トランプ・リスク警戒!シートベルトゆるんでいませんか?(窪田真之)
トウシル / 2025年1月6日 8時0分
トランプ・リスク警戒!シートベルトゆるんでいませんか?(窪田真之)
あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願いします。
2025年最初のレポートですが、まずは「トランプ・リスク」に警戒が必要と考えていることからお話しします。年初は、株式投資でシートベルトを締め直す必要があると思います。
2024年の振り返り:日経平均は年後半3万8,000円~4万円のボックスで推移
2024年の日経平均株価は、1年間で6,430円(19.2%)上昇して、年末12月30日終値が3万9,894円となりました。年初に急騰して、2月22日にバブル時の高値(1989年12月の3万8,915円)を超えてからは、3万8,000円~4万円のボックスで推移してきました。上値トライも下値トライも失敗し、ボックス推移が続いています。
日経平均週足:2024年1月4日~12月30日
2024年は、米国株も大きく上昇しました。ナスダック総合指数(ナスダック)が+28.6%、S&P500種指数(S&P500)が+23.3%、ダウ工業株30種平均(NYダウ)は+12.9%上昇しました。生成AIブームに沸くマグニフィセント7(エヌビディア、マイクロソフト、グーグルなど)を含む、ナスダックの上昇率が特に高くなりました。
2024年は、米景気がソフトランディング(減速する中でも堅調)する中、日本の景気も緩やかな拡大が続きました。2025年にかけて、日米とも緩やかな景気拡大が続く期待があることが、日米の株価を支えています。
ただし、今期(2025年3月期)の日本の企業業績は、円安が進んだにもかかわらず、自動車など製造業が不振です。非製造業(金融・情報通信)は好調でも、東証プライム全体の増益率は鈍化しました。それが、10~12月の日経平均の上値を抑えています。
東証プライム上場3月期決算、主要841社の連結純利益(前期比)
トランプ・リスクを改めて警戒
1月20日にトランプ氏が米大統領に就任します。かねてより予告している通り、対メキシコ、カナダ、中国など輸入関税を一斉に引き上げると、世界的な株価急落を招く可能性もあります。もし予告通りメキシコに25%の輸入関税を課すと、メキシコで生産した自動車を米国に輸出しているトヨタ、ホンダ、日産、マツダは大きなダメージを受けます。
輸入関税を引き上げると、米国も無傷ではいられません。米国で生活必需品の価格が一段と上昇し、インフレ再燃、金利上昇、消費減退を招く可能性があります。そうなると、米国株も下がることになるでしょう。年初、トランプ・リスクとして、特に以下四つのリスクに注意が必要と考えています。
【1】米国による輸入関税引き上げ、米中対立激化リスク
【2】米インフレ再燃、金利上昇リスク
【3】米国によるパリ協定離脱のリスク
【4】不法移民強制退去に伴うリスク
トランプ氏が最初に大統領選に勝利したのは、2016年11月です。2016年の選挙期間中、トランプ氏が優勢になると米国株が下がり、対立候補のクリントン氏が優勢だと米国株に安心感が広がる現象が続きました。輸入関税引き上げやメキシコとの国境に壁を建設することを公約するトランプ氏が当選すると、米国株が暴落すると心配されていました。
ところが、トランプ氏が当選した直後から、「トランプ・ラリー」と呼ばれる株価の急騰が始まりました。当選直後に行った勝利宣言が好感されました。国内外の団結を訴える美しい言葉でつづられていたことに加え、景気刺激策を実施して数百万人の雇用を創出すると宣言したことも好感されました。
実際トランプ氏が大統領であった間、大規模な法人減税など景気刺激策を実施して、米国株を大きく上昇させました。
この時の経験から、2024年の大統領選では、選挙期間中、トランプ氏が優勢になると米国株が上昇しました。トランプ氏の景気刺激策や規制緩和への期待が株価を上昇させました。トランプ氏の勝利が伝わってから、さらにトランプ・ラリーが加速しました。
今になって振り返れば、2016年の大統領選挙期間中は、株式市場はトランプ・リスクに過剰反応していました。一方、2024年の大統領選挙では、株式市場はトランプ・リスクを過小評価していたと思います。年初は、株式市場がトランプ・リスクを再認識し、日米とも一時、株価が下落するリスクに注意が必要であると思います。
2025年末の日経平均予想は4万4,000円
私は、2025年の日経平均は「前半、トランプ次期政権への不安で売られるが、後半に上昇して高値を更新する」と予想しています。
2025年の日経平均予想:日経平均の実際の動きは2022年1月4日~2024年12月30日
日本株の投資判断は、いつも述べていることと変わりません。日本株は割安で、長期的な上昇余地は大きいと考えています。日経平均は4年以内に、5万円まで上昇すると予想しています。
ただし、1月は一時的に下落するリスクに警戒が必要と考えています。時間分散しながら、割安な日本株を買い増ししていくことが、長期的な資産形成に寄与すると考えます。
最後に、私の著書のご紹介です。ダイヤモンド社より、株価チャートの読み方をトレーニングする「株トレ」(黄色の本)と、決算書の見方など学ぶ「株トレ ファンダメンタルズ編」(水色の本)が出版されています。どちらも一問一答形式で株式投資の基礎を学ぶ形です。
「2000億円超を運用した伝説のファンドマネジャーの株トレ」
「2000億円超を運用した伝説のファンドマネジャーの株トレ ファンダメンタルズ編」
(窪田 真之)
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