「リバランス」=長期投資ポートフォリオのメンテナンスのやり方
トウシル / 2025年2月1日 8時0分
「リバランス」=長期投資ポートフォリオのメンテナンスのやり方
「クイズでわかる!資産形成」(毎週土曜日に掲載)の第65回をお届けします。資産形成をきちんと学びたい方に、ぜひお読みいただきたい内容です。
クイズの前に、アセット・アロケーションとは
最初にアセット・アロケーション(資産配分)について説明し、その後でクイズを出します。
長期の資産形成で、投資成果のほとんどはアセット・アロケーション(資産配分)によって決まります。国内株式、外国株式、外国債券、国内債券などの資産に、保有する投資資金を何パーセントずつ配分するかが重要です。
例えば、日本最大、かつ世界でも最大の公的年金で、運用資産248兆2,274億円を保有するGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)の基本ポートフォリオは以下の通りです(2024年9月末時点)。
GPIFの基本ポートフォリオ
基本ポートフォリオとは、248兆円の運用資産のアセット・アロケーションを示すものです。決められた比率±6%あるいは±8%の範囲に、実際のアセット・アロケーションが収まるように管理しています。
今日のクイズ
Aさんは、老後のための資産形成として3年前に400万円で運用を始めました。GPIFの基本ポートフォリオに倣って、日本株、外国株、外国債券、国内債券に25%(100万円)ずつ投資しました。国内債券では、安全資産として個人向け国債「変動金利型10年」に投資しました。
3年前、運用開始時のポートフォリオ
外国株・日本株の値上がりが大きく、3年間で運用ポートフォリオの時価総額は480万円となりました。
3年後のポートフォリオ
値上がり率が資産ごとに異なるため、時価ベースの構成比率がスタート時点と異なるものとなっています。
ここでリバランスを行って、スタート時点のアセット・アロケーションに戻すためには、以下の【A】【B】【C】のうち、どのアクションをやったら良いでしょうか?
売買コスト・税金はかからないものと仮定してください。
【A】個人向け国債(102万円)を全て売却して、外国株式を102万円買い増しする。
【B】外国株式を28万円だけ売却して、外国債券を10万円、個人向け国債を18万円買い増しする(10万円+18万円=28万円)
【C】外国株式(148万円)を全て売却して、個人向け国債を148万円買い増しする。
アセット・アロケーションで、投資の成果はほとんど決まる
投資成果のほとんどはアセット・アロケーション(資産配分)によって決まります。国内株式、外国株式、外国債券、国内債券などの資産に、保有する貯蓄を何パーセントずつ配分するか、それが重要です。
アセット・アロケーションの次に大切なのが銘柄選別です。まず、アセット・アロケーションを決め、次に銘柄を決めるのが理想的です。
ところが、個人投資家には「何を買うか」だけ考えてアセット・アロケーションをどうするか考えない方がたくさんいます。「これいいですよ」と言われた投資商品を次々と買っていった結果、雑多な投資商品をいくつも保有することになり、全体でどういうリスクを取っているか分からなくなっている人もいます。
もし、皆さんが、以下のように質問されたらすぐに答えられますか?
【質問】あなたが今、保有する金融商品(投資信託、株、ETF(上場投資信託)、REIT(リート:不動産投資信託)、債券、銀行預金など)全体で、どういうアセット・アロケーションになっているか、分かりますか? 国内株式、外国株式、外国債券、国内債券、現金預金、その他にそれぞれ何%投資しているか分かりますか?
すぐに答えられる人はほとんどいないかもしれません。ちょっと調べた上で、きちんと答えられますか? 複雑な金融商品をいろいろなところで買っていて、全体でどうなっているか、調べようがなくなっている人もいると思います。
どういうリスクを取っているか分からない方は、分かるものだけ分類してください。
【国内株式】日経平均インデックスファンド・A社株…
【外国株式】全米株式インデックスファンド・G社株…
【外国債券】米国債…
【国内債券・現金預金】個人向け国債・銀行預金…
【その他】金プラチナ・複雑なリスクをとっている投資信託・暗号資産…
複雑なリスクをとっていて、そのリスクの中身が何であるか理解していない金融商品は、極力減らしましょう。理想的なのは、「プレイン・バニラ」といわれる単品商品だけでポートフォリオを組むことです。最初は、国内株式だけ、外国株式だけ、外国債券だけのように、取っているリスクがクリアで分かりやすいものから投資していった方が良いと思います。
正解は…
正解はBです。
Bを実施したあと、アセット・アロケーションは、運用開始時点と同じ比率に戻ります。
リバランス後のポートフォリオ
このように、アセット・アロケーションが大きく変動した時に元に戻すアクションを、リバランスと言います。
株などの高リスク資産は値動きが激しく、急騰・急落を繰り返します。急騰した資産を少しだけ売り、急落した資産を少しだけ買うリバランスは、長期のパフォーマンス向上とリスク管理に貢献するので、できればやった方が良いと思います。
長期投資のために構築したポートフォリオを、何もせず放置しておいても悪くはありません。ただ、できれば数年に1回、あるいは相場が大きく動いた後に、リバランスを検討したら良いと思います。
クイズの設問にある【A】と【C】は、リバランスの悪い例です。
【A】は、安全資産をゼロにして、値上がり率の高かった外国株を買い増しする行動です。ポートフォリオのリスクが高くなり過ぎるので、望ましくありません。
【C】は値上がり率の高かった外国株式を全て売ってしまうものです。安全資産の比率が高くなり過ぎるので、望ましくありません。
値上がり率の高かった外国株式を少しだけ売り、値上がり率の低かった資産に移すリバランス【B】を少しだけやるのが良いと思います。
GPIFを応用したアセット・アロケーション
皆さまが資産形成するためのアセット・アロケーションとして、GPIF型をそのまま使っても良いですが、個人の事情に合わせて以下のように修正しても良いと思います。
GPIF基本ポートフォリオを応用したさまざまなアセット・アロケーション
GPIFの基本ポートフォリオをタタキ台として、皆さまにふさわしいアセット・アロケーションを工夫してください。
テクニカル・ファンダメンタルズ分析を詳しく学びたい方へ
最後に、個別株投資にチャレンジしたい方に、私の著書の紹介です。ダイヤモンド社より、株価チャートの読み方をトレーニングする「株トレ」(黄色の本)と、決算書の見方などを学ぶ「株トレ ファンダメンタルズ編」(水色の本)が出版されています。どちらも一問一答形式で株式投資の基礎を学ぶ形です。
「2000億円超を運用した伝説のファンドマネジャーの株トレ」
「2000億円超を運用した伝説のファンドマネジャーの株トレ ファンダメンタルズ編」
(窪田 真之)
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