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日経平均「4万円の壁」厚い?トランプ関税、対コロンビア撤回、メキシコどうなる?(窪田真之)

トウシル / 2025年1月28日 8時0分

日経平均「4万円の壁」厚い?トランプ関税、対コロンビア撤回、メキシコどうなる?(窪田真之)

日経平均「4万円の壁」厚い?トランプ関税、対コロンビア撤回、メキシコどうなる?(窪田真之)

※このレポートは、YouTube動画で視聴いただくこともできます。
著者の窪田 真之が解説しています。以下のリンクよりご視聴ください。
エヌビディア17%安!生成AI開発、競争激化の不安。どうなる日本株?

トランプ政権始動、予測不能のサプライズに警戒

 27日、米国の半導体大手エヌビディア株が17%安と急落しました。この影響で、日本でも半導体関連株などが下落する可能性があります。中国のAI開発企業ディープシークが低コストで高性能AIを開発したとの情報を受けて、生成AI開発の競争激化が懸念されました。この影響から、日経平均株価もしばらく調整する可能性があります。

 27日の日経平均株価は、前日比366円安の3万9,565円でした。先週、一時4万円まで上昇しましたが、「4万円の壁」の厚さが意識され、4万円からいったん打ち返された形となりました。

日経平均週足:2024年1月4日~2025年1月27日

日経平均週足:2024年1月4日~2025年1月27日
出所:楽天証券MSIIより楽天証券経済研究所が作成

 トランプ大統領が、就任直後に輸入関税を発動しなかったこと、AI投資促進を強く打ち出すなど「ビジネスにフレンドリー」とみられたことが好感されて、先週は、世界的に株が買われました。ウクライナ停戦に向けて強く働きかける姿勢を打ち出したことが、欧州経済、欧州株にプラスと考えられ、ドイツDAX指数、英国FT100指数は、一時最高値を更新しました。

 ただし、今後、トランプ政権がどのようなサプライズ(驚き)を出してくるか予測は難しく、慎重にウオッチする必要があります。最大のリスクは輸入関税の発動です。

トランプ政権への株式市場の初期反応は良好

 トランプ政権が「ビジネスにフレンドリー」と受け止められたことから、株式市場の初期反応は良好でした。

トランプ政権に対する、株式市場の受け止め

トランプ政権に対する、株式市場の受け止め
出所:筆者私見

【1】メキシコへの関税不安はやや低下、対コロンビアの関税撤回から

 トランプ大統領は、「メキシコとカナダに25%の関税を課すことを検討している、2月1日だろう」と発言しています。即時発動がなかっただけで、「メキシコやカナダからの薬物や犯罪の流入が止まるまで関税をかける」というトランプ大統領の考えは変わっていません。他の国々にも、準備が整えば、関税をかける可能性は示唆しています。

 ただ、メキシコに対する制裁は、さほど重くはならないのではないか、という期待が出ています。メキシコ政府が、不法移民対策や違法薬物取引の摘発について、トランプ政権に協力的な姿勢を見せているからです。

 過去最大の不法移民の強制送還に対してメキシコ政府がトランプ政権に自重を求めるなど対立点はあるものの、話し合いが続く限り、関税による制裁がすぐ実行されることはないという期待もあります。

 対メキシコ交渉が続いている間、トランプ政権が対コロンビアで25%の輸入関税の導入を決めてその直後に撤回する騒ぎがありました。不法移民の強制送還(軍用機による送還)を受け入れなかったコロンビアに対して、25%の輸入関税発動を発表しましたが、その直後に、コロンビア政府が移民送還を全面的に受け入れると表明したことで、関税発動は撤回されました。

 トランプ政権が、中南米諸国に対して移民送還の要求を通すために関税を「脅し」として使っていることが明らかになった事例となりました。

 メキシコが、トランプ政権の要求を受け入れる姿勢を示している限り、即座に関税が導入されることはないという期待につながります。

 メキシコで生産している自動車を米国へ輸出している、トヨタ、ホンダ、日産自動車、マツダなどの自動車産業にとって、対メキシコで輸入関税が導入されると大きなダメージが及ぶことから、メキシコ制裁の可能性がやや低下したとみられていることはプラス材料です。

 ただし、トランプ大統領が、今後どんなサプライズ(驚き)を出すか予測不能としか言いようがありません。今後の推移を慎重にウオッチする必要があります。

【2】対カナダ、対中国での輸入関税がどうなるか不明

 トランプ政権と対立姿勢をとっていたカナダのトルドー首相は、辞任の意向を示しています。カナダとの交渉がどうなるかは、現時点で分かりません。中国との交渉もこれから本格化するものと、考えられます。

【3】ウクライナ停戦に強い意欲を示していることはポジティブ材料

 ウクライナ停戦に強い意欲を示し、ロシア、中国、欧州に働きかけると述べていることが、欧州株にとってポジティブ材料となりました。2022年にロシアによるウクライナ侵攻が始まってから、欧米諸国は、ロシアへの経済制裁を強めてきました。

 それはロシア経済だけでなく、ロシアとの経済的つながりが強まっていたドイツなど欧州経済にとってもダメージでした。ウクライナ停戦が実現するかどうかは分かりませんが、停戦への期待が欧州株の上昇要因となった面もあります。

【4】AI投資、エネルギー投資推進、規制緩和方針が好感される

 ビジネスにフレンドリーとみられ、米国株上昇に寄与しました。

 一方、トランプ政権の施策で、株式市場に不安を与えるものも多数あります。特にインフレ再燃、金利上昇のリスクは注意が必要です。ただし、それは先行きの不安で、すぐ現実となるものではありません。

 結果的に、トランプ施策に対する株式市場の初期反応は良好となりました。

日経平均はいずれ「4万円の壁」を超えると予想

 トランプ政権の政策に株式市場が一喜一憂する展開が続いています。しかし、冷静に振り返ると、トランプ政権の政策だけで、世界の株式市場が動いているわけではありません。米景気、世界景気がどう推移するかが、より重要です。

 2016年11月にトランプ大統領が最初に大統領選に勝利したあと、「トランプ・ラリー」といわれる世界的な株価上昇がありました。トランプ政権への期待もありましたが、それだけではありません。今振り返ると、2016年の後半は、世界景気の回復期に当たります。2016年前半に景気後退すれすれまで悪化した世界景気が、2016年後半から回復したのです。

 トランプ政権への期待だけではなく、世界景気の動向が、世界の株式の動きに大きな影響を及ぼしているということです。

 トランプ政権は、これからも次々とサプライズを出してくると思われます。それでも、米景気がソフトランディング、世界景気の緩やかな拡大が続くシナリオを壊すような政策を出すとはみていません。

 日本の景気、企業業績は、米景気ソフトランディングの中で、緩やかな拡大が続くと予想しています。

東証プライム上場、3月決算主要841社の連結純利益(前期比%)

東証プライム上場、3月決算主要841社の連結純利益(前期比%)
出所:楽天証券予想

 トランプ政権の政策次第でいつでもショック安はあり得ますが、それでも、日経平均はいずれ4万円を超え、年末には4万4,000円まで上昇すると予想します。割安な日本株を、時間分散しながら買い増ししていくことが、長期の資産形成に寄与すると判断しています。

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2025年1月27日:トランプ・リスク低下?日経平均4万円超えは定着する?(窪田真之)

(窪田 真之)

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