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高まる日銀の追加利上げ期待で円高圧力持続!

トウシル / 2025年2月12日 16時26分

高まる日銀の追加利上げ期待で円高圧力持続!

高まる日銀の追加利上げ期待で円高圧力持続!

先週はドル=約5円の円高。その背景とは

 先週は1ドル=約5円の円高となる大相場となりました。その背景を振り返りますと、以下の要因が考えられます。

  1. 2月4日、衆議院予算委員会での植田和男日本銀行総裁の発言「現在はデフレではなくインフレの状態にあるという認識に変わりはない」
  2. 2月5日、本邦12月勤労統計の実質賃金が2カ月連続のプラス。
    赤沢亮正経済再生担当相が植田日銀総裁同様「現在の経済はインフレ状態」との認識を示した。
    NY市場で発表された米1月ISM(米サプライマネジメント協会)非製造業景況指数が52.8と予想を下回った。
  3. 2月6日、田村直樹日銀審議委員の発言「2025年度後半には少なくとも1%程度まで短期金利を上げておくことが必要」

 これらの要因によって日銀による利上げ時期前倒し観測が広がり、期待も高まったことから、週初の1ドル=155円台後半から、7日には一時1ドル=151円を割る円高となりました。

 米1月ISM非製造業景況指数が予想を下回ったように、先週発表された米経済指標の結果が予想を下回るものが多かったことから、7日の米1月雇用統計は注目されていましたが、結果は強弱まちまちでした。

 1月非農業部門雇用者数は14.3万人と予想を下回ったものの、失業率は4.0%と予想より改善し、平均時給(前月比)も0.5%と予想以上の伸びとなったことから、発表後はドル/円が大きく乱高下しました。

 また、その後発表された2月ミシガン大学消費者信頼感指数は67.8と予想を下回りましたが、1年先の期待インフレ率が4.3%と前月から1%上昇したことから、ドル/円は1ドル=151円台前半に戻しました。週明けの東京市場でも円安が進み、1ドル=153円超えの動きとなっています。

 7日の海外市場で「相互関税導入を計画」の報道があった時には、ドル/円は円高に振れました。トランプ大統領の関税政策を受けて、為替市場の反応にも変化がみられます。

 米関税引き上げは「米インフレ上昇→FRB(米連邦準備制度理事会)の利下げ休止・市場金利の上昇→米ドル高・円安」との動きでしたが、関税引き上げが強化されたり、報復合戦の様相に展開したりした場合には、「米関税引き上げ→米国経済に打撃、米株価も下落→世界株安→ドル安・円高」の動きがみられるようになってきたことには留意する必要があります。

 世界の景気後退懸念から株式市場へ大きく影響が及ぶと、ドル安要因になるようです。11日の海外株式市場では「鉄鋼、アルミ25%関税」表明後の影響がなかったことから、ドル高要因となったようです。関税は3月12日発動とのことであり、その間に状況が変化するかもしれないとの期待から、株式市場は大きく反応しなかったのかもしれません。

ドル高?ドル安?トランプ関税はかく乱要因

 このように、トランプ関税はドル高要因となったり、ドル安要因となったりと、かく乱要因となっているため注意する必要があります。

「相互関税」とは、「米国への輸入品に輸出国と同じ関税率を課す」ということですが、日本への影響は少ないとの見方もあります。ただ、10日に発表された鉄鋼・アルミへの25%関税については「鉄鋼・アルミ関税は全ての国が対象」と表明していることから、今後、日本にとって懸念材料となる可能性があります。

 石破茂首相は日米首脳会談を無難に乗り越えましたが、1回で信頼関係が築けるとも思えないため、トランプ大統領は容赦しないことが予想されます。トランプ大統領との日米関係は始まったばかりだということには留意する必要があります。

 今週は、FRBのパウエル議長の議会証言(11、12日)、1月米CPI(消費者物価指数)(12日)、1月米小売売上高(14日)に注目です。

 先週7日の2月ミシガン大学消費者信頼感指数は予想を下回りましたが、前月1月からも低下しています。つまり、足元の消費マインドは低下していることになります。

 一方で、1年先の期待インフレ率が4.3%と前月から1%上昇しており、1月の0.5%上昇に続き、2カ月連続で大幅に上昇しています。トランプ大統領の関税政策によって、先行きのインフレ再燃リスクが意識されているようです。インフレ再燃リスクは高まっていますが、足元のインフレがどのような状況なのか、12日の1月CPIが教えてくれそうです。

 1月CPIコアは前月比で前月0.2%から上昇予想、前年比では前月3.2%より低下予想となっています。どの程度の水準になるのか注目です。

 CME(シカゴ先物取引所)のフェドウオッチによると、追加利下げの時期は6月(42%期待)のFOMC(米連邦公開市場委員会)から7月FOMC(43%)へ先送りとなっています。そして、年内利下げはこの1回だけと見込まれています。もし、1月CPIが予想通りもしくは予想を下回る結果になった場合、この利下げ期待が高まるかどうか注目したいと思います。

 今後インフレが再燃し、消費マインドが低下していけば、米国経済はスタグフレーション(物価高の景気後退)になるかもしれません。先行きの消費動向をみる上で14日の小売売上高は注目です。

 1月の小売売上高は12月(0.4%)より低下し、マイナス予想(マイナス0.1%)となっています。自動車を除く小売売上高は0.3%予想となっていますが、前月(0.4%)より低下予想となっています。

 12月はクリスマス・年末商戦で盛り上がったことから、1月の低下予想は理解できますが、12月はトランプ大統領の関税政策による物価上昇を避けるための駆け込み消費もあったといわれています。その反動減が1月に影響してくるのかどうか、あるいは1月も駆け込み消費が続いているのかどうか注目です。

現在のドル/円相場は「FRBの利下げ休止」vs「日銀追加利上げ観測」の構図で動く

 11日の上院銀行委員会でのパウエル議長の議会証言は、利下げを急がない姿勢を再強調したものでした。年内利下げを否定した内容はなかったことから、フェドウオッチの期待は「7月に1回の利下げ期待」と変わっていませんが、議会証言はドル買い要因となったようです。

 12日には米下院金融サービス委員会での議会証言が予定されています。証言内容は前日と同じ内容と思われますが、議会証言の前に1月CPIが発表予定となっています。CPIの結果によって証言に変化がみられるのかどうか注目です。

 現在のドル/円相場は「FRBの利下げ休止」vs「日銀追加利上げ観測」の構図で動いており、そこに「トランプ関税」が波乱要因として加わっています。「トランプ関税」の強化が進めば、ドル安・円高を後押しする可能性があります。そして12日のCPIの結果によっては、多少構図が変わるかもしれません。

 何より重要なのは、海外勢は日銀に分があるとみているのかもしれないという点です。海外勢はアンテナを広げ、日銀や政府からの発信にはかなり敏感になっているとみた方がよいかもしれません。

(ハッサク)

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