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平均利回り5.2%!J-REITの仕組みを学び、投資価値を見直す

トウシル / 2025年1月18日 8時0分

平均利回り5.2%!J-REITの仕組みを学び、投資価値を見直す

平均利回り5.2%!J-REITの仕組みを学び、投資価値を見直す

「クイズでわかる!資産形成」(毎週土曜日に掲載)の第63回をお届けします。資産形成をきちんと学びたい方に、ぜひお読みいただきたい内容です。

 今日は、J-REIT(ジェイ・リート:国内の不動産投資信託)の特性を学び、その投資価値を考えるクイズを出します。

今日のクイズ

 J-REITは株式の一種です。東京証券取引所に上場しているため証券コードがついていて、株と同じように取引所があいている時間に売買できます。1月14日時点で平均分配金利回りが5.2%と高いことが魅力です。利回りを重視する投資家にとって、分散投資する価値が高いと思います。

 それでは、まずクイズを解いてください。

<クイズ>以下【A】~【G】のうち、J-REITの説明として誤っているものが一つだけあります。それはどれでしょう?

【A】J-REITは、会社型投資信託の一種です。投資を目的とする株式会社(投資法人)を設立して、不動産に投資することで収益を得ます。投資家はその会社の株式を取得して株主になれば、運用収益を受け取ることができます。

【B】J-REITから得られる収益には、投資会社の利益から支払われる分配金の他、値上がり益があります。投資口価格(以下、「価格」と表記)が上昇してから売却すれば、値上がり益が得られます。ただし、価格は上がることも下がることもあります。値下がりしてから売れば、売却損が発生します。

【C】J-REITの投資会社は、毎期、発生した利益のほとんど全てを分配金として投資家に支払います。つまり内部留保(投資家に分配しないで会社に残す利益)はほとんどありません。これに対して、東証に上場している普通の株式会社(J-REIT、ETF以外の株式会社)は、連結利益の約3割を配当金として投資家に支払っています。

 この違いにより、J-REITの平均分配金利回りは、東証の平均配当利回りより高くなります。1月14日現在、東証プライム上場企業の平均配当利回り2.4%に対し、J-REITの平均分配金利回りは5.2%です。

【D】J-REIT投資会社が投資する対象には、オフィスビル、物流施設、商業施設、賃貸住宅、ホテル観光施設などがあります。

【E】J-REITに投資する投資信託(契約型投信)もあります。個人投資家は、J-REITの個別銘柄を買わなくても、J-REITに投資する投資信託を買うことにより、J-REITへ投資することができます。

【F】投資信託を通じてJ-REITに投資するメリットとして、1万円など小口でたくさんの銘柄に分散投資できることが挙げられます。ただし、投資信託の管理手数料(信託報酬)などのコストがかかります。

【G】REIT市場は、日本だけにあります。

不動産への小口投資を可能にしたREIT

 REIT(リート)とは何かご存じない方もいらっしゃると思います。クイズに答えるヒントとして、基礎的なことを少し説明します。REITは、不動産への小口投資を可能にした「上場投資信託」です。

 個人投資家が不動産に投資する場合、ワンルームマンションからアパート1棟までさまざまな投資対象がありますが、かなり大きな金額が必要です。資金規模の制約から、個人投資家が直接投資できる対象は限られます。

 REITを通じて投資すれば、都心一等地の大型ビルに投資することもできます(図A)。

図A REITを通じて大型物件に投資

AREITを通じて大型物件に投資の図
注・筆者作成

 一等地の大型ビルにテナントが集中し、競争力のないビルからテナントが流出する「不動産の二極化」が顕著にみられる時代になりました。投資するならば、一等地の大型ビルに投資したいと考えます。

 ところが、REITが普及するまでは、一等地の大型ビルに投資するには何百億円という規模の資金が必要でした。個人投資家の不動産投資では、小口で投資できるマンションなどが中心になり、大型ビルへの投資は困難でした。しかし、REITの普及によって状況が変わりました。今では小口資金でも、REITを通じて大型ビルに投資することができるようになりました。

 REITは東京証券取引所に上場されていて、一般の株式と同じように売り買いすることができます。最低売買単位での投資額は10万円以下から100万円超までいろいろあります。東京証券取引所に上場しているリートをJ-REIT(Jリート)と呼んでいます。

J-REITの市場概況

 J-REITの銘柄数は1月14日時点で57銘柄、時価総額は合計約14.2兆円です。

 J-REITの市場全体の動きを表す指数として、東証REIT指数と配当込み東証REIT指数があります。2010年1月末を100とした指数に作り替えて2010年以降の動きを比較した以下のグラフをご覧ください。

東証REIT指数と、配当込みREIT指数の月次推移:2010年1月~2025年1月14日

東証REIT指数と、分配込みREIT指数の月次推移の図
出所:2010年1月末の値を100として指数化、QUICKより楽天証券経済研究所が作成

【1】配当込み東証REIT指数

 東証REIT市場全体に分散投資した場合の、トータルリターン(受け取った配当金+価格変動)を示しているのが、配当込みREIT指数の動きです。2010年1月に100投資したら、2025年1月14日に338(約3.4倍)になっています。

 ただし、2020年1月以降を見るとほぼ横ばいです。コロナショックの急落をほぼ取り返していますが、リターンが出ていません。

【2】東証REIT指数

 東証REIT市場全体に分散投資した場合の、価格変動だけを表しているのが東証REIT指数の動きです。受け取った分配金は、リターンに含まれていません。

 2020年1月以降は下落トレンドが続いてきました。分配金を受け取っても、その分、値下がりによってトータルリターンがほとんど出ていない状況です。

平均分配金利回りが5.2%まで上昇

 東証REITの平均分配金利回りは、1月14日時点で5.2%まで上昇しました。2021年8月には3.3%まで低下していましたが、その後J-REITの価格下落が続いたため、利回りは4.7%まで上昇しました。

配当込み東証REIT指数と平均分配金利回りの推移:2019年末~2025年1月14日

配当込み東証REIT指数と平均分配金利回りの推移の図
出所:QUICKより楽天証券経済研究所が作成

 J-REIT全体の平均利回りは4%が妥当であり、利回りが4%を下回っている時、J-REITは「割高」、反対に4%を上回っている時は「割安」と私は判断します。現在は5.2%まで利回りが上がっているため「割安」となります。

正解は…

 J-REITの説明で誤っているのは、【G】です。

 REIT市場は、日本の他に米国、オーストラリア、フランス、英国などにもあります。世界最大のREIT市場は米国です。

テクニカル・ファンダメンタルズ分析を詳しく学びたい方へ

 最後に、私の著書の紹介です。ダイヤモンド社より、株価チャートの読み方をトレーニングする「株トレ」(黄色の本)と、決算書の見方などを学ぶ「株トレ ファンダメンタルズ編」(水色の本)が出版されています。どちらも一問一答形式で株式投資の基礎を学ぶ形です。

2000億円超を運用した伝説のファンドマネジャーの株トレ

2000億円超を運用した伝説のファンドマネジャーの株トレの書影

2000億円超を運用した伝説のファンドマネジャーの株トレ ファンダメンタルズ編

2000億円超を運用した伝説のファンドマネジャーの株トレ ファンダメンタルズ編の書影

(窪田 真之)

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