投資の「複利効果」ってどういう意味?
トウシル / 2025年1月25日 8時0分
投資の「複利効果」ってどういう意味?
「クイズでわかる!資産形成」(毎週土曜日に掲載)の第64回をお届けします。資産形成をきちんと学びたい方に、ぜひお読みいただきたい内容です。
読者の方から、「複利(ふくり)効果ってどういう意味でしょう?」と質問をいただきました。今回は、「複利効果」について学ぶクイズを出します。
今日のクイズ
<クイズ>
山田さんは、NISA(ニーサ:少額投資非課税制度)口座で投資信託A(基準価額1万円)を1口購入しました。
田中さんは、NISA口座で投資信託B(基準価額1万円)を1口購入しました。
投信Aも投信Bも、今後5年間、年率10%の利益が出ると仮定してください。
ただし、分配方針は異なります。
投資信託Aは、期末に利益を全て分配金として投資家に支払います。
投資信託Bは、無分配です。
山田さんと田中さんが投資した1万円は、それぞれどのように増えていくでしょうか?
以下の【1】【2】から選んでください。
投資開始 | 1年後 | 2年後 | 3年後 | 4年後 | 5年後 | |
---|---|---|---|---|---|---|
【1】 | 1万円 | 1万1,000円 | 1万2,000円 | 1万3,000円 | 1万4,000円 | 1万5,000円 |
【2】 | 1万円 | 1万1,000円 | 1万2,100円 | 1万3,310円 | 1万4,641円 | 1万6,105円 |
また、【1】と【2】のうち、複利効果が出ているのはどちらでしょう?
現実には毎年一定のリターンが出る投資はない
クイズを作っていて気になったのですが、現実にはこのように、毎年10%の利益が出続けるような投資はありません。
銀行預金など、元本保証型の運用ならば毎年一定の利率でリターンが出ます。ただし、そういう低リスク運用では高いリターンは出ません。
高いリターンを得るためには、高いリスクを負う必要があります。「10~20%の利益が出ることもあれば、リターンがマイナス10~マイナス20%になることもある」、そういうリスクの高い投資で、長期的に高いリターンを得る可能性はあります。
例えば、2013年以降の日経平均株価の推移をご覧ください。
乱高下を繰り返しながら上昇する日経平均株価:2012年末を100として指数化、2025年1月20日まで
日経平均は2013年以降の12年で3.6倍くらいに上昇しており、とても高いリターンです。ただし、さまざまなショックで10~30%くらい急落することがよくあります。2024年7~8月にも、高値から安値までで26%の急落がありました。
私は、2028年までに日経平均は5万円まで上昇すると予想しています。ただし、これから何度も急落・急騰を繰り返しながら、上昇していくと思います。リスクを適切に管理しながら日本株に投資していくことが、長期的な資産形成に寄与すると考えています。
正解は…
山田さんは【1】、田中さんは【2】です。
投資開始 | 1年後 | 2年後 | 3年後 | 4年後 | 5年後 | |
---|---|---|---|---|---|---|
山田さん | 1万円 | 1万1,000円 | 1万2,000円 | 1万3,000円 | 1万4,000円 | 1万5,000円 |
田中さん | 1万円 | 1万1,000円 | 1万2,100円 | 1万3,310円 | 1万4,641円 | 1万6,105円 |
複利効果が出ているのは、【2】田中さんの方です。
複利とは
それでは、改めて「複利」について分かりやすい銀行預金の例で説明します。利息のつき方に、単利と複利があります。利息に利息がつくのが「複利」です。
利息には利息がつかず、元本にのみ利息がつくのが「単利」です。
年利(1年間につく利息)10%の預金に1万円預けたとします(現実にはそんなに高い利息のつく預金はありません。単なる設例として見てください)。
税金はかからないものとして計算します。
【単利ならば】
1年後に1,000円の利息がつきます。1万円×10%=1,000円
2年後にも1,000円の利息がつきます。
2年後には元利合計1万2,000円になります。
【複利ならば】
1年後に1,000円の利息がついて、預金額は1万1,000円になります。
2年後には、1万1,000円に対して1,100円の利息がつきます。1万1,000円×10%=1,100円
従って、2年後には元利合計で1万2,100円になります。
単利ならば2年後に1万2,000円、複利ならば2年後に1万2,100円です。
100円の差は、利息が生んだ利息です。
途中で現金を引き出すことなく、利息を再投資し続ければ、長期のリターンは高くなります。
それが「複利効果」です。
預金ではなく、投資の場合はこのように分かりやすく毎年プラスのリターンが得られるわけではありません。投資の場合、20%増える年もあれば10%減ってしまう年もあります。単純に分かりやすく複利効果が出るわけではありません。
超長期(10~20年)の運用を考える時はちょこちょこ細目に分配金を取ってしまうより、分配金を取らないでじっくり「複利効果」を取っていく方が高いリターンが得られると思います。
テクニカル・ファンダメンタルズ分析を詳しく学びたい方へ
最後に、私の著書の紹介です。ダイヤモンド社より、株価チャートの読み方をトレーニングする「株トレ」(黄色の本)と、決算書の見方など学ぶ「株トレ ファンダメンタルズ編」(水色の本)が出版されています。どちらも一問一答形式で株式投資の基礎を学ぶ形です。
「2000億円超を運用した伝説のファンドマネジャーの株トレ」
「2000億円超を運用した伝説のファンドマネジャーの株トレ ファンダメンタルズ編」
(窪田 真之)
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