株価予想は無意味?株式市場の「緊急事態」にどう行動するか決めておこう
トウシル / 2025年1月23日 11時0分
株価予想は無意味?株式市場の「緊急事態」にどう行動するか決めておこう
将来の株価予想を参考にしていますか?
個人投資家にとって最大の関心事といえば、「これから株価がどうなるか?」だと思います。
1月20日にトランプ大統領が就任しましたが、就任後の政策移管で米国だけでなく世界経済が大きな影響を受けることになります。
ですからこれまで以上に個人投資家の方は、「ここからマーケットがどう動くのか」を知りたいと思っているはずです。
この疑問に答えるように、さまざまな専門家や評論家の方が今後の見通しを述べています。
ただ筆者は、そうした予想についてはそれほど重視していません。一つは、予想は得てして外れることが多いという点ですが、もう一つ重要な点があります。それは、予想は「平時」を想定して行われているに過ぎないからです。
予想は「平時」がベースになっている
株式市場は、「平時」と「緊急事態」があります。大部分は平時なのですが、時々想定をはるかに超えるような動きを見せます。バブルやバブル崩壊であったり、もしくは2020年2~3月のいわゆるコロナ・ショックや2008年9月のリーマン・ショックのような状況は、まさに「緊急事態」です。
しかしながら、専門家・評論家の方の予想のほとんどは、「緊急事態」を想定していません。足元の景気状況が良ければ、それが当面の間続くという前提で予想されていることが多いです。
正直申し上げて、「平時」を前提とした予想であれば、予想そのものをさほど気にせずとも、銘柄選択をしっかり行い、売買のタイミングを間違えなければ少なくとも大きな失敗は回避できるはずです。
平時ベースの予想は緊急事態では通用しない
例えば日経平均株価の見通しを予想する際、来期の日経平均株価採用銘柄の1株当たり当期利益に、過去平均のPER(株価収益率)を乗ずることで、おおむねのレンジが示されます。
仮に1株当たり予想当期利益が2,500円、PERの過去平均が12~18倍とすると、日経平均株価は3万円~4万5,000円の範囲で動く、と予想できます。
正直、このような予想であれば、予想を気にしてもしなくても、投資行動にはそれほど差はないと思います。
ところが、これが緊急事態になると話が一気に変わってきます。コロナ・ショックの時もそうでしたが、上の例でいけば1株当たり予想当期利益が2,500円、というものがそもそも怪しくなってきます。
そしてパニック売りが生じることなどにより、PERの過去平均から下方に乖離(かいり)してしまいます。
ちなみに、2008年のリーマン・ショックのときは、日経平均株価採用銘柄の予想当期利益がマイナスになったため、PERは「算定不能」になったくらいです。
また、よく言われる日経平均株価の下値メドとして、「PBR1倍」というものがあります。これも株価予想時によく使われますが、やはり「平時」であることが前提です。
コロナ・ショック時も、日経平均株価がPBR1倍の水準でも下げ止まることなく、さらに株価下落となりました。
「緊急事態が来たらどうするのか」を今から考えておく
このように、予想はあくまでも平時ベースなので、今後「〇〇ショック」のような緊急事態が来たらどうするのか、今からしっかり考えておく必要があります。
もし事前の準備が全くないと、緊急事態が実際に生じたとき、パニックになって安値で投げ売りしてしまったり、何も動けずに塩漬け株を誘発することになってしまうからです。
新NISA(ニーサ:少額投資非課税制度)のつみたて投資枠など、長期分散積立投資をしている場合は、「何もしない」のが基本になるでしょう。長期分散積立投資では、「常にマーケットに居続ける」ことが重要であり、運用期間中に株価がどう動いたとしても保有を続けることこそが成果につながるからです。
一方、個別株の場合は、緊急事態で株価が急落してもその後戻らないことも多々あります。個別株についてもバイ・アンド・ホールドを推奨する方もいますが、個人的には売買のルール、つまりどうなったら保有株を売却するかを事前に決めておけば、もし緊急事態が生じたとしても、そのルール通りに淡々と行動していれば、安値でのパニック売りや塩漬け株は回避できます。
逆に緊急事態では、普段なかなか株価が下がらない優良株を安く買うことができる絶好の機会となります。
今のうちから、株価が大きく下がったら買いたい銘柄をピックアップしておくのがよいでしょう。
株式投資では「緊急事態」にどう行動するかが、投資成績に大きく影響を与えると筆者は感じています。
いつ来るかは分からないが、まず必ず訪れる「緊急事態」。しっかりと備えて大きな荒波にのみ込まれないようにしましょう。
■【動画で学ぶ】足立武志さんの株投資テクニック満載!
≫[動画で解説]成長株、割安株、高配当利回り株…どの株を選べばいい?
≫[動画で解説]投資初心者に絶対知ってもらいたい!新NISAの『不都合な真実』
(足立 武志)
この記事に関連するニュース
-
4年前から日経平均4万円超えを予測していた経済アナリストが「日経平均は誰でも予測できる」と断言するワケ
プレジデントオンライン / 2025年1月17日 13時16分
-
ユニクロ、郵船、オリエンタルランド、INPEX、PER・PBRが低く配当利回りが高い株はどれ?
トウシル / 2025年1月11日 8時0分
-
ユニクロ、郵船、オリエンタルランド、INPEX、PER・PBRが低く配当利回りが高い株はどれ?
トウシル / 2025年1月11日 8時0分
-
日経平均が4万8608円を達成する「3つの条件」とは 2025年の高値目標をいくらにおけばよいのか
東洋経済オンライン / 2025年1月6日 9時30分
-
今年の投資成果を見直して2025年を迎えよう!過去の売買で振り返りたいポイント
トウシル / 2024年12月26日 11時0分
ランキング
-
1今年「Windows 10がサポート終了」と聞きましたが、今使っているパソコンは使えなくなりますか?お金がかかるためなるべく買い替えは避けたいのですが…。
ファイナンシャルフィールド / 2025年1月21日 4時30分
-
2ドミノ・ピザはなぜ「有明ガーデン」を選んだのか フードコート初出店の経緯
ITmedia ビジネスオンライン / 2025年1月22日 8時10分
-
3なぜフジテレビは失敗し、アイリスオーヤマは成功したのか 危機対応で見えた「会社の本性」
ITmedia ビジネスオンライン / 2025年1月22日 6時10分
-
4「全裸遺体」への視聴者の反応ではっきりした…真田広之の「SHOGUN 将軍」にできてNHK大河にできないこと
プレジデントオンライン / 2025年1月23日 17時15分
-
5「返金作業もう地獄です」フジテレビ 相次ぐCM取りやめ、300億円減収試算も【Nスタ解説】
TBS NEWS DIG Powered by JNN / 2025年1月23日 21時51分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください