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トランプ政権の政策大解剖~2月のビットコイン見通し~

トウシル / 2025年2月6日 18時0分

トランプ政権の政策大解剖~2月のビットコイン見通し~

トランプ政権の政策大解剖~2月のビットコイン見通し~

1月のビットコインイベント

NEW! 1月20日 トランプ大統領就任・ゲンスラーSEC委員長辞任
NEW! 1月23日 暗号資産大統領令・SAB121撤廃
NEW! 1月30日 パウエルFRB議長「銀行は完全に暗号資産顧客にサービス提供可能」

*2024年1月以降の主なビットコインイベントは記事最終ページにまとめています。
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材料面から見た2月見通し

1月の振り返り

1月のビットコイン価格(円)とイベント

1月のビットコイン価格(円)とイベント
出典:Trading Viewより楽天ウォレット作成

 1月のBTC相場は小幅上昇。高値圏で乱高下しつつ、12月に記録した史上最高値を小幅更新している。

 クリスマス前に10.8万ドルの史上最高値を更新したBTCだが、年末にかけてポジション調整気味に失速。年始は9.2万ドル台で始まると、そうしたポジションの買い戻しもあり、10万ドル台に値を伸ばした。

 しかし、「裁判所が押収などで、米政府が保有する約20万BTCのうち6.9万BTC(約1兆円)の売却許可を出した」と伝わり、市場を震撼させた。トランプ政権が、この20万BTCを戦略備蓄として保有するのではないか…とみられていたところ、その直前にバイデン政権が売却してしまいそうだ…と市場は懸念した。

 ところが、13日に8.9万ドルで切り返すと、新政権の暗号資産政策への期待もあって急反発した。就任日が近づくにつれ、政府保有分の売却の可能性が低くなっていくことも相場を後押ししたか。

 BTCは、就任式の数時間前に10.9万ドルで史上最高値を更新した。しかし、就任初日の演説でも、大統領令でも、暗号資産に関して触れられていなかったことから失速。4日目にようやく暗号資産に関する大統領令が出たものの、ほぼ事前報道通りだった。

 市場が期待した戦略備蓄の創設が後回しとなったことを嫌気し、上値を重くすると、27日には中国のスタートアップが6億ドルでOpenAIに匹敵するAIを作り、エヌビディア株が史上最大の時価総額を失った。この「DeepSeekショック」によるリスクオフで10万ドルを割り込んだが、月末にかけて値を戻した。

 2月に入っても、貿易戦争を巡る懸念から9.1万ドルに急落。メキシコとカナダ向けの関税が延期されたことで10.2万ドルに戻すも、中国への関税は発動された。同国も対抗措置を講じたこともあり、9.6万ドルに値を落とすなど、トランプ政策を巡って乱高下を続けている。

トランプ政権の暗号資産政策

トランプ政権の暗号資産政策

時系列

 1月のBTC相場は「トランプ一色だった」と言っても過言ではない。改めて、トランプ政権の暗号資産政策を時系列で振り返ってみよう。

 まず2025年1月20日、トランプ大統領の就任数時間前に暗号資産の価格が史上最高値となる10.9万ドルを更新した。

 同日、SEC(米国証券取引委員会)のゲンスラー委員長が辞任し、次期委員長であるアトキンス氏が承認されるまでの間、ウエダ委員が委員長代行を務めることとなった。また、トランプ大統領は、「バイデン政権下で行われたSECなどの業務に政治的偏向がなかったか」を徹底的に調査するよう命じる大統領令を発令した。

 翌日の1月21日には、SECのピアース委員が、規制の明確化を目的としたタスクフォースを設立した。

 そして1月23日、トランプ大統領は「米国をAIと暗号資産の首都にする」と宣言し、それに関連する大統領令に署名した。また、SECはSAB121(暗号資産に関する会計基準)を撤廃した。

 さらに1月24日には、「チョークポイント2.0」と呼ばれる問題について、上下両院での調査が正式に開始された。

大統領令

 大統領令の概要は以下の通りだ。

●デビット・サックス氏を議長とする、デジタル資産市場に関する大統領作業部会を設立

●作業部会は、ステーブルコインを含むデジタル資産を管理する連邦規制の枠組みを策定し、戦略的な国家デジタル資産備蓄の創設を評価・基準を作成

●中央銀行デジタル通貨(CBDC)を禁止

●前政権のデジタル資産大統領令と財務省のデジタル資産に関する国際的関与の枠組みを撤回

解説

 これらをテーマごとに整理し、解説すると

[1]規制の明確化:バイデン政権がゲンスラー委員長の下、暗号資産のうちどれが証券に該当するかをあいまいにしたまま、1930年代の証券法を使って暗号資産業者にスラップ訴訟を繰り返した。この点については、就任翌日からSECを中心に作業が開始されている。

[2]銀行の暗号資産参入:バイデン政権では「チョークポイント2.0」といって銀行に圧力をかけて暗号資産業者の銀行口座を解約させたり、暗号資産業者と取引を続ける銀行を破綻に追い込んだりしたと指摘されている。政権の交代とともに暗号資産業者から告発が続き、圧力をかける際に利用されたとされる預金保険公社には上下院の調査が入り、米消費者金融保護局は業務停止に追い込まれた。パウエルFRB議長は、「銀行は暗号資産顧客に銀行サービスを提供してもいいし、これまで基準を厳しくしていたのは新しい業界だったので慎重になり過ぎていたためだ」と言い訳するなど、半ばこれまでの誤りを認めている。また、銀行のカストディ参入を事実上拒んでいた、SECスタッフが設定した会計基準SAB121は、SECにより撤廃し、バンク・オブ・アメリカやモルガン・スタンレーが参入に意欲を見せている。

[3]戦略備蓄:基軸通貨国である米国は、外貨準備をほとんど保有していないが、その代わり金を保有している。そこにデジタルゴールドとしてBTCを加えるもの。原油備蓄に準拠するなど、それ以外の立て付けも検討されているもよう。トランプ大統領が7月に公約した。市場は就任直後の創設を期待したが、デビッド・サックス氏を議長とするホワイトハウス内の作業部会で、実現可能性を探ることとなっている。

公的資金でBTCを購入ないし検討している州

公的資金でBTCを購入ないし検討している州
ピンク:法案提出済 黄:検討中 緑:退職年金でETF購入済
コインデスクより楽天ウォレット作成

 ちなみに、この戦略備蓄については2種類の提案があり、シンシア・ルミス上院議員は、5年間で100万BTC購入する法案を提出している。発行量の5%を購入するというのは、実現すればすさまじいインパクトのある話だ。

 しかし、こうした追加購入型は議会を通す必要があり、共和党は過半数を取ってはいるが、上院で法案をいつでも通せる60議席には届いておらず、容易ではないとみられている。これに対し、すでに保有している20万BTCを戦略備蓄というカテゴリーで保有しても、市場の需給には影響はない。

 しかし、これを受けて追随する国が多数出てくると予想されている。コインデスクによれば、すでに公金でBTC投資を開始ないし検討している州は16に上るもようだ。

材料面から見た2月予想

 先月は「今月の焦点は1月20日の就任日の大統領令でBTCの戦略備蓄が新設されるか否かだ」と申し上げ、「1月20日の大統領令で戦略備蓄が新設されると、各国の外貨準備や州政府や企業による保有の思惑から上昇を加速させる」と予想した。

 ところが、その戦略備蓄はお預けとなった。2月4日に記者会見した、AI暗号資産担当官のデビッド・サックス氏は、「大統領から戦略備蓄の評価を指示されており、参加閣僚らの意見をもとに作業部会で実現可能性を検討する」とした。おそらくは大統領令で可能か、法律が必要か、もう少し検討が必要だと言うことなのかもしれない。

マイクロストラテジーBTC購入ペース

マイクロストラテジーBTC購入ペース
BiTBOより楽天ウォレット作成

マイクロストラテジー以外の事業法人のBTC保有額
(除く暗号資産関連企業 12月27日時点 1,500万円換算)

マイクロストラテジー以外の事業法人のBTC保有額
コインポストより楽天ウォレット作成

 一方で、トランプ政権の誕生は、企業によるBTC購入を加速させそうだ。企業によるBTC保有としては、マイクロストラテジーが有名だ。1月も23億ドルで約2.5万BTCを購入している。

 コインポストによれば、昨年12月は、上場企業70社以上がBTCを保有しているもようだ。しかしその大部分は、マイニング企業など暗号資産関連企業によるものだ。それ以外の一般の事業法人でBTCを保有している企業は、それほど多くない。それがトランプ再選で一気に増える可能性があると考える。

 トランプ政権誕生はゲームチェンジャーで、これまでとは比較にならないスピードで、今まで思いもよらなかった変化が訪れている。世界中の企業がこの変化にいかに適応するか、頭を悩ませていることは容易に想像できる。

 ただし、相手が相手だけに予測不可能な部分が大きく、そこで一定の人ならば「大統領が推すBTCを購入してみよう」と考えても不思議はない。チョークポイント2.0からの転換で、銀行の態度が一変すれば、その動きは加速しそうだ。

テクニカルから見た1月の相場

BTC/USD(4時間足)

BTC/USD(4時間足)
出典:Trading Viewより楽天ウォレット作成

 BTCは10.9万ドルでピークアウト、9.1万ドルで切り返し、半値戻しとなる10万ドルをクリアに上抜け、一安心かと思ったら、そこから失速して雰囲気が悪化した。BTCは順調に値を伸ばしているが、サイクル的に今年はピークアウトが予想されており、常に上昇が終わったのかどうかが意識されがちだ。

BTC/USD(CME先物4時間足)

BTC/USD(CME先物4時間足)
出典:Trading Viewより楽天ウォレット作成

 しかし、CME先物のチャートを見ると、2月3日に開けた大きな窓を埋めたところ、上値を重くしていることが分かる。窓埋めはいったん相場が止まる急所だ。BTC相場では、強めのレジスタンスに遭遇すると、いったん跳ね返されて半値押しを繰り返し、何度目かに上抜けるパターンが散見される。今回もそのパターンとなる可能性がありそうだ。

アノマリー

BTC月別騰落一覧

BTC月別騰落一覧
出典:Bloombergから楽天ウォレット作成

 アノマリーでいえば、9年続いた春節のアノマリーが今回崩れることとなった。中国の春節の連休前日から連休明けまでは、2016年以降ずっとBTCは上昇してきたが、今回は下落となった。

 月別で見ても、2月は1年で最強の月で、過去14年間で3回しか下がっていない。

 今回、春節のアノマリーが崩れたことで、こちらも崩れるのか、それとも月初に下がった分を後半に取り戻すのか、どちらかといえば後者と予想した。

春節連休前後のBTC相場(変動率)

春節連休前後のBTC相場(変動率)
出典:Bloombergから楽天ウォレット作成

まとめ

 2月のBTC相場は、底堅い展開を予想する。先月は、4年サイクルの上昇ペースから逆算して、1月の目標は12万~13万ドル、2,000万円と予想した。しかし結局10.9万ドル、1,700万円までとなった。足りなかった部分は、トランプ政権発足日の大統領令で戦略備蓄が創設されなかったことが大きい。

 ただし、その後の目まぐるしい変化を目の当たりにして、「政権の推すBTCでヘッジしよう」と考える企業が相次ぐものと考えており、そうした買いを背景に、先月目標とした水準程度まで上値を伸ばすのではないかとみている。春節のアノマリーが崩れて発射台が下がった分、2月のアノマリーが発動して、月後半にかけて上昇しやすいと考える。

半減期サイクルによる価格イメージ

半減期サイクルによる価格イメージ
出典:Bloombergなどより楽天ウォレット作成

2025年予想

ビットコイン価格イメージ

2024年末 時事イベントと暗号資産イベント(最新順)

2024年12月17日 10.8万ドル、BTC ETFが金ETFの時価総額追い抜く
2024年12月5日 10万ドル突破、トランプ氏が祝辞
2024年12月5日 パウエル議長、ビットコインは金のようなもの
2024年11月22日 ゲンスラーSEC委員長、辞任表明
2024年11月21日 ホワイトハウス、暗号資産担当官新設
2024年11月20日 自公国3党合意、国民民主、暗号資産の分離課税要求
2024年11月19日 トランプ氏のメディア企業、Bakkt買収交渉
2024年11月6日 トランプ氏当確で史上高値更新・本格上昇期入り

*マイニングとは:暗号資産(仮想通貨)は一般的にブロックチェーンと呼ばれるネットワーク参加者が誰でも見られる元帳上に取引を記録していきます。そのブロックチェーン上に取引データを記録する際に、膨大な計算を行うことで新たなブロックを生成する暗号を見つけ出し、その報酬としてコインを手に入れる行為のことです。マイニングの主な役割は「暗号資産の新規発行」と「取引の承認」です。

**BlockFiとは:暗号資産融資プラットフォームBlockFi(ブロックファイ)が提供する暗号資産を預かって利息を払うサービス(レンディング)が証券法に違反したと提訴された事件に関する和解として、SEC(米国証券取引委員会)に1億ドル(約115億円)を支払うと発表。

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(松田 康生)

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