米国株式投資で金利収入も!株式貸し出し戦略のメリットと注意点
トウシル / 2025年1月22日 8時0分
米国株式投資で金利収入も!株式貸し出し戦略のメリットと注意点
米国株式投資が長期資産形成に向いている理由
米国株式は長期的な資産形成に適した投資対象であることが知られています。図表1で過去30年の長期パフォーマンス(1995年初=100)を検証してみると、米国株動向を象徴するS&P500種指数はドルベースで約12.5倍、円ベースで約19.7倍に成長してきました(配当収益を除く)。
為替のドル高・円安(為替差益)も寄与し、円ベースのS&P500のリターンは過去30年の年率平均で+12.4%と、円ベースの世界株(同+9.4%)や日本株(同+4.6%)をしのいできました。
米国株式投資のリターンが長期で優勢であった要因としては、(1)先進国でありながら総人口が伸び続け、景気循環を交えつつ個人消費を中心に内需が拡大してきた、(2)新興国を含む世界経済の成長を業績拡大に取り込めるグローバル企業が多い、(3)S&P500(時価総額加重平均指数)における時価総額ウエートが大きい大手テック企業群がイノベーション(技術革新)をけん引。
ROE(株主資本利益率)や利益成長期待の高い企業が多い、(4)アニマルスピリッツ(起業意欲)を支える資本市場が整備されており、株主還元を重視する経営姿勢が根強い、(5)軍事・外交を含めた相対的な「国力」が世界で秀でているなどが挙げられます。
(1)について、米国の総人口は2025年予想の約3.3億人から2050年には3.8億人に増加し続けると見込まれています(国連の世界人口推計)。今後はAIによるデジタル革命の進展が各産業の生産性向上に寄与すると期待されています。幾多の調整場面を乗り越えて米国株式投資のリターンは長期視点で世界株式投資をリードしていくと予想しています。
<図表1>米国株式投資のパフォーマンス堅調が世界株をリードしてきた
米国株を貸し出して金利収入を得る「一石二鳥」戦略に注目
本稿では、米国株に長期投資する(米国株を長期保有する)だけでなく、保有する株式を貸し出すことで金利収入を得る「米国貸株サービス」を活用することで、さらに収益を増やせる投資戦略をご紹介したいと思います。
例えば、楽天証券の米国貸株サービスでは「金利優先コース」と「配当優先コース」の二つの選択肢があり、金利収入を重視するなら「金利優先コース」を選ぶことで、より高い金利を得ることが可能となります。
ご参考までに、実際の金利収入例を以下で試算してみましょう。
具体的にどれくらいの金利収入が得られるのか、S&P500指数に連動を目指す米国ETF(上場投資信託)として知られる「VOO」(バンガード゙S&P500ETF)を例に計算します。
<例1>
■金利優先コースの場合
- 貸株金利:0.02%(年率)
- 1株の価格:544.40ドル
- 保有株数:1,000株
例:1株の価格が544.40ドルで1,000株保有している場合
→計算式:1カ月の貸株金利=株式評価額*(54万4,400ドル)×0.02%÷12
*株式評価額=544.40ドル×1,000株=54万4,400ドル
結果:1カ月で約9.07ドル(日本円で約1,361円※1ドル=150円換算)
年間では、約1万6,332円の金利収入が得られます。
<例2>
■配当優先コースの場合
- 貸株金利:0.01%(年率)
- 1株の価格:544.40ドル
- 保有株数:1,000株
計算式は<例1>と同様で、1カ月の貸株金利は約4.54ドル(日本円で約680円)、年間では約8,160円の金利収入となります。
上記したETFの貸株金利は比較的低い例ですが、個別銘柄では高い金利が設定される場合があります。中には金利が年率36%の銘柄もあります。貸株金利や、配当が高い銘柄や成長性のある銘柄を選ぶことで、さらに増収を目指すことも可能です。詳細な銘柄別の具体例は下記サイトをご参照ください。
米国貸株サービスを利用する際の注意点も知る
上述した米国貸株サービスを利用する際には、いくつかの注意点があります。
(1)税区分の違い
米国貸株サービスで得られる金利収益や「金利優先コース」で受け取る「配当金相当額」は、税法上「雑所得」、「事業所得」に分類されます。そのため、株式譲渡損との相殺ができず、配当控除の対象にもなりません。雑所得、または事業所得の合計が年間20万円を超えると確定申告が必要になります。
(2)NISA口座は対象外
米国貸株サービスは特定口座で保有している株式が対象となるため、NISA(ニーサ:少額投資非課税制度)口座で保有している株式は貸し出しできません。NISA枠での投資をした上で、それを超える範囲で米国株を長期保有する場合で貸株を活用するのがおすすめです。
(3)リスクと仕組みの理解
貸株サービスは、投資家が保有する株式を証券会社が借り受け機関投資家などに貸し出すことで金利収入を得る仕組みです。ただし、貸し出した株式は無担保取引となり、投資者保護基金の対象外です。また、証券会社が分別管理を行っているものの、万が一のリスクを完全に排除することはできません。
このように、米国株の貸株サービスは以下のような投資家にお勧めできると思います。
- 長期的に米国株や米国ETFを保有する予定がある投資家
- NISA枠を使い切り、さらに追加で米国株や米国ETFを保有したい投資家
- 配当収入に加えて、少しでも金利収入を得たい投資家
貸株していても、保有しているときと変わらずいつでも売却ができるため、米国貸株サービスを有効活用することで、総収益をさらに大きくすることができます。ただし、税務上の取り扱いやリスクをしっかりご理解いただいた上で、投資家ご自身に合った運用方法を選んでいただきたいと思います。
米国貸株サービスについて詳しく知りたい方は、下記サイトをあらためてご参照ください。
(香川 睦)
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