うニュース1~5位の回答を得た。1位に5点、2位4点、3位3点、4位2点、5位1点と配点し、アンケート結果を集計した。アンケート期間は12月4~11日。
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3位:8月5日、日経平均4,451円安。過去最大の下げ幅「令和版ブラックマンデー」
8月5日月曜日、日経平均株価の終値は3万1,458円42銭でした。前週末比の下落幅は4,451円と過去最大を記録しました。
下落率は12.4%安と、歴代2位。マーケットを襲った歴史的な大暴落は「令和版ブラックマンデー」と呼ばれ、新しいNISA(ニーサ:少額投資非課税制度)を機に資産形成をスタートした個人投資家らに冷や水を浴びせました。
2営業日前にあたる8月1日木曜日には975円(2.5%)安、翌日2日も2,216円(5.8%)安と急落しており、3日間の下落幅は実に7,600円以上になります。
この暴落の引き金になったのは、日本銀行の植田和男総裁の発言です。
日銀は物価高や急速な円安を抑え込むため、7月31日終了の金融政策決定会合で政策金利を0.25%に引き上げる追加利上げに踏み切りました。
この利上げは想定内と見なされ、日銀が追加利上げを発表した7月31日の日経平均株価は前日比575円高で終了しています。
株価大暴落につながった植田日銀総裁の発言とは?
しかし、株式市場の取引が終了したあとに記者会見した植田総裁は、今後の追加利上げについて政策金利0.5%は「壁」になるとは「認識していない」と述べました。
また、今回の利上げは実質金利が非常に低い中での「少しの調整に過ぎず」、「強いブレーキが景気などにかかるとは考えていない」と想定以上に金融引き締めに積極的なタカ派的発言をしました。
この発言をきっかけに日経平均先物価格が急落。翌8月1日以降、株価の暴落が3営業日にわたって続きました。
為替市場では7月30日終値の1ドル152円72銭から、8月5日の最安値141円70銭まで実に11円という急速な円高が進行。背景には、投機筋が低金利の円を借りて、海外の高金利通貨や高利益が見込める資産に投資する「円キャリー取引」の巻き戻しがあります。世界の株式市場は、日本発の世界同時株安に見舞われました。
「植田ショック」とも呼ばれる日本が震源地の混乱は、長年、低金利を続けてきた日本が世界中のリスク資産に資金を提供する一大供給源になっていることを証明しました。
米国の景気後退懸念で株価の暴落がさらに加速!
さらに7月最終週に発表された米国の景気・雇用指標が軒並み悪化して米国の景気後退懸念が急速に台頭したことも暴落を加速させました。
米国では、8月1日に発表されたISM(全米供給管理協会)の7月製造業景況指数が前月から低下し、8カ月ぶりの低水準まで落ち込んだことが判明。
同日発表された週間の新規失業保険申請件数も11カ月ぶりの高水準に達し、失業者が増加していることが分かりました。
翌2日金曜日に発表された米国の7月雇用統計では、非農業部門新規雇用者数が予想以上に減少。失業率も市場予想より悪い結果となり、米国株は続落しました。
米国雇用統計の悪化を受けて、翌週5日の日経平均株価は過去最大の下落幅となる4,451円も大暴落。S&P500種指数も5日には3.0%急落しています。
つまり、植田日銀総裁のタカ派発言、円キャリー取引の巻き戻し、米国の景気後退懸念という三つの要因が絡み合って起こったのが8月5日の歴史的暴落といえるでしょう。
株価暴落の直後に激しいリバウンド上昇する典型例に
しかし、その後の株価の推移を見ると、日本株、米国株ともに暴落は単なる気の迷い、高値圏での利益確定の言い訳に過ぎないのではないかというほどの反転上昇に転じています。
日経平均株価は暴落翌日の8月6日火曜日に3,217円(10.2%)高と歴代4位となる上昇率で激しくリバウンド上昇。暴落から5営業日後の8月13日には8月5日の始値3万5,249円を超える3万6,232円まで回復しました。
このように暴落のあとには株価急騰劇が起こりやすいのも8月5日の大暴落の教訓といえるでしょう。
さらにいうと、日経平均株価は暴落前の7月11日に史上最高値の4万2,224円をつけています。株価が4万円台と高くなると1,000円(下落率にして2.5%)前後の株価急落が起こりやすくなることも頭に入れておきましょう。
回答者のコメントは?
「本当にショッキングでした。機械的な売買が市場に多いのは理解していましたが、人間の『下げ過ぎだろ』と感じる下げ幅に達しても、その安値から機械はショートでたたき売る。それが売りの連鎖を誘発し、夢にも思わない暴落劇を生み出すことを肝に銘じました」(岡村友哉さん)という驚きの声が回答者からも上がりました。
個人投資家からは、「まさかの下げ幅で大損失を食らってしまい、忘れられない記憶となってしまいました」(むらやんさん)と苦痛の声があれば、「ここまで下げるとは思っておらず度肝を抜かれました。ただ、長年の投資で育ててきた握力がここで役に立ちろうばい売りすることなくむしろチャンスだと買い進めることができました」(カブ主優待ライダーさん)と力強い声も。
さまざまな反応がありました。
新NISAがスタートした年に突如マーケットを襲った歴史的大暴落。ニュースでも大きく取り上げられ、SNSには投資を始めたばかりの個人投資家から不安の声が広がりました。
「結果的にほぼV字回復となったが、投資に慣れていない人だとネットの書き込みを見て不安になり売った方も多いのではないか」(ほっすんさん)、「現象そのものより騒ぎっぷりが印象的でした。本格的な下げ相場や停滞相場もいつかはやってくると思うので、そういうことも想定して、いつでも落ち着いていられる投資スタンスを身につけたいものです」(虫とり小僧さん)、「新NISAで株式投資を始めたばかりの人には暴落の経験ができて逆に良かったのではないかと個人的には考えています」(はるあきさん)という意見もありました。
アンケート結果は以上です。2024年は年初から上げ相場が続いていたこともあり、久々といえる大暴落でした。しかし、すぐにリバウンド上昇したこともあり、暴落に対する経験値や対応能力を上げることができた面があるのも確かでしょう。
株式市場では2000年のITバブル崩壊や2008年の米国住宅バブル崩壊によるリーマンショックなど、より長期間続いて投資家へのダメージが甚大だった暴落が何度も起こっています。「暴落は必ずいつか起こるもの」と考えて投資資金の配分を抑えたり、「暴落はピンチだが、逆に株を安く買える大チャンスでもある」と発想を転換できるようになりたいものです。
アンケート協力※50音順
個人投資家:えま、エル、カブ主優待ライダー、すぽ、たぱぞう、DUKE。、DAIBOUCHOU、弐億貯男、バンクアカデミー、ぽんちよ、ほっすん、まる子、むらやん、虫とり小僧、はるあき、ようこりん、Rょーへー
専門家:株式コメンテーター・岡村友哉、マリン・ストラテジーズ シニアマーケットアナリスト・香川睦、パラソル総研 執行役員副社長兼フェロー・倉持靖彦、金融文筆家・田代昌之、ハッサク
楽天証券経済研究所:チーフエコノミスト・愛宕伸康、客員研究員・加藤嘉一、チーフ・ストラテジスト・窪田真之、客員研究員・田中泰輔、コモディティアナリスト・吉田 哲
(敬称略)
(トウシル編集チーム)
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