1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 経済
  4. 経済

トランプ大統領就任演説波乱なし、日銀の1月利上げほぼ確実(愛宕伸康)

トウシル / 2025年1月22日 8時0分

トランプ大統領就任演説波乱なし、日銀の1月利上げほぼ確実(愛宕伸康)

トランプ大統領就任演説波乱なし、日銀の1月利上げほぼ確実(愛宕伸康)

※このレポートは、YouTube動画で視聴いただくこともできます。
著者の愛宕 伸康が解説しています。以下のリンクよりご視聴ください。
トランプ大統領就任演説波乱なし、日銀の1月利上げほぼ確実

トランプ大統領就任演説は波乱なし

 トランプ大統領の就任演説が20日(現地時間)に行われましたが、事前に主張していた内容から大きく逸脱するものではなく、警戒されていた関税引き上げについても具体的な内容に触れることはなかったため(図表1)、市場が大きく反応することはありませんでした。

図表1 トランプ米大統領の就任演説

トランプ大統領就任演説の主なポイント
出所:各種資料より楽天証券経済研究所作成

 また、トランプ大統領は、就任当日の20日、26にも上る大統領令に署名しました(図表2)。

図表2 トランプ大統領の指針(Presidential Actions)

トランプ大統領の指針(Presidential Actions)
出所:米国大統領府、楽天証券経済研究所作成

 大統領府のホームページを見れば大統領令の詳細が確認できますが、とにかく数が多いので、主なものだけ見ると(図表3)、南西部の国境に「国家非常事態宣言」を発出し、国境管理を強化したほか、パリ協定やWHOからの離脱を指示しました。

図表3 20日に署名された主な大統領令

署名された主な大統領令(2025年1月20日現在)
出所:各種資料より楽天証券経済研究所作成

 ただ、前述した通り、中国などに対する関税の即時発動は見送られ、貿易赤字の原因、経済的および国家安全保障上の影響およびリスク、不公正な貿易慣行や為替政策について調査するとの内容にとどまったため、為替や長期金利は落ち着いた動きとなっています(図表4)。

図表4 ドル/円相場と米国の10年金利

ドル/円相場と米国の10年金利
出所:Bloomberg、楽天証券経済研究所作成

日銀の1月利上げほぼ確実

 こうしたことを受けて、日本銀行は23~24日に行う1月の金融政策決定会合で、0.25%の利上げを実施する可能性が高まったとみています。

 今月14日、日銀の氷見野良三副総裁は横浜で行った講演で、「1月金融政策決定会合の焦点は利上げを行うかどうかになる」、「トランプ大統領の就任演説を見て、米国経済が堅調に推移するというメインシナリオの確度を確かめたい」と述べており、警戒していた関門をひとまず突破したことになります。

 また、トランプ新政権の政策が経済に及ぼす影響をかなり警戒している植田和男総裁も、「(1月金融政策決定会合で)利上げを行うかどうか議論し、判断する」と述べていることや、昨年12月の「金融政策決定会合の主な意見」で、12月に利上げ提案した田村直樹審議委員以外にも利上げに賛成するとみられる政策委員が存在することが判明していることから、24日までにマーケットが急変しない限り、1月利上げはほぼ確実とみていいでしょう。

長期金利の上昇トレンドは変わらず~10年金利は年末1.6%台へ~

 日本の長期金利は、インフレ再燃リスクを背景とする米長期金利の上昇や日銀の利上げ観測を受け、年始から比較的速いペースで上昇した後、足元にかけてはやや落ち着いて推移しています。

図表5 日本の10年金利

日本の10年金利
出所:Bloomberg、楽天証券経済研究所作成

 しかし、少し長い目で見た場合、日銀が国債買い入れ額を緩やかに縮小しつつあることや、1月利上げ後も、参院選が終わった秋ごろにはもう一度利上げする可能性が高いことから、上昇トレンドが続くと見ています。

 図表6には、日銀の国債買い入れ額の推移を掲載していますが、昨年7月に買い入れ額の縮小を決めて以降、2026年1~3月の月額3兆円程度に向けて着実に買い入れ額は減少しています。

図表6 日本銀行の国債買い入れ額

日本銀行の国債買い入れ額
出所:日本銀行、楽天証券経済研究所作成

 このまま国債買い入れ額が縮小し、日本銀行が保有している国債の残高が減って行けば、長期金利には上昇圧力が強まっていくと考えられます。1月8日のレポートで紹介した筆者の推計によれば、今年の年末には1.6%台前半まで上昇すると予想され、実際の長期金利もおおむねオントラックで推移しています(図表6)。

図表6 日本の10年金利の予測

日本の10年金利の予測
出所:Bloomberg、楽天証券経済研究所作成

 多少の振れは相場の常。一時的に落ち着いていても、ファンダメンタルズが変わらない限り、上昇トレンドが大きく変わることはないと考えられます。むしろ買い手不足により債券需給が緩んでいる局面では、ちょっとしたきっかけで跳ねるリスクがあるので、注意が必要です。

(愛宕 伸康)

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください