東芝「メモリ事業売却」が二転三転する舞台裏 再び「日米韓連合」が軸、ただ先行きは霧の中

東洋経済オンライン / 2017年9月14日 7時3分

なかなか決まらないメモリ事業売却。ようやく決着を迎えるのか(撮影:今井康一)

決着は近づいているのか、それとも遠ざかっているのか――。依然として霧の中だ。

東芝は9月13日、半導体メモリ事業子会社東芝メモリ(TMC)の売却について、投資ファンドの米ベインキャピタルと、9月下旬までに同社を軸とした企業連合とTMC株式譲渡契約の締結を目指して協議していくという覚書を結んだ。

■「優先交渉権」は付いていない

これだけをとらえると、TMCの売却先はベイン連合に固まったのか、と思えてくる。だが、着地点はまだ見えてこない。

東芝は「覚書に法的拘束力などはない」(広報)とし、「ベイン連合を排他的な交渉先とする定めはありません」(プレスリリース)と強調する。メモリ事業の製造設備の投資で合弁パートナーの米ウエスタンデジタル(WD)、電子機器製造受託の世界最大手、台湾の鴻海精密工業との交渉も継続するからだ。

もともと東芝は6月21日、ベインと日本の政府系ファンドの産業革新機構、政府系金融機関の日本政策投資銀行からなるコンソーシアムを優先交渉先に決定し、対外発表も行っていた。このコンソーシアムには韓国の半導体大手、SKハイニックスも資金拠出するスキームであるため、「日米韓連合」とされていたものだ。

ただ、このときは覚書を締結していない。83日も経ってようやく覚書締結だが、今度は優先交渉が付いていない。むしろ「前回(6月21日)よりは緩い内容」(関係者)である。

すんなり日米韓連合に決まらなかったのは、自分たちの同意なしに東芝メモリを売却することを契約違反として、国際仲裁裁判所に差止め請求をしているWDの存在がある。革新機構と政投銀はWDとの係争解決を最終契約の条件としているが、WDが訴訟を取り下げなかったために交渉がストップしてしまった。

2018年3月末までに債務超過を解消できなければ上場廃止となる東芝は、TMC売却を急ぐ必要がある。各国の独占禁止法の審査期間を考えれば猶予はないからだ。

■譲歩を約束したのに契約書に反映されず

優先交渉はうやむやになり、日米韓連合に加えてWD、さらに鴻海の3陣営と交渉が続いていた。特に8月頃からはWDを含む日米連合が本命に変わっていた。日米連合とはWDに加え、投資ファンドの米KKR、革新機構、政投銀が入る。

しかし、WD陣営の金額が見劣りしたうえに、将来を含めたTMCへの出資比率をめぐって両者の溝が埋まらなかった。支配権を高めたいWDに対し、独禁法の審査が難航することなどを懸念する東芝も妥協しなかった。

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