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個人投資家こそ必要な家計簿の話。「月1万円の節約」が資産増につながる

トウシル / 2025年2月11日 7時30分

個人投資家こそ必要な家計簿の話。「月1万円の節約」が資産増につながる

個人投資家こそ必要な家計簿の話。「月1万円の節約」が資産増につながる

個人投資家のみなさん、家計簿つけていますか?

「投資家と家計簿」が今回のコラムのテーマです。みなさん、家計簿つけていますか?

 家計簿といえば、毎日のお金の流れ、特に買い物の支出を把握するためのもの、というイメージがあります。お米の値段がいくらだった、ドラッグストアのトイレットペーパーの値段がいくらだった、と記録することはあまり投資家に関係ないように思います。

 あるいは、毎月のやりくりが不足気味という人が家計簿により出費を切り詰めるというイメージもあります。こうした人は投資以前の段階ですから、やはり投資家と家計簿は結びつきません。

 近年は物価も上昇していますので、物価対策として家計簿が必要、というのはイメージできるでしょう。それでも投資家にとって家計簿が重要、というイメージは湧きません。

 では、「投資家に家計簿が重要」というのは、どういうことなのでしょうか。

会社員の資産形成、その礎は「節約」である

 近年、増加傾向にあるのは「最初に種銭を何百万円投入し、売買を重ねる個人投資家」ではありません。「毎月コツコツと資金投入を行い、長期投資を行う個人投資家」です。実際、NISA(ニーサ:少額投資非課税制度)の利用者増と投資信託の安定的な資産増が、積立投資家の増加を裏付けています。

「毎月10万円、全額オール・カントリー購入!」のような人も確かにいますが、多数派ではありません。ほとんどの人は、家計のやりくりのできる範囲で積立投資に回すお金を確保しています。もし、投資に回すお金を月1万円増やしたかったら、生活費を1万円減らさなくてはなりません。

 つまり、投資家が安定的に積立投資を行うためには節約をしなければならないわけです。そのために必要なのは家計管理、そして家計簿になります。

 どんな投資家も、日々の家計の黒字がなければ成立しません(相続財産や宝くじなどの幸運にあえば別ですが)。いってみれば、個人投資家における投資の「礎」は節約なのです。

 特にインデックス投資家の場合、長期的なリターン確保とその複利効果による資産増加を目指していきますが、そのベースとなるのは毎月一定額を定期的に積み立てしていくことです。

 家計管理が投資のベースだということはここでも同じなのです。

あなたが自然に貯められないタイプなら、家計簿アプリを使いこなしてみよう

 家計簿の話をするとき、人は2タイプに分かれていると感じます。あなたはどちらでしょうか。

 最初のタイプは「自然と収入の範囲内でやりくりできる」という人です。出費額をコントロールすることができたり、あまり物欲がないため、手取り給与の範囲で苦もなく1カ月を暮らすことができたりします。

 こういう人は家計簿がなくても貯金ができます。基本的に1カ月の家計は黒字だからです。もちろん家計簿を活用することでさらに出費を削り、投資金額を捻出することもできます。

 そのため、こういう人にとっての家計簿は、「今よりも黒字額を増やし投資資金を増やす」ためのツールとなります。

 問題なのはもう一つのタイプで、「自然と収入以上の出費をしてしまう」人です。物欲が高い、あるいは出費額のコントロール意識が低いために「手取り給与=1カ月の支出」となるか、「手取り給与<1カ月の支出」となってしまうのです。これでは投資資金は捻出できません。

 NISAのつみたて投資枠やiDeCo(イデコ:個人型確定拠出年金)については、毎月指定金額が自動的に引き落とされていきますが、家計が赤字では長続きしません。だからといって、キャッシングして投資を続けるようなことは本末転倒ですから、家計を黒字化させ、投資資金をしっかり確保できるようにする必要があります。

 こうした人には(実は私もこちらのタイプ)、家計簿が強力なツールとなります。家計の支出を可視化し、また分析するための助けとなってくれるからです。

「家計を安定的に黒字化させる」こと、そして「積立投資資金を増やす」ためのツールとして家計簿が役立つわけです。

今どきの家計簿は「自動記帳機能」が便利

 書店では年末になると新年スタートの家計簿が販売されますが、若い世代は今さら「紙の家計簿」と考えていないと思います。

 金融(Finance)と技術(Technology)を融合させた「フィンテック(Fintech)」という造語がありますが、その代表例がまさに家計簿です。近年、家計簿アプリをインターネットに接続することにより、記帳の多くが自動化できるようになりました。これを使わない手はありません。

  • マネーツリー
  • マネーフォワード ME
  • 楽天家計簿
  • Zaim (五十音順)

 などは、自動記帳の機能を持つ家計簿アプリです。銀行口座、クレジットカード、ECサイト、電子マネーなどのアカウントをひも付けることで、それらの入出金や利用履歴を自動的に家計簿に記帳させることができます。

 やってみるとこれは本当に便利です。家計簿の最大の面倒は一つ一つのレシートを手入力することでしたが、アプリならその作業が自動化されます。現金払いの場合も、レシートがあればスマホ撮影から自動認識させることができます。

 小計や合計を自分で計算する必要もありません。前月比較やグラフ化、分析も、アプリが行ってくれます。

 いずれも基本利用料金は無料ですから(高機能を活用する場合はサブスク契約する)、まずは試してみるといいでしょう。

月1万円の節約×積立投資が、未来の数百万円の資産増につながる

 もし、月1万円の節約に成功し、その分を投資に振り向けたら、どのくらい資産を増やせるでしょうか。もともと、NISAのつみたて投資枠で月3万円を20年間、年5%のリターンで運用したケースを考えてみます。

 財務関数の一つであるFV(将来価値:Future Value)関数を使えば、毎月一定額を積立投資した場合の投資成果を求めることができます。年5%のリターンを「5%/12(カ月)」、20年間の積立を「20年×12(カ月)」、毎月発生する3万円の出費を「-3万円」とすると、以下の計算式になります。

 =FV(5%/12, 20*12, -30,000, 0, 1)

  20年後に、資産は1238万円まで増えます。

 次に、月1万円節約することで、毎月の積立額を4万円に増やしたケースを考えます。同じように計算すると、20年後の資産は1,651万円にふくらみます。

 =FV(5%/12,20*12,-40,000,0,1)

 月1万円の節約を20年間続けた場合の効果は1万円×12カ月×20年間=240万円ですが、この240万円を積立投資の元本に加えた場合、20年後の資産は1,651万円-1,238万円=413万円増えることになります。節約と積立投資を組み合わせることで、あなたの資産を大きく増やす力になるわけです。

 「節約」を「投資」の源泉とし、投資の成果を大きくする。そのために家計簿を生かしてみてはいかがでしょうか。

(山崎 俊輔)

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