「タダ同然の廃墟物件」に買い手が集まる理由 空き家流通に訪れている変化の風

東洋経済オンライン / 2017年11月20日 8時0分

空家に対する意識が変わってきている(写真:家いちば提供)

「価格はゼロ円、佐賀の一軒家を土地、家具・家電付きでもらってください」「越後の田んぼ付き農家を理由あって格安でお譲りします」――。近年、空き家が社会問題になっているが、通常の不動産流通には乗らないような物件の売買ができる不動産サイトがちょっとした話題になっている。

たとえば、冒頭の越後の物件は、所有者が隣町に引っ越したことで空いてしまった。土地面積は約204㎡で建物は約112㎡、しかも1000㎡の農地付きで、価格はなんと80万円。山奥の物件だが、海水浴場まで45分と、別荘としては理想的な立地のようだ。「家いちば」には、こうした物件が数多く掲載されている。

■全国から物件を掲載したいという要望

空き家に対する認識は、近年大きく変化している。たとえば、2年前には問題にされていなかった所有者不明土地が大きくクローズアップされ、日本には想像以上に放置されている土地が多いことがわかった。しかも、収益性で考えると使える空き家は10軒に1軒程度と、意外と少ないこともわかってきた。

一方で、空き家の活用方法が多様化しているほか、活用によっては町にプラスの影響を与えることも認識され始めている。空き家を対象としたクラウドファンディングやマッチングサイトなども登場している。

その中でも、筆者が面白いと思うのが、家いちばだ。不動産コンサルタントの藤木哲也氏が家いちばを立ち上げたのは2年前の10月。ほとんど広告していないにもかかわらず、この間、鹿児島から北海道までの128物件が掲載され、うち15件が契約に至った。

冒頭の佐賀の物件には、60件を超す問い合わせがあり、記事を執筆しているうちに買い手が決まった。2~3日に1件は掲載の依頼があるが、掲載文の校正作業などがあり、現在では掲載待ちの物件がつねに30件ほどあるほか、契約書作成待ちが数件という状態になっている。

入札情報サービスを提供する「うるる」が行った2016年の「空き家バンク運営実態調査」では、回答した219自治体の空き家バンクの平均成約率は月0.4件だから、家いちばの成約率がいかに高いかわかるだろう。

その要因の1つは、従来の不動産取引とは違う掲載条件の緩さにある。価格が決まっていなくても、どんな場所でどんなに古くても、残置物が多くて片付いていない状態でも掲載できるほか、本人の許可があれば親や親戚が所有する物件を無料で掲載できるのだ。

従来の不動産流通では残置物があるだけで扱ってもらえないと思われていたことを考えると、これまで弾かれていた物件が流通に乗るようになったのである。素人の文章、写真にアドバイスをしたり、校正するなどして読まれるようにしている点も大きい。

■「もらってくれるならタダでも」という例も

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