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2年目の新NISA、金(ゴールド)をどう買う?

トウシル / 2025年1月21日 7時30分

2年目の新NISA、金(ゴールド)をどう買う?

2年目の新NISA、金(ゴールド)をどう買う?

※このレポートは、YouTube動画で視聴いただくこともできます。
著者の吉田 哲が解説しています。以下のリンクよりご視聴ください。
2年目の新NISA、金(ゴールド)をどう買う?

個人投資家が金(ゴールド)に注目

 1月18日(土)に新宿(東京)で開催された楽天証券主催のイベント「新春講演会2025」に参加しました。筆者は「金・プラチナ」取引を訴求するブースにて、たくさんのお客さまと個別にお話しをさせていただきました。大変に楽しい時間でした。

「なぜ、金(ゴールド)価格は急騰しているのか?」「なぜ、下がらないのか?」「今後、どこまで上がるのか?」といった相場動向の会話の際、楽しそうに、そして熱心にお話をされたお客さまの表情がとても印象的でした。

図:海外金(ゴールド)現物価格と国内地金大手小売価格の推移(2015年1月5日を100として指数化)

海外金(ゴールド)現物価格と国内地金大手小売価格の推移(2015年1月5日を100として指数化)
出所:LBMAおよび国内地金大手のデータを基に筆者作成

 今回の新春講演会は、相場動向だけではなく「そもそも、金(ゴールド)の買い方にはどのような方法があるのか?」などの、買い方に関するお話が多かった印象を受けました。

 振り返れば2024年は、NISA(ニーサ:少額投資非課税制度)の制度改正をきっかけに、投資を始める方が増えたり、株価が短期的に乱高下したり米国の大統領選でトランプ氏が勝利したりして、不安が広がった年でもありました。

 そういった年を経て迎えた2025年の年初に、改めて金(ゴールド)のことを気にし始めた投資家のかたは少なくないと、感じています。今回は、NISA(2年目の新NISA)を使った金(ゴールド)投資について、考えます。

NISA利用時の銘柄選定フロー

 NISAの制度を使って金(ゴールド)投資を行う際、いくつか整理しておくべき点があります。このことを、以下のフローにまとめました。

図:NISAを使った金(ゴールド)投資を行う際のフロー(例)

NISAを使った金(ゴールド)投資を行う際のフロー(例)
出所:筆者作成

 1.材料(取引手法)、2.地域、3.投資枠、4.分野、5.商品の順に選択することで、ご自身の意図に近い、NISAを利用した金(ゴールド)の投資ができると、考えます。

 1と2は市場関連の選択肢です。1の材料(取引手法)については、短期の取引に関わりが深いテーマ(例えば戦争などの有事)に注目した場合は、スポット(随時)で関連商品を売買する、長期の取引に関わりが深いテーマ(例えば中央銀行)に注目した場合は積み立てで関連商品を購入する、という考え方です。

図:海外金(ゴールド)市場に関わる七つのテーマ・材料(一例)と取引手法

海外金(ゴールド)市場に関わる七つのテーマ・材料(一例)と取引手法
出所:筆者作成

 テーマ・材料と取引手法が食い違っている例としては、戦争が勃発して有事ムードが広がったことをきっかけに向こう数十年間を前提とした積立投資を始めたり、過去3カ月間の中央銀行の金(ゴールド)の保有量が増えたことをきっかけに目先数秒間で短期売買をしたりすること、などが挙げられます。

 2の地域については、ドル建て金(ゴールド)の価格に連動する関連商品を「グローバル」、円建て金(ゴールド)の価格に連動する関連商品を「日本」としています。

「グローバル」の金(ゴールド)は、世界全体の有事や物価動向、主要国の中央銀行の動向の影響を受けます。「日本」は、基本的にグローバルな金(ゴールド)に連動しますが、ドル/円相場が急激に円安方向に動いた場合に上昇圧力が、円高方向に動いた場合に下落圧力がかかりやすくなります。(冒頭の図「海外金(ゴールド)現物価格と国内地金大手小売価格の推移」を参照)

 3以降は投資関連の選択肢です。3の投資枠については、後述しますが「成長投資枠」を利用します。

 4の分野は成長投資枠に対応する関連する投資信託、関連するETF(上場投資信託)、関連する個別株の中から選択します。投資金額・リスク許容度だけでなく、ポイント投資ができるか、クレジットカード決済ができるか、配当を受け取ることができるか、などが選択する際の目安になります。

 5の商品は、金(ゴールド)相場との連動性や諸コストの額などが選択する際の目安になります。こうした五つの選択を経てNISAを利用した金(ゴールド)投資における具体的な商品が絞り込まれます。

グローバル・日本、スポット・積み立て

 以下の図は、NISAがカバーする金(ゴールド)投資の範囲を示しています。

図:NISAがカバーする金(ゴールド)投資の範囲(2025年1月17日時点)

NISAがカバーする金(ゴールド)投資の範囲(2025年1月17日時点)
出所:筆者作成

 NISAには二つの投資枠があります。「つみたて投資枠」と「成長投資枠」です。このうち「つみたて投資枠」を利用して取引ができる商品は、金融庁が定める基準を満たした投資信託です。これらは、国内外の株式や債券、REIT(リート:不動産投資信託)などを基にした商品です。

 現時点(2025年1月17日時点)で、こうした投資信託の中に、金(ゴールド)関連の投資信託は含まれていません。このため、NISAを利用した金(ゴールド)関連の投資では、「成長投資枠」を利用することになります。

 成長投資枠を利用できる金(ゴールド)関連商品は「投資信託(対象外あり)」、国内外の「ETF」「個別株」です(2025年1月17日時点)。これらを駆使することで、デイトレードも積立投資もできます。グローバルな金(ゴールド)でも、日本の金(ゴールド)でも、こうした取引ができます。

 楽天証券が提供している米国株の積立「米株積立」と国内株式の積立「かぶツミ」のサービスが成長投資枠に対応していることは、NISAと金(ゴールド)投資の距離を近づけていると言えます。

図:金(ゴールド)関連銘柄の価格と現物価格の連動傾向

金(ゴールド)関連銘柄の価格と現物価格の連動傾向
出所:筆者作成

 上の図のとおり、成長投資枠を利用できる「投資信託(対象外あり)」「ETF」「個別株」はいずれも「間接的」な取引手法です。「直接的」な手法は、金(ゴールド)現物そのもの、あるいはそれに限りなく近い手法である、純金積立や商品先物、CFDなどです。

「間接的」と「直接的」の最も大きな違いは、関連する商品の値動きのもととなる金(ゴールド)相場との連動性です。直接は連想性が高く、間接はそれよりも低くなる傾向があります。

 また、投資信託については早期償還となったり、関連株については本業以外の要因によってマイナスの影響を受けたりすることがあります。これらはいずれも、関連する商品と金(ゴールド)相場の連動性が低下する例です。こうした点は、NISAで金(ゴールド)関連の投資商品を取引する上で、留意しておきたい点です。

米利下げ方針で金(ゴールド)相場上昇

 ここからは、2025年の金(ゴールド)相場を展望します。以下は、筆者が考える金(ゴールド)に関わる七つのテーマの見通しです。

図:金(ゴールド)に関わる七つのテーマ(2025年の見通し)

金(ゴールド)に関わる七つのテーマ(2025年の見通し)
出所:筆者作成

 米国の中央銀行に当たる「FRB(米連邦準備制度理事会)」は、2023年12月のFOMC(米連邦公開市場委員会)で利上げから利下げにかじを切りました。それ以降、時期や下げ幅を巡る「程度」の議論はあれども、「利下げ」の方向でおおむね一致しています。

図:FFレートと海外金(ゴールド)現物価格の推移

FFレートと海外金(ゴールド)現物価格の推移
出所:FEDおよびLBMAのデータ、Fed Watch Toolの資料を基に筆者作成

 上のグラフのとおり、2019年半ばから2020年5月まで行われた利下げ局面で、ドル建て金(ゴールド)価格は上昇しました。米国の利下げが、ドルを保有するメリットが薄まる→金利が付かない金(ゴールド)のデメリットが薄まる、という連想を生んだことが主な要因です。「代替通貨(ドルの代わり)」起因の上昇圧力が生じた例です。

 2022年・2023年は、記録的な利上げによって生じた急激なドル高が、ドル建て金(ゴールド)相場に「代替通貨」起因の強い下落圧力をもたらしました。

 この間、ウクライナ戦争などの有事が発生したり、それによって株価が下落したりして複数の経路で上昇圧力が生じたものの、利上げによってもたらされた下落圧力に相殺されました。(ドル高の反対側の円安により、円建て金(ゴールド)は上昇)

 しかし2024年以降、先述のとおり、米国は利下げの方向でおおむね一致しているため(時期や下げ幅を巡る程度の議論はある)、将来的なドル安への思惑から、徐々に金(ゴールド)相場には上昇圧力がかかりやすくなっていると言えます。

 議論がなされる中で、いかに利下げ回数の予想が減少しても、いかに利下げ幅の予想が小さくなっても、「利下げ方針」が保持されてさえいれば、金(ゴールド)相場には上昇圧力がかかり続ける可能性があります。2025年も、米国の金融政策をきっかけとした「代替通貨」起因の上昇圧力が続くと筆者は考えています。

トランプ2.0は世界分断を深化させる

 トランプ2.0が始まることによって、急低下する可能性がある指数があります。V-Dem研究所(スウェーデン)が公表している米国の自由民主主義指数です。

図:米国の自由民主主義指数

米国の自由民主主義指数
出所:V-Dem研究所(スウェーデン)のデータより筆者作成

 法整備、裁判制度、言論の自由など、民主主義に関わる多数の情報をまとめて数値化したこの指数は0と1の間で決定し、0に接近すればするほど、その国が自由で民主的な度合いが低いことを、1に接近すればするほど自由で民主的な度合いが高いことを意味します。

 上の図のとおり、東西冷戦のさなか、米国は旧ソ連や旧ソ連と考え方を同じくする国々と明確に異なる自由で民主的な姿勢を強めました。2001年に同時多発テロ発生をきっかけとした混乱によって一時的に低下したものの、その後は反発して0.85近辺に達し、米国が世界屈指の自由で民主的な国であることが示されました。

 しかし、2016年にトランプ氏が米大統領選挙で勝利した後、0.72近辺まで急低下しました。彼の勝利は、民主主義の対局にある分断を利用したものだったといわれています。この急低下は、彼の横暴ぶりが米国の民主主義を大きく傷つけたことを示唆しています。

 そして今、トランプ2.0が始まり、再び同指数が急低下する可能性が高まっています。以下の図のとおり、西側の超大国である米国の民主主義の行き詰まりは、2010年ごろから続く、世界全体の民主主義の停滞、ひいては世界分裂を加速させる可能性があります。

図:2010年ごろ以降の世界分断発生とコモディティ(国際商品)価格上昇の背景

2010年ごろ以降の世界分断発生とコモディティ(国際商品)価格上昇の背景
出所:筆者作成 イラストはPIXTA

 世界分裂は戦争を激化させたり、非西側の資源国の出し渋りを拡大させたりするおそれがあります。戦争激化は有事ムード拡大を、資源の出し渋り拡大はインフレ拡大の要因になり得ます。こうした傾向が強まる1年目が2025年であると、考えられます。

 多くの個人投資家の皆さまに関心を抱いていただいている金(ゴールド)の価格は、2025年も細かく短期的に上下しつつも、上値を切り上げる可能性があります。また、2025年が将来的な長期上昇トレンドの一部となる可能性もあります。

 本レポートでは、NISAという2024年に使い勝手がよくなった制度を使って金(ゴールド)を買うためのアイデアを述べました。図「NISAを使った金(ゴールド)投資を行う際のフロー(例)」などを再度ご確認の上、ご自身に合った商品をお探しいただけましたら幸いです。具体的な商品(例)へのリンクは、以下のとおりです。

[参考]NISA成長投資枠対応商品の例

投資信託(当社ではクレジットカード決済、楽天ポイントで購入可能。以下はNISA成長投資枠対応)

三菱UFJ 純金ファンド
ピクテ・ゴールド(為替ヘッジあり)
ゴールド・ファンド(為替ヘッジあり)

関連ETF(NISA対応)

SPDRゴールド・シェア(1326)
NF金価格連動型上場投資信託(1328)
純金上場信託(金の果実)(1540)
NN金先物ダブルブルETN(2036)
NN金先物ベアETN(2037)
SPDR ゴールド・ミニシェアーズ・トラスト(GLDM)
ヴァンエック・金鉱株ETF(GDX)

関連株

バリック・ゴールド(GOLD)
アングロゴールド・アシャンティ(AU)
アグニコ・イーグル・マインズ(AEM)
フランコ・ネバダ(FNV)
ゴールド・フィールズ(GFI)

(吉田 哲)

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