宮崎県が生んだ柑橘「日向夏」誕生の秘密 ある民家にたまたま自生していた

東洋経済オンライン / 2017年5月20日 13時0分

宮崎県東諸県郡綾町の柑橘「日向夏」(取材月:March 2017)

「日向夏」は、温暖な気候で数々のフルーツの名産地でもある宮崎県で生まれた柑橘だ。その始まりには、いまから約200年前にある民家で自生していたのを偶然発見されたというユニークなエピソードがある。

宮崎県の沿海部を中心に栽培されている日向夏だが、中西部に位置する綾町は町をあげて“有機栽培”に取り組む全国的にも有名な生産地。豊かな綾町の自然が育てる日向夏は、一体どんな味がするのだろうか。太陽の光をたっぷりと浴びて鮮やかな黄色に色づき、“旬”を迎えた綾町の日向夏を取材した。

■30年以上前から有機栽培に取り組む綾町

宮崎県は年間を通して温暖な気候が特徴で、日照時間や快晴日数は国内トップレベルを誇る。そんな宮崎県で、30年以上も前から町をあげて“有機栽培”に取り組んでいるのが綾町だ。

綾町は昭和63年(1988年)に「自然生態系農業の推進に関する条例」を独自に制定し、農薬や化学肥料をできるだけ使わない有機農業を開始。以来ずっとそのスタイルを貫き続け、全国的にも有名な有機栽培のパイオニア的存在として知られている。

町の約80%が森林であり、名水百選にも選ばれる水源を有するなど自然豊かな環境にも恵まれた綾町の産物は、日向夏やマンゴー、きんかんなどの果物はもちろん、キュウリなどの野菜、牛、豚といった畜産物まで、「綾ブランド」として高い評価を受けている。宮崎県庁でみやざきブランド推進を担当している深田直彦さんが綾町の魅力を教えてくれた。

「県内外から、農畜産物を求めて綾町にやってくる観光客の方が多いです。森林や美しい水だけでなく、星空百選に選ばれるほど星空も綺麗なんですよ。最近ではこの環境に魅力を感じ、県外からの移住者も多くなってきました。農家のみなさんも真面目で、全員が力を合わせて有機栽培に取り組んでいます。自然生態系を崩さない農業というのは、いまでこそ意識されるようになりましたが、綾町が取り組みを始めた頃は飽食の時代真っ盛り。そんな時代にいち早く有機栽培に着手した当時の町長にはきっと、先見の明があったのでしょうね」。

■一番美味しい日向夏は晩春に出回る露地物

日向夏という名前から“旬”は夏なのかと思いきや、露地物の日向夏が“旬”を迎えるのは3月から。

農家の花田健二さんの果樹園を訪れてみると、山の斜面に沿って生えたたくさんの樹で、たわわに実った日向夏が収穫の時を待っていた。

ハウス栽培と露地栽培を手がけている花田さんは、「ハウス物は2〜3月、露地物は3月〜5月初旬くらいまで出荷します。1シーズンで20t以上は収穫するかな。一番美味しいのはもちろん、露地物の在来種。種が多いから食べにくいかもしれないけど、これが本来の日向夏の味。糖度があっても、酸味が抜けすぎていては駄目。酸味と甘味のバランスが大事」と話す。

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