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アメリカの政治リスクを前に、19,500~20,000円の中での日柄調整続く

トウシル / 2017年5月23日 0時0分

アメリカの政治リスクを前に、19,500~20,000円の中での日柄調整続く

アメリカの政治リスクを前に、19,500~20,000円の中での日柄調整続く

先週は、一時19,500円を下回るが終値では19,500円を守って反発

先週の予測では、短期のテクニカルな過熱感もあり、日経平均は20,000円を前に日柄調整になるとし、19,500~20,000円のレンジの中での動きを想定しました。19,500円水準を下値としたのは、今年の始めから3月まで19,000~19,500円水準でもみあっていたことで、ここを上にぬけたあとは、この19,500円水準は下値として抵抗ゾーンになるところからでした。また、NYダウがモタモタしているのが気になるとしました。

結果的に週前半の16日(火)には、前日の欧米株高を受けて12日(金)の5月SQ値の19,991円を上回る19,998円と20,000円まであと2円のところへ接近しました。しかし、20,000円のカベは重く18日(木)には、トランプ政権の運営への不透明感が高まり、NYダウは▼372ドルの20,606ドルと大幅安となり、1ドル=110円台の円高となったことで、18日(木)の日経平均もつれ安し、一時19,449円まで下げ、▼261円の19,553円で引け、週末は△36円の19,590円と終値では19,500円を守って引けました。

15日(月)は、円のやや強含みの中、好決算銘柄が買われ▼14円の19,869円と小幅反落でしたが、16日(火)は、欧米株高に原油高が加わってドル買い・円売りの流れとなって1ドル=113円台後半の円安となったことを受け、一時19,998円と20,000円まであと2円というところまで買われました。しかし、ここからは上値重く△49円の19,919円で引けました。17日(水)には、アメリカでのトランプ大統領のロシアへの機密情報漏洩問題からドルが売られ、1ドル=112円台の円高進行となったことで▼104円の19,814円と反落しました。さらに18日(木)には、トランプ大統領のロシア問題に加え、コミーFBI長官にフリン大統領補佐官のロシアに関する調査を中止するよう要請したという問題が加わり、政権運営に対する不透明感が一層強まったことでドルが1ドル=110円台まで売られ、NYダウは▼372ドルの20,606ドルの急落となりました。これを受けて18日(木)の日本市場は、一時▼365円の19,449円まで下げ、▼261円の19,553円で引けました。週末19日(金)の日経平均は、前日のアメリカ市場が下げ止まって反発したものの、為替の円高水準はかわらず△36円の19,590円と小反発で引けました。

19日(金)のアメリカ市場は、トランプ政権の政治運営への不透明感は高まる中、好調な経済指標や原油価格の1バレル=50ドル台への回復を期待して、ほぼ全面高となりNYダウは△141ドルの20,804ドルと大幅続伸となりました。しかし、為替は政治的混乱への懸念から1ドル=111.67円までしか買われず、シカゴ日経先物も△85円の19,685円でした。

 

今週は、19,500~20,000円の中での日柄調整続く

今週も、トランプ政権の政治混乱リスクが和らぐのを見極める必要があるため、日経平均も戻りは限定的で、本格的なリバウンドにはもう少し時間がかかることになりそうです。それは先週末のアメリカ株式の反発にも、トランプ政権への不透明感からドルが買われにくく、ドルの反発が弱いことで日経平均も動きがとりにくいということになります。そこで注目されるのは24日(水)に公表される5月のFOMC議事録公表であり、この中で利上げを巡る講演で6月13日(火)~14日(水)のFOMCでの利上げ観測が高まりそうだと、日米金利差拡大期待からドル買い・円売りへの動きが強まり、日経平均をサポートすることになります。また、25日(木)開催のOPEC総会で主要産油国の間で減産延長の決定がなされるか注目となり、延長されれば原油高・ドル高が期待されることになります。但し、その場合では19,500~20,000円のレンジの中での動きとなりそうです。

チャートの動きをみると、先週は高値圏からの急落で一時19,500円を割り込み、下放れのような形となっていますので、はっきりした底打ちの形とならないままの反発のため、戻り待ちの売りがしばらく続き、戻し終わったあとはこう着感の強い展開が想定されます。ただし、高値圏からの下放れといっても、しこりは少なくトランプ政権の政治的混乱の落ち着き待ちとなり、30日(火)以降のFBIコミー前長官の上院情報委員会での公聴会で証言する内容が注目されることになります。内容によっては、政治的混乱が高まりドル売り材料となりますので、基本は様子見が続くということです。

5月22日(月)は、先週末のアメリカ株式の上昇と原油先物の1バレル=50ドル台のせで買い先行で始まり、一時△132円の19,722円まで上昇しました。買い一巡後は伸び悩み△27円の19,618円まで下げ幅を縮小しましたが、その後は先物買いやETF買い期待、自己売買で持ち直し、△87円の19,678円で引けました。アメリカの政治リスクへの懸念から買い進む動きはありませんでしたが、下値は限定的でした。但し、売買代金は約1カ月ぶりに2兆円を割って1兆9,224億円でした。

 

 

(指標)日経平均

先週の予測では、日経平均の20,000円を前に日柄調整が続くとし、19,500~20,000円のレンジの中でのもみあいとしました。

結果的には、週前半の5月16日(火)には、欧米株高と円安基調を受けて、19,998円とSQ値の19,991円を上回って20,000円寸前まで上昇しましたが、ここからは上値が重い展開となり、17日(水)は円高を受けて▼104円の19,814円と反落し、さらに5月18日(水)には、アメリカ株式の急落と1ドル=110円台への円高を受けて▼261円の19,553円となりました。週末は△36円の19,590円と小反発で引けました。ザラ場では、5月18日(木)に19,449円まで下げましたが終値では19,500円を守り、想定した19,500~20,000円のレンジの上から下まで動きました。

今週は、アメリカのトランプ政権の政治混乱リスクの落ち着きを待ちながら、19,500~20,000円のレンジの中で、上値の重い展開が引き続き想定されます。戻りがどこまであるかは24日(水)のFOMC議事録の内容が6月利上げをより高める内容であれば、ドル買い・円売りとなって日経平均の上昇をサポートすることになります。また、25日(木)のOPECの定時総会で減産延長が決定されるのかどうかも注目となり、決定されればドル買い要因となります。トランプ政権の政治混乱リスクが高まれば、ドル売り要因となりますので当面は19,500~20,000円の中でのもみあいが基本と考えられます。

5月22日(月)は、先週末のアメリカ株高と原油先物の1バレル=50ドル台のせを受けて買い先行で始まり、一時△132円の19,722円まで上昇しましたが、買い一巡後は伸び悩み△27円の19,618円まで下げ幅を縮小し、その後はETF買い期待などもあり持ち直して△87円の19,678円で引けました。下値は限定的で売買代金は約1カ月ぶりに2兆円を割って1兆9,224億円でした。

日経平均

 

 

(指標)NYダウ

先週の予測では、トランプ大統領によるFBI長官の解任の混乱で、経済政策が遅れるとの懸念の中で経済指標や決算を受けた相場展開になるとし、20,600~21,000ドルの中でのもみあいとしました。

週前半は、5月16日(火)の21,033ドルを上値に、せまい範囲でのもみあいとなっていましたが、5月17日(水)はトランプ大統領のロシアへの機密情報漏洩問題が加わり、政権運営の不透明さがさらに高まり、NYダウは▼372ドルの20,606ドルとなりました。その後は、経済指標や決算が好調となり原油価格も50ドルのせとなったことで、週末の5月19日(金)は△141ドルの20,804ドルまで戻して引けました。ザラ場では5月18日(木)の20,553ドルまで下げましたが、終値ベースでは5月17日(水)の20,606ドルとなり、想定した20,600~21,000ドルのレンジの上から下まで動く結果となりました。

今週も高値圏でのもみあいの継続となりそうですが、5月24日(水)公表のFOMC議事録や25日(木)のOPEC総会に注目となります。トランプ政権の不透明さの中で、6月利上げは期待が維持されていますが、議事録の内容が利上げの確率を高めるものになるのかどうかとなります。利上げ確定となればアメリカ経済は堅調だという見方になります。OPEC総会ではOPECのメンバーが減産調整を継続するのかどうかとなります。これは継続が決まれば世界経済にプラスとなります。全体的には強弱感がありますのでもみあいの継続の可能性が強いということになります。

NYダウ

 

 

(指標)ドル/円

先週の予測では、トランプ大統領のFBI長官解任の政治的混乱から経済政策の実施が遅れるとの懸念でドル売りとなる一方で、6月13日(火)~14日(水)のFOMCでの利上げ観測からのドル買いもあり、1ドル=112.5~114.5円のレンジのもみあいを想定しました。

結果的には、トランプ大統領のロシアへの機密情報漏洩問題やコミーFBI前長官へのフリン元大統領補佐官へのロシアに関する調査の中止要請の問題も加わり、さらに政権運営への不透明感も高まり、ドルは1ドル=110.89円まで売られ、NYダウは▼372ドルの下落となりました。その後は、株式は反発するもののドルの戻りは弱く、週末の5月19日(金)は1ドル=111.67円まで下げて1ドル=111.25円で引きました。週始めの1ドル=113.84円から5月17日(水)の1ドル=110.89円まで下げ、1ドル=111.25円で引け、想定したレンジを1円あまり下回る動きとなりました。

トランプ政権の政策運営の不透明感が広がっており、ドル売り要因となっています。先週末、アメリカ株式は反発しましたが、ドルの戻りは弱い状況です。ドルがさらに買われるためには、6月13日(火)~14日(水)のFOMCで利上げが期待されているので5月24日(水)公表のFOMC議事録の内容が利上げの流れになっていれば、ドル買い要因となります。政局がらみのドル売り要因と日米金利差拡大期待からのドル買い要因との綱引きとなり、1ドル=110~113円の中でのもみあいが想定されます。

ドル/円

 

(出島 昇)

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