総まとめ・決算発表シーズンのスマートな乗り切り方
トウシル / 2017年5月2日 0時0分
総まとめ・決算発表シーズンのスマートな乗り切り方
3月決算銘柄の決算発表がピークを迎えます。この時期は、企業が発表する業績内容に反応し、どうしても株価が乱高下しがち。そこで今回は、このシーズンをスマートに乗り切る方法を考えていきます。
毎年恒例のイベント時期が今年もやってきた
4月下旬から本格的にはじまっている3月決算銘柄の本決算発表。3カ月に1度の四半期決算と比べて、本決算発表では来期の業績予想を企業が発表する点が大きく異なります。
株価はすでに終わった当期の業績ではなく、将来の業績を織り込んで動きます。今後1年間の業績を、企業側がどのように予想しているのかが明らかになるため、どうしても株価も過剰に反応してしまうのです。増収増益が続いていた決算が、来期に減収減益になると発表することで「サプライズ急落」となることが多いのも、この時期の特徴です。
将来の業績予想は「ある程度」は株価に織り込まれている
マーケットには百戦錬磨のプロ投資家も大勢います。彼らは独自の情報収集能力を駆使して各企業のリサーチを行い、将来有望と思われる銘柄に対して投資をしていきます。そのため、個別銘柄の将来の業績は「ある程度」株価に織り込まれています。
決算発表前の株価が上昇トレンドである銘柄は、プロ投資家が今後の業績も好調と判断して買い進めるので、実際に発表される来期の業績予想も良いケースが多いです。
逆に、決算発表前の株価が下降トレンドの銘柄は、将来の業績があまり芳しくないとプロ投資家が考えているため、彼らは買わないもしくは保有株の売却を進めます。そのため、発表される来期の業績予想もあまりぱっとしないケースが多くなります。
ただ、「ある程度」から外れるケースもあります。来期の業績予想が減収減益であることが発表され、上昇を続けていた株価が急落するケース、来期に大幅な増収増益の見込みと発表され、下落を続けていた株価が急上昇するケースなどです。
「サプライズ」は諦め、それ以外の通常のケースでしっかり対応しておく
こうした「サプライズ」による株価の大きな変動により、ある程度の損失が生じるのは、決算シーズンに株を保有している限り避けられません。プロ投資家でも事前に予測できなかったからサプライズが起こるのです。
ですから、筆者は決算シーズンであっても、いつも通り株価のトレンドに応じて売買のタイミングを計っています。サプライズにより保有株が下降トレンドに転じたらすぐに売却、逆にサプライズにより下降トレンドの銘柄が上昇トレンドに転じたら、新規買いを検討します。
さらに悩ましいのは、発表された来期の業績予想が良いかどうかではなく、業績予想が「マーケット参加者の予想と比べて」良いかどうかで株価が反応する、ということです。
来期予想が大幅な増収増益であっても、マーケット参加者がさらなる増収増益を期待していたのであれば、株価は急落します。来期予想が減収減益でも、マーケット参加者の予想よりかなり良いならば、株価は急上昇するのです。
はっきり申し上げて、こうした動きをプロでさえ事前に予測することが困難であるのに、個人投資家が予測することは不可能です。
そこで、筆者は決算発表により株価がどうなるかを「予想」して行動するのではなく、株価のトレンドにより売買のタイミングを計り、決算発表をきっかけに株価のトレンドが転換したら、必要な対応を取るようにしています。
PERや配当利回りを過信するのは危険
個人投資家に非常に多いのが、PERや配当利回りといった株価指標を鵜呑みにして、株価のトレンドを無視して投資してしまうことです。
PERが1桁と「超割安」なのに増収増益予想、しかし株価は下落を続ける・・・という銘柄が、決算発表で来期業績を大幅減収減益と発表し、さらに株価が下落するケースは頻繁にあります。
また、配当利回りが非常に高いのに株価が下落を続けていた銘柄が、決算発表の際に来期の配当金を大きく減額すると発表し、さらに株価が下落したケースも先日ありました。
PERや配当利回りからみて割安であっても株価が下落を続けている場合、将来の業績悪化や配当金減額を株価が織り込んでいることが多いため、十分な注意が必要です。
でも、こうした銘柄は、決算発表の前の時点から株価が下降トレンドとなっていることが多いです。そのため、下降トレンドの銘柄は保有しないことにしておけば、保有を回避することができ、決算発表に伴う株価急落にも巻き込まれずに済みます。
結論・個人投資家は「ファンダメンタル」+「株価のトレンド」で乗り切る!
成功している投資家は、みんな投資戦略を持っていて、常にその戦略に従って行動しています。逆に、なかなか成果が出ない個人投資家の方は、戦略を持たず、マーケットの雰囲気や株価の変動に流されて、なんとなく動いてしまいがちです。
筆者の戦略は、「ファンダメンタル」で銘柄を選び、「株価のトレンド」で売買のタイミングを計る二刀流です。
業績予想などファンダメンタルからみて割安と思われる銘柄、高い成長が見込まれる銘柄を選んだとしても、直ちに新規買いをすることは控えるべきです。投資候補の銘柄を決めたら、株価のトレンドを確認し、下降トレンドの間は手を出すべきではありません。
先ほど申し上げたように、企業の業績予想は「ある程度」株価に織り込まれています。とするならば、株価のトレンドを無視するわけにはいきません。
「どう考えても割安」「どう考えても高成長」と自分自身が思っていたとしても、株価が下落を続けて下降トレンドとなっていたならば、「割安」とか「高成長」という自分の考えを疑うべきです。プロ投資家であれば、「割安」・「高成長」なのに株価が下落を続ける銘柄を放っておくはずがないからです。株価が下落を続ける、自分自身が知らない理由がある可能性が高い、と考えておくのが無難です。
もちろん、株価のトレンドに従って売買のタイミングを計っても、決算発表時などサプライズによる株価変動に巻き込まれて損失を被ることもあります。ただ、サプライズによる株価変動は、株を保有している限り誰でも巻き込まれる可能性があり、他人と差はつきません。
でも、株価のトレンドに従って売買すれば、下降トレンドの銘柄は保有しません。決算発表前から下降トレンドの銘柄が決算発表によりさらに株価が下落しても、それを回避できます。戦略をしっかり持たない場合よりも、損失を回避できる可能性が高い方法であれば、それは積極的に採用していくべきです。
(足立 武志)
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