アマゾンがリアル小売りへ進撃する真の意図 ホールフーズ買収は一例にすぎない

東洋経済オンライン / 2017年6月20日 7時40分

2016年8月に稼動した神奈川県川崎市の物流センター。最新鋭のロボティクスを導入し、徹底的に効率化したオペレーションを行っている

米小売り大手のホールフーズ・マーケットを137億ドル(約1.5兆円)で買収――。

6月16日に駆け巡ったアマゾンの発表にアメリカの株式市場は大きく反応した。クローガー、ターゲット、コストコ、ウォルグリーン、CVSヘルス、そしてウォルマート。アマゾンがリアル店舗の領域へ本格的に踏み出したことから、今後アマゾンと競争を強いられることになる小売り関連の銘柄は、買収の発表後に軒並み株価が下落したと報じられている。

■リアルへの侵食は今に始まったことではない

アマゾンにとって今回の買収は過去最大の規模となる。それまで最も大きい買収は2014年のゲーム実況配信企業・ツイッチで、金額は9.7億ドル(約1450億円)だった。ホールフーズは1978年にテキサス州オースティンで設立された自然・有機食品専門のスーパーマーケットだ。16年度時点で年間160億ドル(約1.8兆円)の売上高があり、店舗数は米国、カナダ、英国で計460を数える。

アマゾンがリアルの消費を取り込もうとしているのは今に始まったことではない。先がけは2014年に投入した家庭用の音声認識端末「アマゾン・エコー」だ。「アレクサ」と呼ばれるAI(人工知能)を内蔵し、生活空間の御用聞きとして米国で大ヒットしている。

米国みずほ証券では、2018年にエコーを経由したeコマースの消費額が、エコーの端末販売額を追い抜くと予測する。パソコンやスマートフォンではなくエコーに向けて「アレクサ、~を注文して」と呼び掛ける消費行動が、米国では当たり前のように行われ始めているのだ。ポスト・スマホとして有望視されるこの分野では、グーグルやアップルも巻き返しに動いている。

リアル店舗の開発にも乗り出している。一つ目は2015年にオープンした専用書店の「アマゾン・ブックス」、二つ目は2016年に存在が明らかになった無人コンビニ「アマゾン・ゴー」だ。アマゾン・ブックスは現在米国に8店舗あり、追加で5店舗のオープンが予定されている。店内にはアマゾンのサイト上でユーザーの評価が高い本を重点的に陳列したり、お急ぎ便や動画視聴の使い放題サービス「アマゾン・プライム」の会員なら安く買える仕組みがあったりするなど「リアルとネットの融合」が巧みに行われている。

アマゾン・ゴーは現在、シアトル市の本社1階部分のみに存在し、まだアマゾンの社員しか利用できない。ただ、レジを通らずに商品を購入し持ち出せる画期的な仕組みは小売り関係者の間で注目の的となっている。将来的にアマゾン・ゴーの機能が今回買収したホールフーズに導入されることがあるかもしれない。

東洋経済オンライン

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