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業績下方修正なのに株価急騰、なぜ?この動きについていって良い?

トウシル / 2025年2月8日 8時0分

業績下方修正なのに株価急騰、なぜ?この動きについていって良い?

業績下方修正なのに株価急騰、なぜ?この動きについていって良い?

「クイズでわかる!資産形成」(毎週土曜日に掲載)の第66回をお届けします。資産形成をきちんと学びたい方に、ぜひお読みいただきたい内容です。

今日のクイズ

 今日は中上級者向けクイズです。決算が発表された時の株価の反応をどう解釈するか、考える問題です。

 個別株投資をやっている方は、決算が発表された時に、株価が急騰したり急落したりするのが気になると思います。今日のクイズを解き、解説を読むことで、株価が急騰したり急落したりする理由を考えるヒントにしてください。

 それではクイズを出します。

 東証プライム上場で時価総額5兆円のA社は、1月某日、10-12月決算を発表すると同時に、通期(2025年3月期)の業績予想を大幅に下方修正、連結純利益が前期比95%減の100億円になると発表しました。ところが、A社株は発表の翌日、株価が以下の通り、急騰しました。

A社の株価チャート

A社の株価チャート
出所:筆者作成

 業績悪化の発表があったのに株価が急騰した理由として考えられることを、以下【1】~【5】の中から全て選んでください。

【1】不採算事業から撤退

 特別損失を計上して2025年3月期の業績は悪化するが、その効果で、来期(2026年3月期)は業績急回復が予想される。

【2】空売りの買い戻し

 業績の大幅悪化は事前に予想されていたため、A社株は12月から1月にかけて、空売り(信用取引の一種。保有していない株を借りてきて売ること)が増えて、株価が急落していた。そこに業績下方修正が発表されたことで、A社を空売りしていた投資家が、一斉に利益を確定するための「買い戻し」を入れ、A社株価が急反発した。

【3】大規模な自社株買いの発表

 A社は業績の下方修正と同時に、発行済み株式総数の5%に当たる大規模な自社株買いを発表した。A社はバランスシートに余剰キャッシュを豊富に保有しており、株主への利益配分を重視するために自社株買いを実施するとした。

【4】期待の新規事業が黒字転換

 会社全体の利益は大幅下方修正になったものの、セグメント別で見ると、AI関連の新規事業の売上が急増して黒字転換したことが発表された。来期以降、AI関連の新規事業の利益がさらに大きく伸びる期待が高まった。

【5】誤発注

 機関投資家のトレーダーが誤発注。「売り」と入力すべきところを、誤って「買い」と入力したために、株価が急騰した。 

株価は「変化を先取りすること」がある

 株式投資の難しいところは、業績の動きと株価の動きが一致しないことがあることです。

 業績が良くなる時に株価が上がり、業績が悪くなる時に株価が下がるならば分かりやすいですが、必ずしもそうではありません。

業績変動と株価変動の4パターン

業績変動と株価変動の4パターン
出所:筆者作成

 上記1と3のパターンは「わかりやすい」ですが、2と4のパターンは、なぜそうなるのか理由がよく分からないことがあります。でも、多数の投資家が、何の理由もなく売ったり買ったりすることはありません。何かの理由があってやっていることです。

 株式投資の上級者になるためには、上記2と4のパターンでなぜ株価が上がっているのか、または下がっているのか、分かる範囲できちんと調べて把握することです。そうすることによって、マーケットの動きについていくべきか、ついていくべきでないか、正しく判断できる可能性が高まります。

正解は…

正解は【1】【2】【3】【4】です。

【5】はあり得ないと思います。5兆円もの大型株が、誤発注だけでこんなに上がることは考えられません。

 ただ、もしこれが小型株ならば、絶対にないとは言えません。実際、2005年にはジェイコム(現ライク)が新規上場する際の誤発注で、株価が急落急騰した事故がありました。その後、取引所も証券会社も機関投資家も、人為的ミスが重大な金融事故につながらないようにシステムを強化しています。

 それでは、【1】【2】【3】【4】について、解説します。

「業績悪化発表で株価急騰」で、最もよくあるパターンが、「悪材料出尽くし」です。【1】不採算事業からの撤退は、悪材料出尽くしの一つの例です。この場合、この動きについていく(A社株を一緒に買う)と、成功することが多いと言えます。

【2】と【3】もあり得ます。ただし、この理由だけで株価が反発しているならば、株価反発は短命で終わる可能性もあるので、注意が必要です。

【4】もあり得ることですが、新規事業がどれだけ有望か、吟味が必要です。ここから大化けすることもあるし、期待外れに終わることもあります。

テクニカル・ファンダメンタルズ分析を詳しく学びたい方へ

 最後に、個別株投資にチャレンジしたい方に、私の著書を紹介します。ダイヤモンド社より、株価チャートの読み方をトレーニングする「株トレ」(黄色の本)と、決算書の見方など学ぶ「株トレ ファンダメンタルズ編」(水色の本)が出版されています。どちらも一問一答形式で株式投資の基礎を学ぶ形です。

2000億円超を運用した伝説のファンドマネジャーの株トレ

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2000億円超を運用した伝説のファンドマネジャーの株トレ ファンダメンタルズ編

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(窪田 真之)

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