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日本株はさらに下がれば良い買い場と判断。相互関税、日鉄ディールどうなる?(窪田真之)

トウシル / 2025年2月10日 8時0分

日本株はさらに下がれば良い買い場と判断。相互関税、日鉄ディールどうなる?(窪田真之)

日本株はさらに下がれば良い買い場と判断。相互関税、日鉄ディールどうなる?(窪田真之)

※このレポートは、YouTube動画で視聴いただくこともできます。
著者の窪田 真之が解説しています。以下のリンクよりご視聴ください。
日本株、さらに下がれば良い買い場。相互関税、日鉄ディールどうなる?

日経平均は円高を嫌気して下落、トランプ「相互関税」への不安続く

 先週(営業日:2月3~7日)の日経平均株価は1週間で785円下落して、3万8,787円となりました。1ドル=151円台への円高進行が嫌気されました。トランプ関税への不安も上値を抑える要因となっています。日経平均は、依然として3万8,000~4万円の狭いレンジ内で膠着(こうちゃく)が続いています。

日経平均週足:2024年1月4日~2025年2月7日

日経平均週足:2024年1月4日~2025年2月7日
出所:楽天証券MSIIより作成

 日本銀行筋から利上げに前向きの発言が増え、「5月にも追加利上げがある」という思惑が広がったことを受け、7日の東京市場で一時1ドル=150円台まで円高が進んだことが(その後151円台へ戻る)、日経平均が売られる要因となりました。

 また、トランプ関税への不安が、引き続き、日本株の上値を抑える要因となっています。

ドル/円為替レートと日米2年金利差の推移:2020年1月~2025年2月(7日)

ドル円為替レートと日米2年金利差の推移:2020年1月~2025年2月(7日)
出所:QUICKより楽天証券経済研究所が作成

 ドル/円を動かす最大の要因は日米金利差です。金利差が拡大すると円安が進み、金利差が縮小すると円高が進む傾向があります。

 2024年は、上のチャートを見ると分かる通り、金利差が縮小する中で円安が進みました。金利差が縮小したとは言っても、まだ3~4%の金利差があることから、ドル買い需要が高い状態は変わりませんでした。

 2025年、日銀はあと1回か2回利上げを続ける見込みで、FRB(米連邦準備制度理事会)は1回か2回、利下げをするとみられています。日米金利差がさらに縮小することを見込んで、足元で円高が進んだと言えます。

 ただし、米景気は堅調で、トランプ関税によってインフレが再燃する懸念もあります。米利下げが遠のく可能性があります。日米金利差がどの程度縮小するか、慎重に見る必要があります。

 トランプ関税については、2月1日に予定されていたメキシコ、カナダへの25%関税が延期されたことで安堵(あんど)が広がったものの、中国への10%追加関税は2月4日に発動されました。中国は報復関税を発表しています。

 トランプ大統領は、世界各国に対するさらなる関税引き上げに意欲を示しています。先週は、米国より高い輸入関税をかけている国全てに対して、その国と同じ関税をかける「相互関税」を発動する考えを示しており、世界経済・株式にとって不安材料となっています。

日本株、押し目買い方針を継続

 トランプ関税への不安で、日経平均はさらに下がる可能性もあります。さらに下がるところは、日本株は良い買い場になると判断しています。米景気はソフトランディング、日本の景気、企業業績は緩やかな拡大が続くと予想しているからです。

 現在、発表が続いている日本の2024年10-12月期決算は、製造業が持ち直しつつあることから、おおむね良好です。トランプ関税による突発的な世界不況がない限り、日本の企業業績は2025年も緩やかな拡大が続くと予想しています。

東証プライム上場主要841社連結純利益(前期比%)

東証プライム上場主要841社連結純利益(前期比%)
出所:楽天証券経済研究所が作成

 また、8日に開催された日米首脳会談で、トランプ大統領が日本との同盟関係を重視する姿勢を打ち出したことは、日本株に追い風になると考えられます。

どうなる日鉄ディール

 8日の日米首脳会談で、日本製鉄によるUSスチール買収について、「買収ではなく投資で合意した」と発表していることには期待と不安があります。日本製鉄がなんらかの形で米国へ進出できる見込みであることは期待できるものの、USスチールへの出資比率が5割未満に抑えられると、メリットはかなり小さくなる可能性があります。

 トランプ大統領は、日本製鉄が技術を導入し設備を刷新してUSスチールを強化することを期待しているが、日本製鉄による支配は望んでいない。

 一方、日本製鉄は、USスチールを子会社にできないならば、全面的に技術を導入していくことはできないと考えています。両者の考えの隔たりは大きく、この先日鉄ディールがどう進展するか予断を許しません。

米景気は強過ぎず、弱過ぎず

 先週、発表された1月の米景気指標は「強過ぎず、弱過ぎず」米景気ソフトランディング(軟着陸)の見方をさらに強める内容でした。

 1月の米国ISM(米サプライマネジメント協会)景況指数は、製造業が50.9と2年4カ月ぶりに50を超えました。非製造業は前月比でやや低下したものの52.8と50を上回っています。製造業回復が強材料ですが、それでも製造業、非製造業とも景況の分かれ目「50」を少しだけしか上回っていません。

米ISM製造業・非製造業景況指数の推移:2020年1月~2025年1月

米ISM製造業・非製造業景況指数の推移:2020年1月~2025年1月
出所:ブルームバーグより作成

 1月の米雇用統計は、非農業部門の雇用者数が前月比14.3万人増と、景気好調と判断される「20万人増」を下回りました。ただし、完全失業率は前月比0.1ポイント低下して4.0%となりました。雇用も、強過ぎず弱過ぎない内容と評価できます。

米雇用統計:非農業部門雇用者数(前月比)の推移:2021年1月~2025年1月

米雇用統計:非農業部門雇用者数(前月比)の推移:2021年1月~2025年1月
出所:米労働省より作成

米雇用統計:完全失業率の推移:2021年1月~2025年1月

米雇用統計:完全失業率の推移:2021年1月~2025年1月
出所:米労働省より作成

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(窪田 真之)

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