電通と博報堂はいったい何をしているのか 超エリート集団の実態とは

東洋経済オンライン / 2017年4月23日 17時0分

──実際にも手掛けられた。

代理店経由でネット選挙の手伝いの指名がきた。わが党がどう見られているか、ネット上の論調を分析せよとのリポートから、候補者はツイッターで何を発信すればいいか、その反応への対策を考えよといった発注まできた。

──各種の企業広告となれば、「自家薬籠中の物」ですか。

謝罪会見も商機になる。そのリハーサルを1回100万円や200万円で請け負う。記者役を仕立て、想定シナリオも作る。そのVTRを提供して、発言内容や振り付けの指導をして、それもビジネスにしてしまう。振り返れば日本マクドナルドの社長は、1回目の会見とそれ以降では清楚に見せ深々とおじきをして、ずいぶん変わった印象だった。おそらく電通が助言をしたのだろう。

──企業からの収入は大きい。

在籍していた1996年当時、博報堂は日産自動車とマツダの「アカウント・エグゼクティブ」になり、それで扱い高は年1300億円近く一気に上乗せされた。この奪い合いは厳しい。負けたほうは左遷人事が発生し営業力の真価が問われる。

──営業の電通といわれます。

客に対して忠義を徹底的に尽くす。営業がいちばん偉いという考え方が強い。博報堂はクリエーターが偉そうにする。博報堂の給料は電通の7掛けだが、それでも世間的にはまずまずの水準にある。代理店に共通するのは、自社ないし自分だけでは何もできない「横流し体質」と、とかく大人数で打ち合わせに立ち会う点。クライアントには怒られないため、はやりを作るはずが、流行に踊らされがちになる。

──ご自身はアマゾンの日本上陸時に博報堂を退職しましたね。

入社して3年半のときにアマゾンの日本上陸の仕事が始まって、アマゾン・ドット・コムの業務を手掛け、その間半年、「自分が好きでもないクライアントのおっさんを出世させることが広告代理店のサラリーマンの本質」とわかって辞めた。今のヤマト運輸みたいなものだ。アマゾンは餌をちらつかせながら人を酷使する。

■「客は神様だ」の発想にとらわれすぎている

──広告業界の残業時間は特に長い?

日本社会全体の問題だ。「客は神様だ」の発想にとらわれすぎている。電通や博報堂はその客のために90点以上をつねに取ろうとする。そこをやめれば過重労働は終わるかもしれない。過労状況を変化させる突破口は、目立つ業界が変わることだ。

──楽しい仕事がいっぱいできるイメージがありますが。

デジタルでは電通もそこまで強くない。まだ勉強しながらやっているから、勤務時間も長くなるし、ワールドカップやオリンピックあるいはテレビでは尊敬されても、デジタルではなめられている。確かに専門代理店のほうがデジタル広告には強い。新興の専門業者がのしてきて、既存の代理店も人材を育てようとしている。デジタルの特徴はいつでも直せることだから、仕事に追われ続け、なかなか終わりがない。

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