「米国株のヒンデンブルグ・オーメン点灯よりもFANG(ファング)に注目!」
トウシル / 2017年6月8日 0時0分
「米国株のヒンデンブルグ・オーメン点灯よりもFANG(ファング)に注目!」
ドル/円は「投げ」が出て110円割れ
本日、6月8日にECB政策理事会、英国の総選挙、コミー前FBI長官の議会証言などイベントが集中している。ここが今週の天王山だが、相場はシラケムードである。先週木曜日のレポートで、「こうしたなかでドル/円の動きも円高に振れてきた。5月相場では投機筋が強引に114円36銭まで買い上げ、米国の利上げ気運から投資家の提灯がたくさんついたようだが、そのポジションがしこってしまったようだ。そのポジションの投げが出ないと、当面は戻りも限定されるだろう」と述べたが、今週のドル/円はその「投げ」が出て、ドル/円は節目の110円を割り込んでいる。
標準偏差ボラティリティの動きをチェックしているとわかるが、通貨の市場は先週金曜日あたりから相場のラムダム度が増しており、筆者は「この局面はそれほど儲からないな・・」という感触を持った。ドル/円の日足をみていると、現在、日足ではまだ円高トレンドが生きているものの、4時間足は円高トレンドがピークアウトし、1時間足では円安トレンドが発生している。
ドル/円(日足)
上段:ボリンジャーバンド(21)±1シグマ=赤のバンド
中段:標準偏差ボラティリティ(26)=青いライン・トレンドの発生ポイント(黄色い丸で囲った部分)
下段:新値3本足の売買シグナル
ドル/円(4時間足)
上段:ボリンジャーバンド(21)±1シグマ=赤のバンド
中段:標準偏差ボラティリティ(26)=青いライン・トレンドの発生ポイント(黄色い丸で囲った部分)
下段:新値3本足の売買シグナル
ドル/円(1時間足)
上段:ボリンジャーバンド(21)±1シグマ=赤のバンド
中段:標準偏差ボラティリティ(26)=青いライン・トレンドの発生ポイント(黄色い丸で囲った部分)
下段:新値3本足の売買シグナル
これからは円高・株高になるのか?
最近、日本の株式市場で、「これからは円高・株高という流れになる」という観測が多いという。日本企業が以前より円高に耐性をもっているのは事実であり、また、輸出が日本のGDPに占める割合は2割にすぎない。しかし、円高になっても日本株が上がるというふうにみている海外投資家は少ない。円高になると日本の輸出企業はダンピングという数量増とリストラでしのぐので、いつも不景気感が漂ってくる。昨今の相場で円高になっても日経平均が落ちないのは、円高への耐性ではなく、日銀のETF6兆円買いの影響だと思っている運用者がほとんどである。円高は日本株安というバイアスは強い。それはNY市場に上場しているトヨタ自動車の株の動きをみていればわかる。トヨタが上がらないような日本の市場には、海外投資家は入ってこない。日経平均は日足の買いトレンドはまだ生きているが、4時間足では調整相場になっている。
トヨタ自動車(日足)
上段:14日ADX
中段:26日標準偏差ボラティリティ
下段:21日ボリンジャーバンド±0.6シグマ
日経平均CFD(日足)
上段:ボリンジャーバンド(21)±0.6シグマ=赤のバンド
中段:標準偏差ボラティリティ(26)=青いライン・トレンドの発生ポイント(黄色い丸で囲った部分)
下段:新値3本足の売買シグナル
日経平均CFD(4時間足)
上段:ボリンジャーバンド(21)±0.6シグマ=赤のバンド
中段:標準偏差ボラティリティ(26)=青いライン・トレンドの発生ポイント(黄色い丸で囲った部分)
下段:新値3本足の売買シグナル
米英の政治イベントやFOMCを通過するまで模様眺め
下のチャートはFTSE100CFD、NYダウCFD、NY原油CFD、ゴールドのチャートである。直近の相場はNY原油やゴールドではトレンドが発生しているが、株式市場は米英の政治イベントやFOMCを通過するまで模様眺めということだろう。
FTSE100CFD(日足) 選挙待ち・・
上段:ボリンジャーバンド(21)±0.6シグマ=赤のバンド
中段:標準偏差ボラティリティ(26)=青いライン・トレンドの発生ポイント(黄色い丸で囲った部分)
下段:新値3本足の売買シグナル
NYダウCFD(日足)
上段:ボリンジャーバンド(21)±0.6シグマ=赤のバンド
中段:標準偏差ボラティリティ(26)=青いライン・トレンドの発生ポイント(黄色い丸で囲った部分)
下段:新値3本足の売買シグナル
NY原油CFD(日足)
上段:ボリンジャーバンド(21)±1シグマ=赤のバンド
中段:標準偏差ボラティリティ(26)=青いライン・トレンドの発生ポイント(黄色い丸で囲った部分)
下段:新値3本足の売買シグナル
ゴールド(日足)
上段:ボリンジャーバンド(21)±1シグマ=赤のバンド
中段:標準偏差ボラティリティ(26)=青いライン・トレンドの発生ポイント(黄色い丸で囲った部分)
下段:新値3本足の売買シグナル
ヒンデンブルグ・オーメン点灯よりもFANG(ファング)に注目!
市場間の相関関係が今年の1月から崩壊している(景気拡大最終局面の現象)とはいえ、結局、金融市場全体の動きを決するのは米国株の動きだ。株式市場の売り専門シグナルである<ヒンデンブルグ・オーメン>が6月1日に点灯したことが市場で話題になっている。
「ヒンデンブルグ・オーメン」は、
- NY証券取引所で52週高値更新銘柄数と安値更新銘柄数がともにその日の値上がり・値下がり銘柄合計数の2.8%以上
- NYダウが50日前の価格を上回っている
- マクラレン・オシレーター(McClellan oscillator)の値がマイナスである
- 52週高値更新銘柄数が、52週安値更新銘柄数の2倍を超えない
という4つのコンディションが整うと、点灯するという。点灯すると30日間は、NYダウが5%超下落する確率が77%、パニック売りの可能性が41%、暴落の可能性が24%という都市伝説のような指標である。
筆者はヒンデンブルグ・オーメンなど気にしていないが、現在、いたるところにバブル崩壊の予兆が出てきている。自動車・学生ローン・住宅などのサブプライムローンが焦げ付き始めており、借り換えロール・オーバー経済の終焉がみえてきているが、この事については来週のレポートで書く。
今は米国の個別株の動きを注視している。現在、マイクロソフトのように買いトレンド相場になっている銘柄もあるが、多くの銘柄は上値が重くなっている。相場がもう一段バブルするには、ゴールドマンなどの金融株が上がってくることが必須だ。金融株の上がらない相場はバブルしない。しかし、一方でバブルは簡単には終わらない。米国株の急落のシグナルは、フェイスブック、アマゾン、ネットフリックス、グーグルの「FANG(ファング)」が下げてきたときだろう。
マイクロソフト(日足)
上段:14日ADX
中段:26日標準偏差ボラティリティ
下段:21日ボリンジャーバンド±0.6シグマ
ゴールドマンサックス(日足)
上段:14日ADX
中段:26日標準偏差ボラティリティ
下段:21日ボリンジャーバンド±0.6シグマ
アムジェン(日足)
上段:14日ADX
中段:26日標準偏差ボラティリティ
下段:21日ボリンジャーバンド±0.6シグマ
アップル(日足)
上段:14日ADX
中段:26日標準偏差ボラティリティ
下段:21日ボリンジャーバンド±0.6シグマ
アルファベット(日足)
上段:14日ADX
中段:26日標準偏差ボラティリティ
下段:21日ボリンジャーバンド±0.6シグマ
米著名投資家ラリー・ウィリアムズの分析によると、相場のサイクル分析的には6月と7月に相場の転機が到来する可能性があるという。筆者はそうした予測でポジションをとることはないが、予測とテクニカルのコンディションが合致したら相場に参入する予定である。
S&P500先物(日足)ラリー・ウィリアムズのフォーキャストラインおよびシーズナルサイクル
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日々の相場動向についてはブログ『石原順の日々の泡』を参照されたい。
(石原 順)
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