2024年の日本株を騰落率で振り返る:値上がりトップは三菱重工、値下がりトップはレーザーテック
トウシル / 2024年12月30日 22時17分
2024年の日本株を騰落率で振り返る:値上がりトップは三菱重工、値下がりトップはレーザーテック
30日、日経平均終値3万9,894円。2024年の上げ幅は6,430円
今年最後の取引となる大納会を迎えた30日(月)の東京株式市場で、日経平均株価は前週末比386円(1%)安の3万9,894円でした。年間の上げ幅は6430円(19%)でした。
2024年の株式市場を日経平均で振り返ると、年初は3万3,288円でスタート。米国発の生成AI(人工知能)ブームで日本の半導体関連株が軒並み上昇し、2月22日には3万9,098円をつけ、34年ぶりに史上最高値を更新しました。
その後は上げ下げをくり返しました。年間の最高値は7月11日の4万2,224円。8月5日月曜日には前週末比4,451円安と過去最大の下げ幅を記録し、歴史的な大暴落は「令和版ブラックマンデー」と呼ばれました。
時価総額の大きな大企業の株価の影響を受けやすいTOPIX(東証株価指数)は、年間で18%ほど上昇しました。
米国株が順風満帆だったことも、日本株上昇を支えました。米国のS&P500種指数は27日(金)終値時点で前年末比25%高。AIブームに加え2025年1月20日(月)に大統領に就任するトランプ次期政権に対する期待感が株価上昇につながりました。
2024年値上がり率トップは三菱重工
年間を通じて、大きく上げ下げを繰り返した日本株市場。個別銘柄に目を凝らすと、どのような動きがあったのでしょうか。
TOPIXを構成する銘柄のうち、流動性と時価総額の高い100銘柄「TOPIX100」を対象に、年間の騰落率を算出しました。値上がりは72社と、全体の7割以上を占めました。
2024年TOPIX100の値上がり率上位15銘柄
値上がり率トップは三菱重工業(7011)。年間で2.7倍と大きく上昇しました。ガスタービンなど重電機器メーカー最大手ですが、防衛省に戦闘機や戦車を供給する防衛関連株の顔ももちます。
米国のトランプ次期大統領が今後、日本の防衛費増額を要求することで、防衛関連事業の収益向上につながるとの思惑から買われました。
2位は93.6%高の重電メーカー・日立製作所(6501)。成長事業への選択と集中を大きく推し進めたことが好感されました。2021年に約1兆円を投じて買収した米国IT企業グローバルロジック社とのシナジー効果で、社会インフラ向けDX(デジタルトランスフォーメーション)の需要を取り込んでいます。
積極的な経営改革で成長拡大を目指す優良株には、2025年にも注目が集まりそうです。
3位は半導体検査装置大手のアドバンテスト(6857)。半導体株は世界的なAIブームの恩恵を受けて、2024年前半の日本株上昇のけん引役となりました。
アドバンテストは、AI関連の花形株である米国の高速半導体メーカー・エヌビディア(NVDA)向けの販売比率が高い企業。株価は最高値圏で推移しました。
値上がり率上位には、資本効率の改善を積極的に進めた企業も目立ちました。人材派遣業リクルートホールディングス(6098)は、7月に6000億円を上限とする自社株買いを発表。MS&ADインシュアランスグループホールディングス(8725)やSOMPOホールディングス(8630)など大手損保各社も株式の持ち合い解消を打ち出し、市場で好感されました。
また、銀行株にとっては止まらない円安と日銀の追加利上げ観測も、株価上昇の追い風となりました。
値下がり率トップはレーザーテック、半導体は二極化鮮明
では2024年、株価の調子が悪かったのはどんな企業だったのでしょうか。
2024年TOPIX100の値下がり率上位15銘柄
値下がり率トップは、超高精密な半導体検査装置メーカーのレーザーテック(6920)で59.1%安でした。
2024年後半は米国がトランプ次期政権で中国向け半導体輸出規制をさらに強化するとの見通しが強くなり、多くの半導体関連銘柄が反落。二極化が進んでいます。
レーザーテックの中国売上比率は決して高くありませんが、これまで人気が高かった分、下落も急激なものになりました。
2位は製薬会社のエーザイ(4523)で38.6%安。認知症向け新薬が欧州で一時承認見合わせになり、ライバル会社の新薬登場などもあって株価が下落しました。
トランプ次期政権でワクチン懐疑派のロバート・ケネディ・ジュニア氏が厚生長官に起用されることも2024年に製薬株が急落した一因です。
3位は「東京ディズニーリゾート」を運営するオリエンタルランドでした。業績自体はインバウンド需要もあって好調ですが、先行投資や人件費の高騰で利益率が下がっていること、大株主の京成電鉄(9009)に対して物言う株主が同社の株式売却を要求して需給悪化懸念があることが下落の原因でした。
全体として見ると、中国での化粧品販売が収益の柱だった資生堂(4911)、スマートフォンなど中国向け電子部品の売上比率が高い京セラ(6971)、村田製作所(6981)、中国向けFA(ファクトリー・オートメーション)機器の売上比率が高いFA空圧装置のSMC(6273)など不動産バブル崩壊に苦しむ中国関連銘柄の下落率が総じて大きくなりました。
2025年の日本株市場はどうなる?米国トランプ政権の政策と国内の賃金・物価の好循環が鍵!
2025年の日経平均は、どこまで上がるのでしょうか。
鍵となるのはやはり米国のトランプ次期政権の動きです。トランプ次期大統領は減税や規制緩和など米国株の株価上昇につながる政策を掲げています。
日本株市場にとっての懸念は、トランプ次期大統領が声高に叫ぶ関税引き上げ策。中国やメキシコからの輸入品に対する高関税が実際に発動された場合、日本の外需産業の収益減少につながる恐れもあります。
一方で、トランプの高関税政策の影響を受けにくいとされるソニーグループ(6758)や任天堂(7974)などのゲーム株やエンターテインメント株には資金シフトが進むかもしれません。
賃金と物価の好循環で内需拡大が進めば、2024年に目覚ましい株価上昇を遂げたインバウンド(訪日外国人)関連の百貨店やホテル関連株だけでなく、海外市場の開拓も進める内需系小売・サービス関連株にも勝機があるでしょう。
ネガティブ要因としては、米国のトランプ次期大統領の高関税政策などによる物価高再燃で米国長期金利が上昇すること。
米国のS&P500種指数は2年連続で20%以上も上昇しており、そろそろ本格的な調整を迎えてもおかしくありません。
トランプ氏の対中強硬姿勢が台湾での米中軍事衝突など新たな地政学的リスクにつながれば、中国だけでなく日本など周辺諸国も巻き込んだ株安が進むリスクもあります。
上昇相場の主役交代は必ず起こるもの。2025年も日本株の力強い上昇トレンド継続に期待しましょう!
(トウシル編集チーム)
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