1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 経済
  4. 経済

「iDeCoの壁」撤廃!改正で限度額はどのくらい上がる?「iDeCoファースト」戦略は見直すべきか

トウシル / 2025年1月16日 14時0分

「iDeCoの壁」撤廃!改正で限度額はどのくらい上がる?「iDeCoファースト」戦略は見直すべきか

「iDeCoの壁」撤廃!改正で限度額はどのくらい上がる?「iDeCoファースト」戦略は見直すべきか

2025年度税制改正大綱、iDeCo拠出限度額が大幅アップ

 政党間の調整に手間取って、なかなか公表されなかった税制改正大綱でしたが、2024年12月20日に明らかになりました。ニュースとしては「年収の壁」が話題ですが、iDeCo(イデコ:個人型確定拠出年金)の限度額拡大も注目されています。

「iDeCo改悪」と話題になっている制度変更に関しては、別の記事で解説します。

関連記事:「iDeCo改悪」の真相と、むしろ「20代で入った方がいい」理由

 そもそも、iDeCoの拡充策は岸田内閣の掲げた資産所得倍増プランの「第2の柱」として示されていました。

 基本的なコンセプトは引き継がれたようで、2025年度の税制改正大綱には、大幅なiDeCoの限度額拡充と、70歳まで拠出を可能とする制度変更が盛り込まれました。

 DC(確定拠出年金)には、会社が掛け金を出す企業型と、個人が掛け金を出す個人型(iDeCo)があります。

 今回の改正案で特に大きいのは「DC全体の限度額を月5万5,000円から月6万2,000円にする(自営業者は月6万8,000円から月7万5,000円)」という「7,000円引き上げ」と合わせて、「iDeCoの壁」ともいえる月2万円ないし2万3,000円の壁の撤廃を決めたことです。

 DC全体で月5万5,000円の枠がありながらも、企業年金の水準にかかわらずiDeCoの枠は月2万円までに抑えられていました(企業年金あり会社員の場合)。企業年金がない会社員も同様に、そもそも企業年金制度がないにもかかわらず月2万3,000円しかiDeCoを利用できなかったわけです。

 ある意味「iDeCoの壁」です。今回この壁が取り払われることになります。

それぞれの立場で、改正によってiDeCoの限度額はどれくらい上がるか

 働き方によりiDeCoの加入種別が異なりますので、それぞれ確認をしてみましょう。

企業年金なし会社員

【現在】月2万3,000円→【改正後】月6万2,000円

 ここは「iDeCoの壁」がなくなり、かつ上限が月6万2,000円に引き上げられる恩恵を最大限に受けられることになります。倍増以上ですから大きな拡充です。

企業年金あり会社員

【現在】月2万円→【改正後】月6万2,000円-(企業年金の掛金相当額+企業型DCの掛金額)

 こちらは、全体の限度額が月7,000円引き上げられるとともに月2万円の「iDeCoの壁」もなくなります。

 企業年金の水準にもよりますが、多くの場合、限度額の大幅引き上げとなるはずです。企業年金の掛金額相当については、「他制度掛金相当額」と社内イントラネットで検索してみてください。会社ごとに一つの数字が決まります。企業型DCについては自分自身の掛金額となります。

 マッチング拠出(企業型DC内でiDeCoと同等の拠出をする仕組み)についても、会社掛金額以下という制限が取り払われるので「月6万2,000円-(企業年金の掛金相当額+DCの掛金額)」の全額がマッチング拠出できるようになります。

 公務員は企業年金に相当する額について月8,000円相当と公示されているので、おそらく月5万4,000円に引き上げられると思われます。

自営業者等

【現在】月6万8,000円→【改正後】月7万5,000円

 自営業者については会社員の月7,000円増枠が同等に拡充されます。これについてはもともと国民年金基金や国民年金の付加年金保険料との合計としていますが、この取り扱いは変わりません。

専業主婦等(国民年金第3号被保険者)

【現在】月2万3,000円→【改正後】月2万3,000円

 国民年金の第3号被保険者については、改正の議論もあってか(大幅改正は2025年にはなさそうですが)、引き上げなしとなります。もともと課税所得がない立場での拠出でしたので、所得控除のメリットは小さく、今回の対象から外れたのかもしれません。

「枠が小さいからiDeCoファースト」は通用しない?新時代のiDeCo活用戦略

 さて、iDeCo限度額が大幅に引き上げられると、iDeCoを活用する戦略の見直しが迫られることになります。仮に月2万3,000円が月6万2,000円に引き上げられたとして(企業年金なし会社員)、そう簡単に月3万9,000円も増額できない可能性が高いでしょう。

 また、60歳まで解約できないことを考えると「月2万3,000円くらいなら、まあ老後の虎の子資産だと思って積むか」と思えたとしても、月6万2,000円はちゅうちょしてしまいます。

 私はこれまで、iDeCo活用法として「枠が小さいから、まずはiDeCoを埋めてしまってはどうでしょうか」と言ってきましたが、改正後は意識的にiDeCo拠出額をコントロールする戦略が必要となってきます。

 毎月の家計管理をしっかり行い、iDeCoに拠出しても目の前のマネープランに支障がないようコントロールしていくことが大切です。

 一方で、「50歳台になって、もっとたくさんiDeCoに積み上げたい」という要望には月6万2,000円の拠出枠拡大が応えてくれます。iDeCoの手本になった米国の確定拠出年金制度(401k)には、50歳以上の加入者が追加の掛け金拠出をできるキャッチアップ制度があり、 これに似た使い方が考えられます。

 50歳を過ぎると年収も上がり所得税率も高まっている可能性があります。iDeCoにたくさん拠出し、目の前の節税も図りつつ、老後に大きく上積みをする、ということが可能になりそうです。

とはいえ、施行は数年後と思われるので詳細はじっくり検討すればよし

 といっても、あまり焦る必要はありません。実際の施行は早くて2026年1月、私の予想としては2027年1月と思われます。

 どちらの年月を法案で書くかは春には分かりますので、確認したいところですが、1月スタート(制度としては12月から適用し、1月の拠出分から対応)となることは間違いないと思います。そうなると2025年の途中ということは考えにくいでしょう。

 2026年1月に改正できれば理想的ですが、法案の成立から数えれば1年もない時間でシステム改修を行うのは、金融機関サイド(制度実施に当たり、さまざまな情報の記録や通知、給付の裁定業務などを担うレコードキーピング事業者)の負担のほうが大きい感じがします。

 あと1年先送りとなれば2027年1月の拠出分からとなる計算です。ちょっと間が空きますね。

 新しいiDeCoにいくら拠出をするか、今からあまり慌てなくてもいいと思います。少しマネープランの確認をして、引き上げのタイミングに備えてみてください。

(山崎 俊輔)

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください