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トランプ関税発動で今週は乱高下も!?「DeepSeekショック」は意外と根深い!? 

トウシル / 2025年2月3日 13時50分

トランプ関税発動で今週は乱高下も!?「DeepSeekショック」は意外と根深い!? 

トランプ関税発動で今週は乱高下も!?「DeepSeekショック」は意外と根深い!? 

 2月1日(土)、米国のトランプ大統領は4日(火)からカナダとメキシコからの輸入品に25%の関税、中国には10%の追加関税を課す大統領令に署名しました。

 これを受け、3日(月)の日経平均株価は大幅下落。下げ幅は一時先週末比1,100円を超え、午前終値は959円(2%)安の3万8,612円でした。

 ついに株式市場が最も恐れていたトランプ関税が発動されることで、今週の株式市場は波乱もありうる大荒れの展開になりそうです。

 JETRO(日本貿易振興機構)の試算によると、実際に今回のトランプ関税が実行されると世界全体のGDP(国内総生産)が0.3%押し下げられる見通しです。

 トランプ関税は米国経済にも大打撃となり、米調査機関タックス・ファンデーションの試算によるとGDPが0.4%減少、物価高再燃で世帯負担が約830ドル(約13万円)増える見込みです。

 カナダは早々に米国の電気自動車メーカー・テスラ(TSLA)の輸入車に100%の対抗関税をかけるプランも含む報復関税の意向を表明。中国、メキシコも反発しており、今後、世界中を巻き込んだ貿易戦争に発展するのは必至の情勢です。

 トランプ大統領が高関税発動を表明した1月31日(金)の米国株は急落。機関投資家が運用指針にするS&P500種指数は前日比0.5%下落し、週間でも前週末比1.0%安と3週ぶりに下落しました。

 今週、米国では2月3日(月)のISM(全米供給管理協会)の1月製造業景況指数に始まり、7日(金)の1月雇用統計まで非常に重要な雇用・景気指標も相次いで発表されます。

 また4日(火)には米国半導体メーカーのアドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)、グーグルの親会社アルファベット(GOOG)、6日(木)にはアマゾン・ドット・コム(AMZN)などが決算発表。

 日本でも4日(火)に日本銀行の追加利上げを好感して先週、史上最高値を更新した三菱UFJフィナンシャル・グループ(8306)や青天井で株価上昇が続く防衛関連株の三菱重工業(7011)が決算発表。

 5日(水)の取引時間中にはトヨタ自動車(7203)、6日(木)には東京エレクトロン(8035)など、トランプ大統領の高関税政策などに振り回されている感のある主力の自動車・半導体株も決算発表します。

 トランプ政権の報道官は、「トランプ大統領がいったん発動した高関税をいつでも止められる」と発言しています。

 カナダやメキシコが不法移民や合成麻薬フェンタニルの米国流入の規制強化を表明すれば、高関税撤回もありうるかもしれません。

 先週は週明け早々、もう一つビッグニュースがありました。

 中国の新興企業「DeepSeek(ディープシーク)」が、超低コストにもかかわらず非常に高性能な生成AI(人工知能)システムの開発を発表。

 米国のAI関連株が幅広く売られる「ディープシーク・ショック」が半導体セクターに襲いかかりました。

 米国の仮想敵国である中国の一新興企業が、生成AIソフトでトップを走る米国オープンAI社の「ChatGPT」の10分の1程度のコストで、それ以上に性能が高いAIシステムを作り上げたニュースは衝撃的でした。

 米国巨大IT企業が巨額資金を投じてAIデーターセンター構築を進める中、その中核部品の高速半導体の販売で飛躍的に業績を伸ばしてきたエヌビディア(NVDA)は、27日(月)株価が17%も暴落。

 たった1日で時価総額が約92兆円も消失する米国史上最大の減少額を記録しました。週間でも前週末比16%安と大きく下げています。

 日本でもエヌビディアへの販売比率が高い半導体検査装置のアドバンテスト(6857)が前週末比13.8%安と急落。

 「ディープシーク・ショック」は、AIバブルストーリーを根底から覆す可能性もあるだけに今後も尾を引きそうです。

 ただ、先週の日経平均株価(225週)は前週末比359円(0.9%)安の3万9,572円と小幅の下落にとどまりました。

 先々週の日本銀行の追加利上げに続き、29日(水)終了のFOMC(米連邦公開市場委員会)で追加利下げが行われず、当面利下げを急がない方針が示されたこともあり、国内外の金利上昇が収益向上につながる銀行業やディフェンシブ色の強い内需株が積極的に買われました。

 出遅れた日本の内需株に対する資金の流入やシフト(移動)が続いていることは、今週も株価の下支え役になりそうです。

 米国の長期金利の低下で一時、1ドル=153円90銭台まで円高が進んだドル/円の為替レートは、トランプ高関税の発動を受けて31日(金)夜のニューヨーク市場終値では155円20銭台までドル高円安方向に戻しています。

先週:「DeepSeekショック」を米国巨大IT企業の好決算が救う!日本株も銀行株、内需株が下支え!

 中国の新興企業ディープシークが巻き起こしたショックは、「AIの開発には巨額の資金や電力が必要」という思い込みを根底から覆しました。

 AI普及には高額な設備投資が必要ということで、2024年に株価が6倍高するなど急騰してきた光ファイバーメーカーのフジクラ(5803)が前週末比13.8%安。

 同社に属している非鉄金属セクターは先々週、業種別騰落率で突出した上昇率1位でしたが、先週は圧倒的な下落率1位に沈みました。

 トランプ大統領が就任早々ぶち上げた総額78兆円規模の米国AIインフラ事業に参画したソフトバンクグループ(9984)も10.9%安と急落。

 その一方、「AIを作るのにそれほどお金は必要ない」ということになれば、AIを使ってソフトウエア開発を行う新興企業などには追い風です。

 先週は、顔だけで買い物やマンションの入退室管理ができる顔認証プラットホーム「FreeiD(フリード)」を手掛ける、本業は投資用不動産開発のミガロホールディングス(5535)が前週末比40.1%も上昇。東証プライム市場の週間上昇率No.1に輝きました。

 これも「ディープシーク・ショック」がもたらした銘柄物色の変化といえるかもしれません。

 「ディープシーク・ショック」後の海外では、29日(水)にオランダの高性能半導体製造装置メーカーASMLホールディング(ASML)がAI半導体向け最先端装置の需要好調で、2024年10-12月期の新規受注が予想を大幅に上回ったと発表。

 フェイスブックの親会社であるメタ・プラットフォームズ(META)は今後も同社のAIが幅広く利用され、長期的な優位性を保てる見通しを示したことで前週末比6.44%高。

 2024年10-12月期の中国事業とiPhone販売は減収となったものの、今後の業績がそれほど落ち込まない見通しを示したアップル(AAPL)も5.93%の上昇。

 クラウド部門「Azure」の成長鈍化が鮮明だったマイクロソフト(MSFT)以外は好決算が相次ぎ、「ディープシーク・ショック」が巨大IT企業や半導体株全体に波及することはありませんでした。

 日本では先々週の日銀の追加利上げを受けて、長期金利の指標となる10年国債の利回りが一時1.248%の高値をつけるなど金利が上昇。

 みずほフィナンシャルグループ(8411)が前週末比8.1%高となるなど、金利上昇が収益増に貢献する銀行株が上昇しました。

 逆に金利上昇が負担になるはずの不動産株も、日銀の追加利上げで悪材料織り込み済みと見なされ、三井不動産(8801)が6.3%高と続伸するなど週間の業種別上昇率ランキングで3位に入りました。

 実際、内需系の大型株の組み入れ比率が高いTOPIX(東証株価指数)は日経平均株価とは逆に、前週末比1.4%高まで上昇しました。

今週:米国1月雇用統計に注目!市場はトランプ関税の方針転換待ち?

 今週発表される米国の経済指標で最も注目されるのは7日(金)の1月米国雇用統計です。

 前回12月の非農業部門雇用者数は、予想をはるかに上回る前月比25.6万人増で失業率も4.1%に低下しました。今回1月の新規雇用者数は15.0万人増の予想です。

 先週1月30日(木)に発表された米国の2024年10-12月期の実質GDPは前期比年率換算で2.3%の伸びと予想を下回ったものの、個人消費は同4.2%増と予想を上回る高い伸び率でした。

 31日(金)発表の個人消費支出の価格指数(PCEデフレーター)も前年同月比2.6%上昇と予想通り。

 米国では旺盛な個人消費と沈静化する物価高、堅調な雇用情勢が続いています。

 今週の雇用・景気指標に関しても、あまりにネガティブなものでなければ材料視されることはないかもしれません。

 一方、「トランプ関税」の動きからも目が離せません。トランプ大統領は1月31日(金)、ロシアやブラジル、インドなどBRICS諸国がドルに代わるBRICS通貨をつくった場合、100%の関税をかけると脅迫。

 2月18日(火)以降は米国が輸入する原油や天然ガスにも関税をかけ、「EU(欧州連合)に対しても「何らかの非常に重要な」関税を課す」と発言しました。

 この発言を受けて市場ではドル高が進み、原油が小幅上昇し、株価は下落しています。

 ただ、矢継ぎ早に関税をかければ輸入品価格高騰で米国内の物価が再上昇して、好景気が失速する懸念もあります。

 ビジネスフレンドリーなトランプ大統領がそれを気にしないはずはありません。

 単なる脅迫ではなく、実際に高関税を発動したトランプ大統領がどの段階で方針を転換、撤回、緩和するかに注目が集まりそうです。

(トウシル編集チーム)

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