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高配当株ランキング~2024年に大幅上昇したものの、依然として高配当利回り水準を誇る銘柄群

トウシル / 2025年1月22日 7時30分

高配当株ランキング~2024年に大幅上昇したものの、依然として高配当利回り水準を誇る銘柄群

高配当株ランキング~2024年に大幅上昇したものの、依然として高配当利回り水準を誇る銘柄群

米国の利下げペース鈍化を意識し2025年に入って日本株は軟化

 直近1カ月(2024年12月13日~2025年1月17日)の日経平均株価(225種)は終値ベースで2.6%の下落となりました。

 12月27日には、7月19日以来となる終値ベースでの4万円台乗せとなりましたが、2025年に入ると調整色が強まり、1月17日には一時3万8,000円近辺まで下落し、期間中の最安値をつけています。結局、2024年10月以降続く、3万8,000~4万円レンジでの株価推移からは脱却し切れない状況となっています。

 なお、この期間(2024年12月13日~2025年1月17日)のダウ工業株30種平均は0.8%の下落となっています。

 12月の中旬にかけてはいったん下落し、FOMC(米連邦公開市場委員会)で市場想定通りに0.25%の利下げが決定されたものの、2025年の利下げ回数見通しが引き下げられたことが弱材料視されました。ただ、直後に開催された金融政策決定会合を通過して、日本銀行のハト派姿勢が確認されたことが安心感につながり、その後日経平均は反転しています。

 為替相場での円安進行なども支援材料につながったとみられます。月後半の4万円台回復場面では、トヨタ自動車(7203)株の上昇、好決算発表のファーストリテイリング(9983)株の上昇などが指数の押し上げ要因となったほか、自動車業界の大型再編の動きなども期待材料となったようです。

 一方、年明け後は、米長期金利の上昇を受けて株価は調整に転じました。年末に4.5%台であった米10年債利回りは4.8%台にまで上昇し、雇用統計の市場予想大幅上振れなどで、利下げペースの鈍化が一層意識されることになりました。

 さらに、中旬以降は、日本銀行の1月利上げ実施観測も急速に台頭し、日本株のマイナス材料となりました。1月20日に米大統領就任式を控え、トランプ政権の政策に対する懸念も強まったようです。

 この期間、米長期金利の上昇を受けて、中小型グロース株の一角がさえない動きとなりました。マネーフォワード(3994)ペプチドリーム(4587)PKSHA Technology(3993)ラクス(3923)メルカリ(4385)ビジョナル(4194)などが10%以上の下落となっています。

 マネーフォワードは決算もネガティブ視されましたが、サイゼリヤ(7581)も決算発表後は出尽くし感が強まる展開になっています。KADOKAWA(9468)ソニーグループ(6758)との資本提携が発表されましたが、市場ではソニーによる買収期待もあったため、売り材料視される形になりました。

 半面、ホンダ(7267)との経営統合が伝わった日産自動車(7201)が大幅上昇し、統合への参加が想定されている三菱自動車(7211)も買われました。ホンダ(7267)に関しても、大規模な自社株買いを発表したことで急伸しています。

 ほか、野村マイクロ・サイエンス(6254)TOWA(6315)SCREENホールディングス(7735)など売り込まれてきた半導体関連のリバウンドも目立ちました。ニデック(6594)による買収が伝わった牧野フライス製作所(6135)も急伸しました。

米新政権の政策、日米金融政策、10-12月期決算など見極め材料が数多い

 1月20日には大統領就任式が行われ、第2次トランプ政権が発足しました。当面は新政権の打ち出す政策に対して一喜一憂の展開が見込まれます。規制緩和の推進やインフラ投資などの期待政策もありますが、短期的には、関税政策や移民政策など市場に対してネガティブとなりそうな政策がクローズアップされるとみられます。

 対中半導体規制などもバイデン政権時からの変更がなされる可能性がありそうです。自動車株や半導体株などは、当面神経質な展開を余儀なくされそうです。ただ、仮に就任直後にネガティブサプライズ的な政策が発せられ、株価が大きく下落する場合には、その後の政策緩和の可能性などを見越した押し目買いの機会になっていく公算があるでしょう。

 1月23~24日に開催される日銀金融政策決定会合、28~29日に開催される米FOMCなど日米の金融政策も目先の関心事となります。足元では急速に日銀の1月利上げ観測が強まっており、現段階では0.25%の利上げ実施で、あく抜け感が強まる余地はありそうです。年内の利上げ回数コンセンサスなどが切り上がるような状況にまでは至らないと考えられるためです。

 逆にFOMCでは追加利下げが見送られ、年内の利下げ回数見通しが1回程度に引き下がる可能性があります。この場合、米国株にとっては逆風ですが、日本株にとっては円高進行の抑制要因につながるプラス面も出てきそうです。ほか、1月28日からは中国が春節休暇となります。日本にとってはインバウンド需要の増大が期待されてくることになります。

 また、中国に関しては、トランプ政権による関税政策の発動が懸念されている一方、それに対応するための景気刺激策の一段の拡充期待は残るでしょう。

 今後1カ月は、10-12月期の決算発表も物色の大きな手掛かり材料となってきます。タイミング的には、2025年度の業績見通しが注目されやすくなるとみられ、企業側の先行き見通しによって個別銘柄や業界の選別の動きが強まる公算です。米新政権の政策に対する影響予測なども重視されてくるでしょう。

 ちなみに、最近の決算発表においては、大幅増配や自社株買いなど株主還元策が大きな株価材料とされてきましたが、発表企業がすでに増加してきている中、徐々にこうした動きや期待感などは後退していくことは考慮すべきでしょう。一方、足元ではM&A(企業の合併・買収)に対する関心が高まっています。

 とりわけ米国では、バイデン政権下でM&Aが抑制されてきたことから、政権交代に伴い一気に活況に転じる可能性も高いとみられます。2025年はM&Aが日本株の下支え材料になると考えていますが、今回の決算発表においても、M&Aが顕在化する余地は大きいとみます。

 ニデックの牧野フライスTOBにみられるような、国内企業同士での敵対的M&Aにまで、M&Aの範囲は広がりつつあります。

2024年株高銘柄の上昇トレンドに追随へ

 米国では利下げペースの鈍化が足元で強く意識され、今後、トランプ新政権の政策遂行に伴う金利の上昇も懸念されるところです。当面は、米長期金利の動向に対する警戒感からグロース株は手掛けにくく、その分バリュー株への資金シフトが進む可能性は高いとみられます。

 年替わりとなる1月はNISA(ニーサ:少額投資非課税制度)資金の流入も多いとみられ、投資対象とされやすい高配当利回り銘柄への関心を高めたい場面です。

 関税政策を筆頭にトランプ政権の政策による影響がつかみきれない中、物色の方向性も現状では定めにくいと考えられます。ひとまずは、これまでのトレンドに乗る形での順張り投資が重要視されるでしょう。

 2024年の株価上昇率が高かった銘柄をスクリーニングしていますが、株価上昇後でも依然として高配当利回り水準にある銘柄などは、株価の相対的な割安感から引き続き上値余地が残ると考えられます。

(表)2024年に株価が大幅上昇した高配当利回り銘柄

コード 銘柄名 配当
利回り
(%)
1月17日
終値
(円)
時価総額
(億円)
騰落率
(%)
増益率
(%)
7296 エフ・シー・シー 6.46 3,125.0 1,626 83.62 5.9
8219 青山商事 5.92 2,146.0 1,081 52.39 15.8
4114 日本触媒 5.78 1,868.5 2,914 40.96 20.8
5451 淀川製鋼所 5.72 5,400.0 1,719 47.05 0.7
7148 FPG 4.83 2,702.0 2,307 72.12 10.7
1885 東亜建設工業 4.66 1,159.0 1,042 34.27 -15.3
8725 MS&AD
インシュアランス
グループホールディングス
4.55 3,185.0 51,221 86.57 70.6
注:増益率は今期会社計画ベースの営業増益率、MS&ADは純利益
注:騰落率は2023年12月29日から2024年12月30日
注:FPGは9月決算、その他は3月決算

銘柄選定の要件

  1. 配当利回りが4.5%以上(1月17日現在)
  2. 時価総額が1,000億円以上
  3. 2024年の株価上昇率が30%以上

厳選・高配当銘柄(5銘柄)

1 青山商事(8219・東証プライム)

 紳士服専門店を全国展開する大手企業です。郊外型の「洋服の青山」(2024年末店舗数679)が中心ですが、都心型の「ザ・スーツカンパニー」などその他の店舗(同59)も手掛けています。海外は中国で6店舗(2024年6月末)を展開中です。レディースウエアも扱うなど、若年層や女性客を含めた新規顧客層の獲得にも注力しています。

 紳士服事業のほか、100円均一ショップを運営する雑貨販売事業、「洋服の青山」で発行しているクレジットカード「AOYAMAカード」の会員向けに金融サービスを提供するカード事業なども手掛けています。2024年8月にはインドネシアで新たな生産拠点を設立しました。

 2025年3月期上半期(4-9月期)営業利益は6.4億円で、前年同期比53.8%減となっています。中核事業であるビジネスウエア事業における売上の不振が響く形となり、人件費上昇なども重しとなりました。

 一方、上半期の実績は当初計画の14億円を下回る着地になりましたが、通期予想は従来の130億円から138億円にわずかに上方修正しています。既存店売上高は前年同期比で、上期実績の99.4%から下期には101.7%と回復に転じる見通しとしています。

 また、販売費や一般管理費の削減なども進めるもようです。なお、1-12月期の既存店増収率は98.4%で推移しており、現状ではやや下振れが意識されます。

 上半期の決算発表時に株価は大きく上昇しました。配当方針の変更を発表したためで、これまで下限配当60円、配当性向40%としていましたが、今後は配当性向70%もしくはDOE(株主資本配当率)3%のいずれか高い方を採用するとしています。

 これに伴い、2025年3月期年間配当金は従来の61円から127円にまで引き上げました。さらに、発行済み株式数の2.98%に当たる150万株、30億円を上限とする自社株買いの実施も同時に発表しています。取得期間は2024年11月15日から2025年3月24日までです。

 なお、自社株買いに関しては、2027年3月期までの中期経営計画期間中で最大100億円としていることで、今後も追加実施が想定されます。

2 日本触媒(4114・東証プライム)

 紙おむつに使用される高吸水性樹脂の世界トップ企業です。アクリル酸、酸化エチレンなども主力分野となります。成長事業としては、電池・水素関連材料、ディスプレイ・半導体(レジストなど)材料、中分子原薬受託製造や医薬品開発支援などのライフサイエンス事業も手掛けています。

 リチウムイオン電池の電解質として使われ、電池の長寿命化を実現させる素材「イオネル」などが今後の期待製品となります。海外売上比率は50%超の水準となっています。3次元細胞培養容器が再生医療にて初採用されています。

 2025年3月期上半期(4-9月期)営業利益は104億円で、前年同期比4.5%増となり、従来計画の90億円を上振れています。第1四半期(4-6月期)の同22.8%減から一転増益に転じました。スペシャリティケミカルズの需要堅調推移やディスプレイ関連製品の販売数量増加に加えて、円安効果による採算改善なども収益の押し上げにつながったようです。

 2025年3月期通期では、従来予想の180億円から200億円、前期比20.8%増に引き上げています。上半期の上振れ着地に加えて、原料価格の下落による一段の採算改善も見込んでいるようです。なお、下半期の為替レートの前提は145円であり、さらなる業績の上振れ要素と言えます。

 11月7日の上半期決算を受けて、株価は大きく水準訂正を果たしました。7-9月期の収益急回復に加えて、配当予想の引き上げも好感されています。年間配当金は従来計画の70円から108円にまで引き上げられています。

 会社側では2025年3月期から2028年3月期までの4期間において、配当性向100%またはDOE2.0%のいずれか大きい金額を目安に配当を実施するとしています。一段の業績上振れの可能性が残る点は、さらなる増配期待にもつながります。

 建築、土木、各種産業用の接着剤事業などを行うイーテックの子会社化効果、競合の三洋化成の高吸水性樹脂事業撤退で、2026年3月期の業績も続伸が見込まれます。

3 淀川製鋼所(5451・東証プライム)

 溶融亜鉛めっき鋼板を主軸とする表面処理鋼板メーカーです。建築分野をはじめ家電製品・住宅設備機器などの産業分野で使用されています。「ヨド物置」などのエクステリア商品、屋根・壁材などの建材商品も扱っています。

 また、鉄鋼用で世界最大級の超大型ロール技術なども有しています。海外展開では、中国、台湾、タイに子会社を抱えており、売上比率は3割強の水準となっています。豊富なキャッシュポジションを有するなど財務体質は良好です。

 2025年3月期上半期(4-9月期)営業利益は78億円で、前年同期比42.8%増となっています。鋼板事業における店売りの販売数量が増加したほか、クレーム費用の減少なども寄与しました。台湾子会社の販売数量拡大も貢献しています。2025年3月期通期では121億円で前期比0.7%増の見通しです。

 主に国内において、鋼材市況の高止まりの影響などから需要が弱含み、下期にかけ販売数量が伸び悩むことを想定しています。ただ、高い進捗(しんちょく)率などを背景に、上振れの余地は大きいと考えられます。年間配当金は前期比109円増の309円を計画、2026年3月期までは配当性向を75%以上にするとしています。

 物言う株主とされる投資ファンドのストラテジックキャピタルが、2024年10月24日現在で6.29%の大株主となっています。2024年4月には、DOE6%となる配当、PBR(株価純資産倍率)1倍を達成するための計画の策定・開示、買収防衛策の廃止(のちに廃止を決定)、株主優待制度の廃止および、自己株式の消却などの株主提案をしています。

 同社では2024年3月期から2025年3月にかけて配当金を大幅に引き上げていますが、今後もROE(自己資本利益率)改善を目指して、特に持ち合い株式縮減に伴う自己株式取得などの還元策が期待できるでしょう。

4 FPG(7148・東証プライム)

 オペレーティング・リースを手掛けるリースファンド事業、国内・海外の不動産ファンド事業が主力事業となります。リースでは、航空機リース、コンテナリース、船舶リースなどを手掛けています。2027年4月1日より原則適用開始となる「リースに関する会計基準」においても、同社のリースファンド事業への影響は極めて軽微としています。

 国内不動産ファンド事業では、300億円超の大規模案件を立て続けに組成し、2024年9月期の年間組成額は1,158億円にまで拡大しています。海外不動産ファンド事業でも、事業開始以来、初めて単年度内に複数案件を組成しています。

 2024年9月期営業利益は286億円で、前期比56.8%増となり、従来予想の256億円を上回りました。海運案件を主体としたリースファンド事業、国内不動産ファンド事業がけん引役となり、それぞれ年間販売額は過去最高を大幅に更新しています。

 また、2025年9月期は317億円、同10.7%増を見込んでいます。国内・海外不動産ファンド事業の販売額拡大を見込み、リースファンド事業は海運案件を主体とした収益性の高い案件を厳選して組成する方針のようです。ファンド事業の在庫確保は極めて高水準な状態にあり、業績拡大の確度は高いとみられます。

 2024年は、3月に発表した業績・配当予想引き上げが買い材料となったほか、10月31日に発表した通期決算も株高材料となりました。2024年9月期実績数値が上振れ着地となったほか、2025年9月期の2ケタ増益見通しとしています。加えて、2024年9月期期末配当金は従来計画の67.10円から81.55円に引き上げ、年間配当金は前期比27.3円増の120.3円としました。

 ちなみに、年間配当金の期初計画は77.5円でした。2025年9月期も前期比10.1円増の130.40円を計画とし、一段の配当利回り妙味の高まりにもつながっています。さらに、発行済み株式数の1.2%に当たる100万株、20億円を上限とする自社株買いも発表していますが、前回の自社株買いを終了したばかりのタイミングであったため、インパクトが強まる形になったようです。

5 MS&ADインシュアランスグループHD(8725・東証プライム)

 三井住友海上火災保険、あいおいニッセイ同和損害保険、三井ダイレクト損害保険を傘下とする国内トップの損害保険会社です。自動車保険、自賠責保険、火災保険などの主要種目においてシェアナンバーワンとなっています。

 48カ国で展開する(2024年4月現在)海外損保事業においてもASEANでトップの実績です。トヨタ、三井、住友、日本生命など日本有数の企業グループを通じた強固な収益基盤が強みです。個人向け自動車保険を通信販売する三井ダイレクト損害保険も傘下です。

 また、三井住友海上あいおい生命保険、三井住友海上プライマリー生命保険などで展開する生保事業も育成しています。

 2025年3月期上半期純利益は4,589億円で、前年同期比5.2倍となっています。自然災害に係る発生保険金の減少、政策株式削減による売却益計上などを主因に、国内損保事業が大幅増益となりました。

 また、国内生保事業、海外事業などの収益も拡大しています。2025年3月期通期純利益は従来予想の6,100億円から6,300億円、前期比70.6%増に上方修正しています。資産運用損益などは期初計画から引き下げていますが、国内損保の保険引受利益、海外保険会社の収益見通しなどを引き上げています。

 年間配当金は前期比実質(1:3の株式分割考慮後)で22.5円増の72.5円を計画しています。

 2024年の株価は、2月、5月の決算発表後にそれぞれ水準訂正の動きとなり、その後は高値圏での推移を続けました。5月の本決算発表時には、市場予想を上回る大幅増益見通し、ならびに、前期比での実質大幅増配見通しが好感されました。

 ちなみに、今期は12期連続での増配計画となる格好です。同社では株主還元方針として、グループ修正利益の50%を基本として配当および自己株式の取得で還元するとし、配当金に関しては前年実績を下回らない累進配当の形をとっています。

 さらに、政策保有株式の2029年度末残高ゼロを目標としており、政策株式売却加速分は特別配当という形で還元を行うともしています。今後も、当面は株主還元に手厚い状況が続くと予想されます。

(佐藤 勝己)

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