パソナ、五洋建設…日本を支える「地方創生2.0」関連銘柄5選
トウシル / 2025年2月4日 18時50分
パソナ、五洋建設…日本を支える「地方創生2.0」関連銘柄5選
「節分天井・彼岸底」3月はリバランス売り?
2025年も早いもので1カ月が過ぎ、「節分天井」と呼ばれる2月に入りました。節分天井とは、「節分天井・彼岸底」という相場格言で「節分の時期(2月上旬)に高値をつけて、彼岸の時期(3月中旬)に安値をつける」という内容です。
1月の大発会から新春相場が始まると、節分の時期である2月上旬ごろまで上昇し、その後、3月入りすると調整局面を迎え、年度に関する需給的な売買(例えば、年金などが決められている投資割合より日本株の割合が多かった場合に日本株を売却して投資割合を調整すること(「リバランス売り」とも言う)が重しとなって下落していくという相場の動きを言い表しています。
2月から3月の株価データを詳細に検証しているわけではありませんが、この投資格言に対しては「あー、まぁ、そうだよね」という納得感はあります。結構、相場格言は「?」と感じることが多いのですが、この格言は感覚的にすっと入る印象です。それだけ上昇局面にある相場展開で迎える3月の年度末のリバランスの売りのインパクトは大きいということです。
2025年投資テーマ「地方創生2.0」に注目する理由
さて、足元の東京市場は「DeepSeekショック」の余韻が残っていますが、日本銀行が追加の利上げを決定した1月24日、国会では石破茂首相が施政方針演説を行いました。そこで発せられた「令和の日本列島改造」は今後関心を集めそうなキラーワードと言えるでしょう。
類似の取り組みとしては、石破首相が政治の師と仰ぐ田中角栄元首相による1972年の「日本列島改造論」や、大平正芳元首相による1979年の「田園都市国家構想」、そして、竹下登元首相による1988年の「ふるさと創生」などがあります。今回、石破首相はかつて堺屋太一氏が発案した「楽しい日本」の実現をキャッチフレーズに「令和の日本列島改造」を提唱しました。
2014年、安倍政権が「地方創生」を掲げ、石破首相は初代の地方創生担当大臣を努めた経緯や総務大臣の経験などから、石破首相の「地方創生2.0」に対する思いの強さは感じます。自分の言葉ではなく、過去の偉人・有識者の引用ワードが目立つ気はしますが…。
昨年末に自由民主党がまとめた「地方創生2.0の起動に向けた提言」では下記の5項目が記載されていました。
- 付加価値創出型の新しい地方経済の創生
- 安心して働き、暮らせる地方の社会生活環境の創生
- 持続可能な行政体制構築に向けたあり方の見直し
- 災害リスクや過密に伴う非効率化などのリスクに対応した人や企業の分散
- デジタル・新技術の活用
そして、1月24日の施政方針演説で触れた内容は下記の五つです。
- 若者や女性にも選ばれる地方
- 産官学の地方移転と創生
- 地方イノベーション創生構想
- 新時代のインフラ整備
- 都道府県域を超えた広域連携
表現は若干変化しましたが、言わんとする内容はほぼ同じです。この地方創生とは、非常に幅広くさまざまな事象が網羅されることから、私は2025年の投資テーマとしても「脱デフレ」並みに注目しています。今、日本全国で発生している上下水道の破損に伴う重大な事故を防ぐことも重要な地方創生の一つでしょう。
生活水準を引き上げるために高度経済成長期に一斉整備された上下水道は、現在、同じタイミングで老朽化を迎えています。耐久年数60年を超えた上下水道管が日本各地で破損し、至る所で水しぶきを上げ始めました。これは地方のみならず東京や大阪など政令指定都市も同様の問題です。
とりわけ、富山県南砺市の老朽化率は68.7%と7割近くの上下水道管が危機的な状況を迎えています。上下水道インフラは分散している家をつなぎますので、平野部、山間部をカバーしている南砺市は市民一人当たりに必要な水道管の長さが全国平均のおよそ3倍とのことです。
運用コストが他の自治体比でかかる上、人口減少も追い打ちをかけており、水道料金の値上げが急務な状況となっています。
石破首相が掲げる地方創生2.0には、こうした上下水道のインフラ点検・補修も当然入ってきます。財源に苦しんでいる地方自治体が直面している問題は上下水道だけではなく、道路や橋梁(きょうりょう)の老朽化、鉄道・バスなど交通インフラの整備、地場産業の衰退、官主導で建設した施設の老朽化などさまざまです。
中長期投資で注目!地方創生関連株5選
今回は地方創生の観点から注目した5銘柄をご紹介します。非常に幅広いジャンルですので、各ジャンルで代表的な銘柄を選んでいますが、短期的に関心が高まる可能性は低いと考えます。
明確に「地方創生ならこれ!」という明確な見方がまだ存在しないことから、中長期的に評価される銘柄が多いと考えます。ある意味、NISA(ニーサ:少額投資非課税制度)で保有するには適しているかもしれません。
銘柄名 | 証券コード | 株価(円) (2月4日終値) |
特色 |
---|---|---|---|
五洋建設 | 1893 | 627.3 | 防災関連銘柄 |
日特建設 | 1929 | 1,047 | 道路や橋梁など国土強靭化関連銘柄 |
パソナグループ | 2168 | 1,985 | 雇用関連銘柄 |
エルテス | 3967 | 874 | 地方行政DX関連銘柄 |
栗本鐵工所 | 5602 | 4,490 | 上下水道関連銘柄 |
五洋建設<1893>
海上土木に強いマリコン(マリンコントラクター)の最大手で、防災関連の一つとして注目しています。海外工事の比率もそれなりにありますが、国内の土木工事、建築工事が完成工事比率の7割強を占めています。
四方を海に囲まれた日本は港湾整備が生命線です。地震発生による津波等の災害を防ぐ防波堤などの建設は大変重要な事業と言えます。石破首相は2026年度中に防災庁の設置に向けて取り組んでいることから、地方防衛の観点から注目したい銘柄です。
日特建設<1929>
道路や橋梁など国土強靭化(きょうじんか)銘柄の一つとして注目しています。トンネルや橋梁、水利施設などの土木構造物全般について、長寿命化に向けた診断や補修、補強事業などを展開しています。
国内の大規模ダムの基礎工事の施工実績をもっており、公共土木工事が7割強を占めていることから、まさに官主導の銘柄と言えます。足元の株価も動き出していますので要注目の銘柄です。
パソナグループ<2168>
雇用関連の一つとして注目します。人材派遣やBPO(顧客業務の受託)などを手掛けており、2008年からは淡路島で農業や廃校のリノベーションや観光事業を展開。2020年には本社機能の一部を淡路島へ移転しました。まさに「地方創生」を、身をもって体現しています。全国各地の地方自治体や多くの企業と協業し、地域経済の活性化に取り組んでいることから注目します。
エルテス<3967>
地方行政DX(デジタルトランスレーション)関連の一つとして注目します。SNSでの炎上対策などリスク管理を行うネットセキュリティービジネスを民間企業向けに展開しているほか、地方自治体のDX支援などを展開しています。
地方自治体向けでは、スマートシティー化推進を行っており、住民サービスの向上、行政サービスの効率化を掲げています。マイナンバー対応含め地方自治体のDX化は急務な状況ですので、同社に注目しています。
栗本鐵工所<5602>
上下水道関連銘柄の一つとして注目します。上水道用の鉄管や液体を制御する各種バルブなどの社会インフラ事業と、自動車部品製造用の鍛造プレス機事業などを展開しています。
社会インフラ事業では、鋳鉄管やバルブ、強化プラスチック複合管などの水パイプライン製品を製造しているほか、グループ会社のクリモトパイプエンジニアリングが水道事業における管路の維持管理計画や、経年管の管体調査、管寿命の診断などを行っています。上下水道の整備が急務であることは周知の事実ですので、市場の関心は今後高まると考えます。
(田代 昌之)
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