トランプ大統領就任演説に日銀追加利上げも!?第2の日銀・植田ショックが起こる?
トウシル / 2025年1月20日 14時20分
トランプ大統領就任演説に日銀追加利上げも!?第2の日銀・植田ショックが起こる?
今週はいよいよ20日(月)に米国でトランプ第47代大統領の就任式が行われます。
米国第一主義を掲げ、就任後すぐにでも高関税政策を実施する可能性があるトランプ政権誕生は、米国株にとってはともかく日本株にとっては当面、逆風になりそうです。
また、今週24日(金)に終了する日本銀行の金融政策決定会合では政策金利を0.5%に引き上げる追加利上げが行われる観測が高まっています。
これを受けて、先週の為替市場では日米金利差縮小の思惑から一時1ドル=155円台を割り込むまで円高が進行。
17日(金)のニューヨーク市場終値は1ドル=156円30銭台まで戻しましたが、米国の製造業復活を目指すトランプ新政権がドル安を志向する可能性もあるため、今後は円高進行が日本株の下げ要因になりそうです。
先週は米国で物価指標が若干、落ち着きを取り戻したことで機関投資家が運用指針にするS&P500種指数が前週末比2.91%も急伸しました。
一方、日経平均株価(225種)は3週連続下落となる738円(1.9%)安の3万8,451円で終了。トランプ新政権下における米国株最強、日本株低迷を予感させるような展開になりました。
週間の業種別下落率では中東情勢の緊張緩和で船賃下落が予想される海運株がワースト1位に。トランプ新政権の水面下での圧力もあり、15日(水)にイスラエルとパレスチナ武装組織ハマスが突如、停戦に合意したことが影響しました。
また、円安進行やトランプ高関税政策に対する警戒感から輸送用機器がワースト2位に。主力のトヨタ自動車(7203)は前週末比4.9%安と続落しました。
また13日(月)、米国のバイデン政権が最先端のAI(人工知能)向け半導体の対中国輸出規制の強化を発表したことで、半導体検査装置メーカーのアドバンテスト(6857)が11.8%安となるなど半導体株も幅広く売られました。
AI輸出規制の悪影響を受けるエヌビディア(NVDA)自体は週間で1.32%高とプラスで終了。
16日(木)に世界一の半導体受託製造会社である台湾積体電路製造(TSMC)がAI半導体投資の盛り上がりで市場予想を上回る今後の売上高や設備投資予測を発表したことが好感されました。
半導体株でも日本株の反応の弱さが目立つ結果になったこともあり、今週も米国株上昇、日本株停滞という対照的な展開が続くかもしれません。
17日(金)の米国株が金利低下を受けて大きく続伸したこともあり、20日(月)の日経平均株価は、前週末比451円高となる3万8,902円でした。
先週:コアCPI鈍化、長期金利低下、金融株好決算で米国株急反発!日本株は日銀追加利上げ観測で停滞!
強過ぎる雇用統計や景気指標が相次いでいた米国経済ですが、先週発表された米国の12月PPI(卸売物価指数)や12月CPI(消費者物価指数)は物価高の鈍化が進んでいることを示す結果になり、インフレ再燃懸念が後退しました。
14日(火)発表の12月PPIは食品価格の低下で前年同月比3.3%増、前月比0.2%増といずれも予想を下回りました。
15日(水)発表の12月CPIは前年同月比2.9%上昇と前月11月より伸び率が加速したものの、変動の激しい食品とエネルギーを除いたコアCPIが前月比、前年同月比ともに市場予想を下回りました。
12月CPIの結果を受けて、米国の中央銀行にあたるFRB(連邦準備制度理事会)のウォラー理事が良好なインフレ指標が続けば2025年前半の追加利下げもありうると援護射撃したこともあり、長期金利の指標である米国10年国債の利回りは週初の4.8%台から4.6%台まで低下。
米国株は大きく反発上昇しました。
米国銀行最大手のJPモルガン・チェース(JPM)の2024年通期利益が過去最高になるなど大手金融機関が好決算を連発したことも株高に貢献。
金融株の組み入れ比率が高いダウ工業株30種平均は週間で3.69%高となり、S&P500種指数の2.91%高を上回る上昇でした。
米国株に比べて低調な展開となった日本株ですが、米国金融株の上昇を受けて、野村ホールディングス(8604)が前週末比3.7%高となるなど、証券・商品先物取引セクターが週間の業種別上昇率2位に食い込みました。
また、米国市場が大きな収益源となっている住宅メーカーの住友林業(1911)が7.1%高、太平洋セメント(5233)が7.2%高となるなど、米国景気関連株と呼べる銘柄も買われました。
トランプ新政権の規制緩和や減税、財政出動への期待感もあり、米国内で高収益を上げ、高関税政策の弊害を受けにくい企業には今後も期待が持てるかもしれません。
しかし、先週の日本の全体相場の足を引っ張ったのは今週24日(金)終了の日銀の金融政策決定会合で追加利上げが行われる観測が浮上したことです。
14日(火)には氷見野良三日銀副総裁が、今回の日銀会合で「利上げを行うかどうか議論し、判断したい」と発言。
その後、植田和男日銀総裁も同様の発言を繰り返したことで、金融メディア・ブルームバーグが実施した調査では24日の日銀会合で追加利上げがあると予想するエコノミストが7割超に達しています。
金利の上昇は為替の円高要因になるので自動車株など外需株にとって逆風です。
また、不動産株や建設株など借入金の多い企業にとっては金利コスト上昇が収益圧迫要因になります。
今週:「プラザ合意2.0」も取りざたされるトランプ新政権の為替政策は?日銀利上げで円高・株安進行も!?
今週の米国市場は20日(月)が祝日で休場。厳しい寒さが予想されるため40年ぶりに屋内で行われる大統領就任式でトランプ新大統領がどのような演説を行うかに注目です。
いきなり日本を含む全輸入品に10~20%の関税をかける高関税政策を声高に主張した場合、日本の外需株には大打撃ですが、逆に関税政策に関してトーンダウンした演説内容なら、悪材料出尽くしの反転上昇もありうるでしょう。
今週の米国では大きな経済指標の発表はありませんが、米国企業の2024年10-12月期決算発表が本格化します。
21日(火)には映画配信サービスのネットフリックス(NFLX)、22日(水)には日用品世界一のプロクター・アンド・ギャンブル(PG)や医療機器世界一のジョンソン・エンド・ジョンソン(JNJ)、23日(木)にはアナログ半導体メーカーのテキサス・インスツルメンツ(TXN)が決算発表します。
その他、商業用不動産価格の落ち込みが業績を圧迫している多くの米国地方銀行も決算発表を行うため、思わぬネガティブ・サプライズに注意が必要かもしれません。
日本市場は24日(金)終了の日銀の金融政策決定会合に向けて神経質な展開になりそうです。
日銀の植田総裁は昨年2024年12月25日の講演で、追加利上げは春闘に向けた賃上げの動きなどを見極めて判断したい旨の発言を行っています。
春闘は3月中旬に集中回答日があるため、当初この発言は3月18~19日の日銀会合まで追加利上げはないのでは、という希望的観測につながっていました。
しかし、先週は今回の1月会合で利上げの有無を議論し、判断したいと、発言を微修正している印象があります。
今週24日(金)終了の会合で、政策金利を0.5%まで引き上げる追加利上げが行われた場合、株価急落が起こるのかどうか、予断を許さない状況です。
また、2期目の米国大統領に就任するトランプ氏がドル高、ドル安のどちらを志向するかも日本株の命運を握るといえるでしょう。
トランプ氏は前回1期目の大統領就任時に米国製造業の国際競争力を高めるため、ドル高是正政策をとりました。
実際、大統領に就任した2017年1月始値が1ドル=117円60銭台だったドル/円レートは1月末には112円80銭台まで円高に振れ、退任時の2021年1月末終値はコロナ禍による米国景気の悪化もあって104円70銭台まで円高が進みました。
今回もトランプ氏が行き過ぎたドル高を是正する「プラザ合意2.0」を敢行するのではないかという警戒感も台頭しています。
しかし、先週16日(木)に米国議会証言を行ったトランプ新政権のスコット・ベッセント次期財務長官は、世界の基軸通貨ドルの地位を維持することが重要だと発言。
ドル高政策を継続することが、高関税による輸入品価格の上昇を緩和すると述べています。
その一方で、追加利上げの時期について発言にブレがあるようにも感じられる植田日銀総裁が24日(金)の金融政策決定会合後の記者会見で、今後も金融引き締めに積極的なタカ派的な発言を行うかどうかにも要注意です。
植田日銀総裁は、2024年7月31日の日銀会合で政策金利を0.25%に引き上げたあとの記者会見で政策金利0.5%は「壁ではない」と発言。
この発言が翌週8月5日に日経平均株価が史上最悪の下落幅4,451円の暴落を招くきっかけになりました。
今週24日の日銀会合後の植田総裁の記者会見がその再来にならないことを願いたいものです。
(トウシル編集チーム)
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