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日本株は2025年もバリュー優位続きそう。米国株はグロース優位(窪田真之)

トウシル / 2025年1月16日 8時0分

日本株は2025年もバリュー優位続きそう。米国株はグロース優位(窪田真之)

日本株は2025年もバリュー優位続きそう。米国株はグロース優位(窪田真之)

トランプ・リスク要警戒

 トランプ氏が米大統領に就任する1月20日が近づくにつれ、トランプ政権公約の株式市場にとってネガティブな内容への警戒が広がりつつあるようです。

 トランプ氏が米大統領選に勝利してから、株式市場は「トランプ・ラリー」に沸いてきました。トランプ氏公約の株式市場にとってポジティブな面だけを見た反応でした。法人減税など景気刺激策や規制緩和に積極的であることを評価する流れが続いてきました。

 ただし、最近になって、輸入関税の引き上げに伴うリスクが不安視されるようになりました。公約通り、関税を引き上げると、世界中の製造業に重大なマイナス効果を及ぼします。

 関税を引き上げると、米国も無傷ではいられません。米国内で輸入品の価格が一段と上昇し、インフレ再燃、金利上昇懸念の懸念を強めます。

 当面、日米の株式市場は、トランプ・リスクを警戒して上値の重い展開となると思われます。
ただし、日本株の長期的な投資判断は変わりません。日本株は割安で、長期的に上昇余地が大きいと判断しています。日経平均株価は、2028年までに5万円に到達すると予想しています。

 日経平均は、これからも、急落・急騰をくり返しながら上昇していくものと考えています。時間分散しながら、割安な日本株に投資していくことが、長期的な資産形成に寄与すると判断しています。

 ところで、2021年以降4年以上にわたり、日本株でバリュー株(割安株)優位が続いていますが、それがいつまで続くか、私の考えをお伝えします。

2021年以降バリュー優位、2020年までと正反対の流れに、日経平均はグロース色強い

 2021年以降、バリュー株優位が続いています。それが、以下TOPIX(東証株価指数)バリュー指数、TOPIXグロース指数の動きからわかります。日経平均は、2000年以降の銘柄入れ替えで一貫して大型グロース株の比率を高めてきたことから、今は、グロース指数と似た動きをするようになっています(日経平均の性質についての解釈は筆者意見)。

TOPIXバリュー指数、TOPIXグロース指数、日経平均推移:2020年末~2025年1月14日

TOPIXバリュー指数・TOPIXグロース指数・日経平均推移:2020年末~2025年1月14日の図
出所:QUICKより作成。2020年末の値を100として指数化

 バリュー株とは、PER(株価収益率)やPBR(株価純資産倍率)が低い、配当利回りが高いなど株価指標で見て割安な株のことです。金融株・資源関連株にバリュー株が多数あります。一方、グロース株は、成長性が相対的に高めで、株価指標で高めの評価となっている株のことです。ネット関連・AI関連株やバイオ関連株に多くあります。

 2021年から2025年1月まで、日本株ではバリュー株の上昇率が高く、グロース株がさえない展開が続いています。これは、2016年から2020年までの5年間と正反対の流れです。

 2016年から2020年までは、今と正反対、つまりグロース株好調・バリュー株不振が際立つ展開が続きました。特にコロナ禍に見舞われた2020年は、リアル経済の崩壊でバリュー株が下がる中、コロナ禍でも好調であったネット関連などグロース株の上昇が続いたため、極端な二極化となりました。

TOPIXバリュー指数、TOPIXグロース指数、日経平均推移:2016年12月末~2020年12月末

TOPIXバリュー指数・TOPIXグロース指数・日経平均推移:2016年12月末~2020年12月末の図
出所:QUICKより作成。2016年末の値を100として指数化

 バリュー指数・グロース指数の動きを、2010年から2025年1月14日までつなげて見ると、以下の通りとなっています。

TOPIXバリュー指数・TOPIXグロース指数月次推移:2009年12月末~2024年1月14日

TOPIXバリュー指数・TOPIXグロース指数月次推移:2009年12月末~2024年1月17日の図
出所:QUICKより作成。2009年末の値を100として指数化

インフレ・金利上昇が懸念される間、バリュー優位が続く傾向がある

 過去40年以上、日本株の物色動向で、バリュー優位とグロース優位は交互に繰り返してきましたが、日本株ではバリュー優位の期間の方が長いと言えます。

 インフレ・金利上昇が続く時は、バリュー優位となる傾向が強いことがわかります。バリュー株に分類される銘柄の多い、金融株が金利上昇で買われました。また、バリュー株の多い資源関連株や、素材市況株も、インフレ下で上昇が目立ちました。

 一方、インフレ鎮静・金利低下が続く間は、グロース株が優位となる傾向が強く出ていました。1999年と2020年は、グロース株ばかりが買われる極端な二極化の年となりました。

2025年も日本株ではバリュー優位と予想

 2025年も日本株ではバリュー優位が続く可能性があります。その理由は、「20世紀に逆戻り」の経済環境がしばらく続くと予想するからです。モノが不足してインフレが起こるのは、古く20世紀の経済環境です。米国は2021年以降、モノ不足による深刻なインフレが続きました。日本も遅れて、2023年からインフレ率が高まりつつあります。

 このように、世界中で、経済環境が一時的に20世紀に逆戻りしていることが、バリュー株復権の重要な要因となっています。

 21世紀、特にリーマンショック後は、モノの値段も資源価格も金利も下がるのが当たり前となっていました。製造業では稼げない時代となる中、ネット関連やAI関連だけが成長する時代となっていました。そうした環境の中で、ネット関連・AI関連株だけが買い上げられ、オールドバリュー株(金融株、資源関連株、製造業)は低迷し続けました。

 今、一時的に20世紀の投資環境に戻ったことで、バリュー株の業績が拡大し、株価が見直される局面に入っています。その環境が、2025年も続くと予想しています。

 過去に、日本株でバリュー株優位が長く続いた時は、いずれもインフレや金利が上昇した時でした。代表的なものに以下があります。

◆1980年代後半のバリュー相場
円高と貿易戦争でグロース株(ハイテク株)がさえない中、内需中心にバブル景気が盛り上がり、バリュー株が活躍。

◆2000年代前半のバリュー相場
金融株や重厚長大産業が、構造改革で復活。ブリックス(中国、インド、ブラジル、ロシア)と言われる新興国の成長加速で、資源価格が急騰、世界的にインフレ懸念が強まり、金利が上昇。

 米国ではインフレの鎮静化がようやく見られています。ただし、日本は異なります。遅れてリオープンが進む日本で、なお大規模金融緩和が続けられています。米国とは周回遅れの流れです。日本では、これからしぶとくインフレが高止まりする可能性があると考えています。それが、バリュー優位を長引かせる要因になると予想しています。 

東証要請でPBR1倍割れ企業に自社株買い増える

 日本の上場企業で、ガバナンス改革が一段と進む見込みであることも、バリュー優位が続くと予想する理由です。日本には、財務内容が良好で、安定高収益をあげているにもかかわらず、株価がPBR1倍割れなど割安に据え置かれている企業が多数あります。

 そういう株価割安企業に対し、東京証券取引所が「株主価値改善策の開示と実施」を求めてから、日本で自社株買いが増加しています。年10兆円余りの自社株買いが実施されるようになっていましたが、2024年は自社株買いが17兆円近くまで増加したもようです。

 セブン&アイホールディングスや日産自動車に外資から買収提案が出るようになったことも、株価が割安な企業の危機感を強めました。2025年も、この流れは続くと予想されます。

 株価割安企業の自社株買いが増えることによって、バリュー株物色が続くと予想しています。

米国株はグロース優位が長い

 日本株と米国株では、バリューグロースの物色動向が異なります。日本株はバリュー優位になる期間が長いが、米国株ではグロース優位の期間の方が圧倒的に長くなっています。それが、大型グロース株が中心のナスダック総合指数と、オールドバリュー株が相対的に多いダウ工業株30種平均の値動きの違いに表れています。

米国ナスダックとNYダウの動き比較:2009年末~2025年1月14日

米国ナスダック総合指数とNYダウの動き比較:2009年末~2025年1月14日の図
出所:QUICKより作成。2009年末の値を100として指数化

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(窪田 真之)

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