北朝鮮問題に備える!個人投資家はどう動くべきか?
トウシル / 2017年4月27日 0時0分
北朝鮮問題に備える!個人投資家はどう動くべきか?
ここ最近の軟調な日本株の原因の1つが、「北朝鮮問題」です。果たして北朝鮮とアメリカの関係はどうなるのか、ミサイルは飛んでくるのか…。これらに対し、個人投資家としてどのように準備しておくべきかを、今回は考えてみたいと思います。
北朝鮮からミサイルが飛んできたらどうなるのか?
足元で地政学リスクが高まっています。北朝鮮からもしもミサイルが発射されて、日本国内に落下した場合、どのような影響があるのか、想像することすらまともにできません。
万が一、人口が密集する地域にミサイルが落下すれば、影響も甚大ですし、おそらく日本株は大きく下落するでしょう。確かに4月に入ってからの日本株は弱い動きですが、万が一ミサイルが飛んでくるという状況までは、さすがに織り込んでいないと思われます。
株価の動きから推測すると、現状のマーケットは、さすがに少し警戒はしているものの、実際にミサイルが日本国内に落下する可能性はかなり小さい、と予測しているものと思われます。
結論は「分からない」、だから予想はしない
では、この問題に対して個人投資家はどのように行動すればよいでしょうか?最もやってはならないのは、この先どうなるか「予想する」こと、もっといえば「予想に基づいた行動をする」ことです。
どうなるか分からないことを下手に予想しても、何も意味がないばかりか、予想に基づいた行動の結果、それが外れた場合のダメージが大きくなってしまう恐れがあるからです。
このダメージというのは、「大きな損失を被る」という意味はもちろん、「大きな利益を逃した」というケースも当てはまります。つまり、大きく次の2パターンが考えられるのです。
- 「万が一の事態は絶対に起きない」と予想して投資可能資金の大部分を投資していた状況で、万が一の事態が生じて株価が急落、大きな損失が生じる
- 「万が一の事態が今回は生じる恐れが高い」と予想して保有株の大部分を売却、キャッシュに換えて万が一に備えたにもかかわらず、何も起きずに株価が急上昇し、利益を逃した
何もなかった時のことも十分考慮した対策を
では、予想し、それに基づいた行動をしてはいけないのなら、どうすればよいのか、それは「どういう結果になったとしても大きなダメージを受けないように準備しておく」ことです。
もし、今のように明確に地政学リスクが存在していなかったなら、皆さんはどのような投資行動をしますか?おそらく、いつも通りのことをするはずです。私であれば、株価が25日移動平均線を超えたら買い、割り込んだら売るという、いつも通りの行動をします。
ポイントは、地政学リスクが存在していたとしても、基本は通常と同じ行動をとる、ということです。その上で、必要に応じて追加的な行動を考えることになります。具体的には、以下のような方法が考えられます。
ア.投資する金額をいつもより少し抑制する
イ.先物売りやベア型(※)ETF買いにより保有株の値下がりをヘッジする
ウ.オプション取引により保有株の値下がりをヘッジする
(※)ベア型:株価が上昇すると価格が下落し、株価が下落すると価格が上昇するという特性を持った投資商品のこと。
筆者であればオプション取引を活用
このうち、筆者であれば主にウ.のオプション取引を活用します。具体的には、プットオプションを買うことで将来の株価急落へのヘッジをします。
イ.の先物売りやベア型ETFの買いでも悪くはないのですが、何も起こらずに株価が大きく上昇した場合、大きな損失となってしまう恐れがあります。そのため、比較的リスクが高い対策となってしまいます。
また、ア.の投資金額を通常より減らすというのは、多少は実行しても良いと思います。通常なら投資可能資金の70%を投資するところ、地政学リスクを警戒して50%程度に抑える、というようにです。もちろん、何も起こらず株価が上昇した場合、70%-50%=20%につき、利益を得る機会を逃してしまうことにはなります。
このようにア.~ウ.を比較してみると、ウ.のプットオプションの買いは少額のオプション料を支払うだけで済みます。それ以上損失が生じることはありません。
通常通り株式に投資資金を投入し、そのうえでプットオプションを買っておけば、万が一の場合はプットオプションの価格上昇により保有株の下落をヘッジすることができます。何も起こらなかったときも、利益を得る機会を逃さないようにすることができます。
発生可能性が低い、もしくはいつ発生するか分からない悪材料に対する保有株下落のヘッジとしては、プットオプションの買いが最も適しているのではないかと思います。
株価下落のリスクはいつでもマーケットに存在する
現在は、地政学リスクがクローズアップされていますが、実はマーケットには、常に株価下落のリスクが存在しています。それが悪材料として市場参加者に強く懸念されているか、あまり表面化していないかの違いだけです。
思い起こせば、NY同時多発テロや東日本大震災は、リスクとして予想すらすることができませんでした。でも、こうした理由により株価が急落する可能性はいつでもゼロではないのが本当のところです。
ですから、株式投資をするときは、常に「ここから突然株価が急落するかもしれない」という意識を頭の片隅に入れつつ、実際に株価が急落してもダメージをできるだけ少なくできるような対策をしておくようにしましょう。
私であれば、キャッシュポジションが高ければ、株価が急落してもそれほどダメージは受けないので特段対策はしません。一方、株式への投資金額が膨らんでいるときは、プットオプションの買いをヘッジのため実行します。
オプション取引には専用の口座開設が必要です。万が一の事態に備えて、まずは口座開設をし、いつでもオプション取引ができるようにすると良いと思います。オプション取引は、買いであれば損失はその購入額に限定されますから、決して危ない取引ではありません。
(足立 武志)
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