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新卒社会人が毎日カフェラテ1杯節約すれば1,000万円は余裕で貯まる

トウシル / 2014年4月18日 1時0分

 なんとなくからステップアップを目指す本連載もこのシーズンは新社会人向けにお話をしたいと思います。前回は「証券口座とのつきあいかた」を書きました。今回はもう少しじっくり「証券口座の使い方」を紹介してみます。

 キーワードは「とにかく1万円で積み立て投資信託。そうすれば1,000万円の道筋が開かれる!」です。

まずは「少額」で投資を実行しよう

 ひとまず証券口座開設までこぎ着けた若い世代については、ぜひ投資の「実行」までつなげたいものです。前回も少し紹介しましたが、20代の投資については少額でスタートすればOKです。

 よく「まとまったお金で投資はするもの」というイメージがありますが、知識も経験も浅い初心者がまとまったお金で投資をするのは、免許取り立てにもかかわらず、いきなり高速にのって300キロ先にドライブに行かせるようなものです。喜ぶのはまとまった営業成績がつく金融機関の職員だけ、ということになります。

 経験が浅いうちはドライブも近場にしたり、運転に慣れた友人と一緒にでかけるように、無理をしないものです。投資も同じで、少額で投資をし、失敗したとしてもダメージを最低限に抑える選択を選んだ方がいいと思います。

 そうなると選択肢は「数万円程度で購入できる個別株」か「数千円から1万円程度で買える投資信託」ということになります。

個人の投資で重要なことは銘柄選びより「追加入金」

 新社会人や20代については、当然ながら資産はわずかです(相続財産などがない限り)。これから何十年もかけて、体ひとつを資本として何億円ものお金を稼ぎ、そこから資産を積み上げていくしかありません。

 このとき、投資については運用益だけでお金を増やすものだと決めつけている人が多いのですが、個人の投資において、国の年金運用を大幅に超過したリターンを得続けることは現実的ではありません。

 仮に短期的に実現できても、実際には高いリスクを抱え込んだチャレンジが「たまたま」当たったと考えるぐらいが個人にとってはちょうどいいスタンスです。裏目に出たら増やし続けるどころか減り続けていたかもしれません。ある種の謙虚さは投資においては有効で、自信過剰(オーバーコンフィデンス)はたいてい個人にとってマイナスのファクターです。

 このとき、堅実に資産を増やし続ける「運用法」がひとつあるとしたら、それは追加入金を定期的に継続することです。

 少額でもいいので、追加入金と購入を自動化して、資産形成の基礎を作ることをオススメします。自動引き落としによる積み立て投資を行える商品として、使い勝手がいいのは投資信託です。楽天証券の投信積み立ての場合、対象投信は1,000円から積立可能ですから、新社会人であっても「2,000~3,000円くらいでやってみるか」というチャレンジができます。

 実行しない人と、実行した人のあいだでは、運用の巧拙以上に「追加入金」の差で資産の成長速度が変わってくることでしょう。たかが数千円も、数年後には数十万円になっていくのです。

定期購入は「行動しないミス」を避ける手段と割り切る

 自動引き落としの積み立てについては購入タイミングが効果的かがしばしば議論になります。相場が上下動していく中、自動的に積み立てを継続することで購入単価が平準化されていくのは当たり前ですが、これが効率的になるかは売却時の価格(ないし現在の価格)との比較につきます。

 もし本当に技量があり、自分の意思をコントロールした投資判断ができるのであれば、定期購入などせず、もっとも相場が下落していたとき集中投資したほうが儲かるのも当たり前のことです。

 しかし、「追加入金」が重要なのは明らかですし、任意で追加入金を行うようなローカル・ルールではお金が貯まらないのも明らかです(人はサボりたい生き物なのです)。定期的に定額で特定の指定商品を自動購入し続ける投資方法を「ドルコスト平均法」といいますが、ドルコスト平均法にはパフォーマンスをあげる秘薬は含まれておらず、追加入金を行わないミスを避ける方便だとぐらいに考えておくといいでしょう。

 なんにせよ、若い世代が投資を学ぶときには、「必勝法」のようなキーワードに引っかからず、愚直にスキルを高めていくほうがいいでしょう。(むしろスキルを高めることを割り切ってあきらめ、合理的投資行動の自動化だけ追求してしまうのも一考です)

ラテ・マネーを貯め・増やせば1,000万円の道が見えてくる

 とにかく社長になって人を使う側にならないと金持ちになれないことを説くロバート・キヨサキ氏(ベストセラー「金持ち父さん・貧乏父さん」の著者)もいいのですが、会社員の全員が社長になれるはずはなく(誰かが社員にならなければいけない!)、誰もが実現できる蓄財法ではありません。

 アメリカのFPでは私はデビッド・バック氏のほうが好きです。氏は、一般個人が努力すればアーリーリタイアメントすることは十分に可能だとして「ラテ・マネー」という手法を紹介しています。

 これは、毎日カフェラテ一杯程度のムダな出費も積み上げていくと大きな資産になる、というお話です。仮にスターバックスのトール・ラテ(360円+税)程度の節約を毎日行うと毎月12,000円程度の積み立て投資資金が得られます。

 22歳の新卒社会人が堅実に積み立て投資を継続し、60歳定年(38年間)まで継続したとして、これを株式投資信託などで運用に回し年率4%の運用益(信託報酬等控除後)を得ることができれば、最終受取額はなんと1,268万円になります。年利3%であっても、1,006万円に達します。

 1,000万円を貯めるステージに入った人は、それ以外のテーマにおいてもしっかり蓄財に励むことができます。そうではなく、クレジットのリボ払いやキャッシングの返済、消費者金融の返済に追われる人は、そもそも資産というものを増やす以前のステージに何年もとどまります。

 投資は何かの目的があって行うものです。将来の必要なお金を充足させることで得られる幸せがあって成り立ちます。ぜひ「投資の実行」まで踏み込んでみてください。

商品選定は「安く」「シンプル」

 最後になりますが、具体的な商品選定について少し。

  • アドバイス1.「興味があるなら何を買ってもよし(投資を楽しもう)」
  • アドバイス2.「ただし、優秀な商品を、初心者である自分が見分けられると思わないこと(あなたは初心者なのだし、初心者でなくても難しい)」
  • アドバイス3.「悩んだときには、インデックスと同等のパフォーマンスを確実に確保し、かつ手数料が安い商品を買う(もっともシンプルな戦略を選ぶ)」

 どの段階で決めるかはお任せします。もし、3つめのアドバイスで決断するようでしたら、積立投資信託の投資対象について、インデックス運用で信託報酬が低いランキングの上位に出てくる投資信託を選べばいいでしょう。

 とはいえ、投資をいろいろ楽しんでみるのも20代ではアリです。少額でチャレンジしているうちにトライしてみるのもいいでしょう。

新社会人こそ「投資の実行」を

(山崎 俊輔)

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