3,500万円へ本格上昇開始?~1月のビットコイン見通し~
トウシル / 2025年1月9日 17時0分
3,500万円へ本格上昇開始?~1月のビットコイン見通し~
12月のビットコインイベント
NEW! 12月5日 | パウエル議長、ビットコインは金の様なもの |
NEW! 12月5日 | 10万ドル突破、トランプ氏が祝辞 |
NEW! 12月17日 | 10.8万ドル、BTC ETFが金ETFの時価総額追い抜く |
*2024年1月以降の主なビットコインイベントは記事最終ページにまとめています。
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材料面から見た1月見通し
12月の振り返り
12月のビットコイン価格(円)とイベント
12月のBTC相場は続伸。11月のトランプ再選後の勢いを受け、10万ドルを突破、史上最高値を10.8万ドルまで伸ばした後、失速。月末月初で見れば上に行って来いで若干のマイナスとなっているが、新年に入り切り返し、再び10万ドルに迫っている。
BTCはトランプ再選により、反暗号資産政策の元凶ゲンスラーSEC(米証券取引委員会)委員長の更迭や米政府によるBTCの戦略保有構想などを好感し、連日史上最高値を更新した11月の勢いを受け、12月に入っても堅調に推移。パウエルFRB(米連邦準備制度理事会)議長のBTCをデジタルゴールドと認める発言を受け10万ドルを突破し、トランプ次期大統領が祝辞を送る場面も見られた。
シリアのアサド政権が崩壊すると、同国軍の兵器が反政府派に渡ることを懸念したイスラエルが同国に侵入し、中東情勢がさらに混迷することを懸念して失速、またマイクロソフトの株主総会で株主から提案されたBTC保有案が否決されると9.4万ドル台に値を落とした。
しかし、CPI(消費者物価指数)や米10年債入札を無事通過し、12月FOMC(米連邦公開市場委員会)での利下げが確実視される中、BTCは10万ドル台に値を戻した。
すると、トランプ氏はデビッド・サックス氏をAI暗号資産担当官に指名し、さらに戦略備蓄について問われると「I think so」と肯定した。また、就任日(1月20日)の大統領令で開始するとの思惑が浮上し、BTCは月初に付けた史上最高値10.4万ドルを更新したあと10.8万ドルまで上値を伸ばした。
しかし、クリスマス休暇を前にしたポジション調整的な動きもありピークアウトすると、FOMCで利下げされたものの次回以降の利下げへ慎重姿勢を示した。さらに、トランプ氏が債務上限撤廃を求めたことで政府閉鎖懸念が浮上し、米株が今年最大の下げを見せる中、BTCは9.2万ドル台に値を下げた。
結局、つなぎ予算が可決し、政府閉鎖は回避され、BTCは10万ドル近辺まで切り返したが、トランプ氏の共和党下院への影響力が不安視され、相場の重しの一つとなっていく。
その後、何度か10万ドルをトライするもクリスマス前のポジション調整もあり上値の重い展開が続き、クリスマス明けも今度は決算期末を控えたポジション調整もあり30日には9.1万ドルに値を下げた。
しかし、新年に入ると買戻しが優勢となり、3日にはETF(上場投資信託)に9億ドルの流入を記録し、BTCは10万ドル台に値を戻している。
BTC ETFフローとBTC/USD
需給面から見た1月のBTC相場
結局、12月のBTCは10.8万ドルでピークを付けた後、9.1万ドルまで15%の調整を見せたが、その過程で今回の上昇相場がピークを迎えたのか、まだ上昇局面にあるのかといった議論も一部で聞かれた。ただ過去の本格上昇局面でも3割程度の調整は頻繁に起こっており、この程度の下げでピークアウトを懸念するのはやや腰が据わっていない印象を受ける。
BTC/USD 2021年本格上昇期の調整率
では、この下げの正体は何だったのか。材料的には、FRBのタカ派な利下げと政府閉鎖懸念だ。特に後者は新大統領の議会への影響力、ひいては戦略備蓄構想の実現性にも関わってくるとして、同氏が求めた債務上限撤廃に共和党内からも異論が出たことが懸念された。
ただし、先物市場では1月および2月の利下げ見送りをほぼ織り込み済で、また議会との関係も混乱が予想された下院議長選出において同氏が推すジャクソン氏が1回目の投票で当選したことから懸念は後退している。何より、後述するが大統領令によりすでに保有している分を戦略備蓄とすることは議会を経る必要がないとの見方が強い。
これ以上に大きく影響したのが、クリスマス休暇や決算期末を控えたポジション調整だろう。先月にも指摘したが、今回の上昇をけん引しているのは米国の機関投資家で、彼らが不在となる感謝祭前には調整売りが見られた。クリスマス休暇にそれを上回る調整が入るのは自然な流れだろう。実際、クリスマス前の4営業日でETFから15億ドルの資金が流出している。
加えて、クリスマス休暇後には決算期末のポジション調整売りが見られた。欧米企業の多くが本決算を迎える12月末は、金融機関を中心に自己資本比率を引き上げるためにバランスシート(BS)を縮小しようとする傾向がある。加えて、BTCのような新しい資産をBSに載せて開示するのを嫌がる投資家も少なくなさそうだ。
さらに、期初の定めた投資計画にない新しいアセットに投資するのが容易でなく、BTC投資を開始するとしても新年になってからという投資家も多そうだ。
そうした投資家が期末に売った分は、新年には買い戻される、ないしはさらに買われる形となる。こうした動きはBTC ETFフローで見ると分かりやすい。クリスマス休暇が意識される12月19日から年末にかけて7営業日で、ETFフローは17億ドルの流出となった。これに対し、新年の3営業日で16億ドルの流入となっている。これが行って来いの正体だ。
マイクロストラテジーの保有BTCと日次換算した購入ペース
マイクロストラテジーの購入も相場をけん引した。同社は11月11日~12月16日の35日間に16万BTC購入している。おおよそ1日4,500BTCと発行量の10倍の買い圧力だ。これがETFフローと相まって、相場を7万ドルから10万ドルに押し上げた。ところが、12月16~30日にかけて14日間で7,400BTC、1日辺り530BTCの買いとこれでも発行量を上回っている。
ただし、上記のETFからの17億ドルの流出を1日辺りのBTC価格にざっくり換算すると、19~31日までの12日間(片端)で10万ドルとすると、1日1,400BTCの売り圧力となり、マイクロストラテジーの買いを飲み込んでしまった訳だ。
一方、年初の7日間は1日2,300BTCの買い圧力となり、相場を押し上げた訳だ。加えて、マイクロストラテジーはBTC購入資金として20億ドルの劣後株発行を発表した。この調達がうまくいけば、さらなる買い圧力が期待される。また、同社に続いてBTCを購入する企業が相次いでおり、当面の相場の押し上げ材料となりそうだ。
材料面から見た1月のBTC相場
FF先物金利
材料面ではどうだろうか。まず、FRBのタカ派な利下げを受けて1月の利下げ織り込みは1割を切り、3月も4割程度。2025年末の織り込みもFRBの予想ドットチャートが示した2回を下回る。この結果、多少強めの指標が出たとしても利下げ織り込みの低下余地は限定的で、逆に弱めの数字に反応しやすい状況。BTCには上方向に働きそうだ。
今月の焦点は1月20日の就任日の大統領令でBTCの戦略備蓄が新設されるか否かだ。基軸通貨国である米国は外貨準備をほとんど保有しておらず、その代わり金を保有している。制度設計をどのようにするかはまだ分からないが、そこにデジタルゴールドたるBTCを加えるイメージだ。
この戦略備蓄には二つのパターンが考えられる。一つはすでにシルクロード事件などで押収した20万BTCを資産として保有するパターンだ。将来的な買い増しの可能性は残すも、直ちに需給に影響を与えない。
もう一つはシンシア・ルミス上院議員が提案しているような新たに購入するパターンだ。同氏の法案は100万BTCに至るまで年20万BTCペースで購入することを政府に義務付けるとしている。20万BTCはそれだけで年間の発行量を上回るし、100万BTCは発行残の5%に相当するかなりのインパクトだ。
では実際にどうなるか? 後者の実現には法律の制定や予算措置が必要となる可能性が高く、上下両院を通過する必要がある。共和党は上下両院で過半数を占めているが、いわゆる議事妨害、フィリバスターを阻止し、法案を自由に可決できる60議席は得ていない。その結果、この法案を通すには民主党の協力が必要で、そう簡単には実現しそうにない。
そう考えると今回1月20日に実現しそうなのは前者であり、すでにホワイトハウスに暗号資産担当官を新設し、経済諮問会議の委員長も暗号資産派でその下に暗号資産会議も新設した。この布陣を考えると準備不足とでもならない限り、公約通り1月20日にゲンスラー委員長を更迭し(実際は辞任)、BTC戦略備蓄を開始する可能性が高い。
この場合、直接的な需給インパクトは限定的だが、米国が外貨準備(のようなもの)としてBTCをデジタルゴールドと位置付けて保有を開始すれば歴史的な一歩となる。なぜならば、他国の外貨準備や企業の準備資産にBTCを加える、これ以上ないお墨付きとなるからだ。
BTCを保有している国は5カ国程度。うち政府の資産として保有しているのはエルサルバドルとブータンの2カ国だけだ。また、コインポストによれば上場企業でBTCを保有しているのは70社程度とされるが暗号資産関連企業を除けばそう多くない。
そうした中、米国に追随する国がいくつ出てきても不思議ではない。実現可能性はさまざまだが、香港、スイス、ドイツなどで提案され、ロシアやチリで検討されていると言った報道もある。
また、フランスのEU議員が議会で演説し、南米のトランプを自認するアルゼンチンのミレイ大統領が追随する可能性は十分ある。ミレイ大統領はエルサルバドルのブケレ大統領と比較的近いとされている。実際にこうした国が動き出すには少し時間がかかりそうだが、期待先行で買いが集まる可能性が高い。
また、すでにペンシルベニア・オハイオ・フロリダ州などの州政府がBTC保有を準備しており、一部報道によれば全米で13州が検討を始めているとの情報もある。上場企業や非上場企業に至っては追随する企業は2桁で収まらない可能性もある。
テクニカルから見た1月の相場
BTC/USD(月足)
ビットコインが3月から続いた下降チャネルを上抜け、上昇フラッグが完成して大きく値を上げた。BTC市場は、供給要因により4年サイクルで半減期からしばらく低迷期を経て本格上昇期に至るサイクルが観察され、今回もその本格上昇期に入ったことが鮮明となった。
足元では2022年11月のボトムからこのチャネルに入るまでの上昇幅5万8,000ドルの倍返しとなる10万8,000ドル台でいったん達成感が出た格好だが、過去の本格上昇局面の例を見るに、この程度でピークアウトするとは思えない。
BTC/USD(4時間足)
もう少し短期的に見れば、12月17日に10万8,000ドルでヘッドアンドショルダーを形成し、9万1,000ドル台に失速したが、その半値戻しとなる10万ドルをクリア。ネックラインとなる10万3,000ドルに上値を押さえられているが、これを抜ければ全値戻し、史上最高値更新が見えてくる。
アノマリー
BTC月別騰落一覧
アノマリー的には陽線が3カ月続いて陰線となった。これまで陽線は続いても5~6カ月となるケースが多く、これからさらに上値を伸ばすにはちょうど良い調整だったのかもしれない。いわば2017年のケースの様にこうした小さな調整を経て、ここから3カ月程度の最後の上昇を見せるのかもしれない。
まとめ
1月のBTC相場は上値余地を探る展開か。12月の下押しはむしろ健全な調整で、ここから本格上昇の本番が始まるイメージ。
まず月前半に年末に落としたポジションの買戻しや期初の新規の買いが入り史上最高値を更新。その後は就任式までいったん様子見になるかもしれないが、1月20日の大統領令で戦略備蓄が新設されると、各国の外貨準備や州政府や企業による保有の思惑から上昇を加速させると考える。
半減期サイクルによる価格イメージ
小職は昨年より、半減期サイクルによる供給要因から、12月末に1,550万円、4月から10月に3,500万円でピークアウトすると予想しているが、4月に3,500万円を付けるとすれば、ここからは月500万円のペースで上昇する計算となり、1月の目標は2,000万円程度と考える。
トランプ政権からは就任式に15万ドル程度となる事を期待しているとの声も聞かれたが、そこには一歩足らず12~13万ドル程度のイメージか。
2025年予想
2024年 時事イベントと暗号資産イベント(最新順)
11月22日 | ゲンスラーSEC委員長、辞任表明 |
11月21日 | ホワイトハウス、暗号資産担当官新設 |
11月20日 | 自公国3党合意、国民民主、暗号資産の分離課税要求 |
11月19日 | トランプ氏のメディア企業、Bakkt買収交渉 |
11月6日 | トランプ氏当確で史上高値更新・本格上昇期入り |
10月31日 | マイクロストラテジー、今後2年で420億ドル購入計画 |
10月30日 | ドル建て・円建て史上最高値に肉薄 |
9月23日 | ハリス氏、立候補後、初めて暗号資産に言及 |
9月18日 | トランプ氏、BTCでハンバーガー代支払い |
9月17日 | ブータン政府、水力発電でマイニング、1.3万BTC保有 |
8月28日 | SEC、web3最大手OpenSeaに訴追予告 |
8月24日 | ロバート・ケネディ・ジュニア撤退、トランプ支持 |
7月28日 | トランプ氏、BTCを外貨準備(戦略準備資産)に |
7月23日 | ETH ETFローンチ |
7月16日 | 独当局、5万BTC売却完了 |
7月5日 | Mt.GOX、14万BTC弁済開始 |
6月24日 | Mt.GOX 7月初めから14万BTC債権者に弁済 |
6月4日 | BTC ETFオーストラリアでローンチ、タイ証券取引委員会も承認 |
5月24日 | ETH ETF承認 |
5月23日 | 米下院FIT21可決、民主党からペロシ含む71名造反 |
5月15日 | 退職年金運用するウィスコンシン州投資委員会、ビットコインETF保有 |
5月9日 | トランプ候補、暗号資産支持を明確化 |
5月1日 | バイナンスCZ前CEO禁固4カ月 |
4月20日 | BTC半減期 |
4月4日 | ビットコインキャッシュ(BCH)半減期 |
3月13日 | ETHデンクンアップデート |
3月5日 | ドル建てで史上最高値更新 |
2月29日 | ブラックロックのIBITが史上最速7週間で100億ドルファンドに |
2月19日 | 週次の暗号資産ファンドへの流入が過去最高の24.5億ドルに |
2月15日 | 円建てで史上最高値更新 |
1月11日 | BTC現物ETF10件ローンチ |
1月10日 | SEC、ETF承認(日本時間11日) |
*マイニングとは:暗号資産(仮想通貨)は一般的にブロックチェーンと呼ばれるネットワーク参加者が誰でも見られる元帳上に取引を記録していきます。そのブロックチェーン上に取引データを記録する際に、膨大な計算を行うことで新たなブロックを生成する暗号を見つけ出し、その報酬としてコインを手に入れる行為のことです。マイニングの主な役割は「暗号資産の新規発行」と「取引の承認」です。
**BlockFiとは:暗号資産融資プラットフォームBlockFi(ブロックファイ)が提供する暗号資産を預かって利息を払うサービス(レンディング)が証券法に違反したと提訴された事件に関する和解として、SEC(米国証券取引委員会)に1億ドル(約115億円)を支払うと発表。
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(松田 康生)
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