民主主義は「権威主義の誘惑」を断ち切れるか 中国・ロシアが台頭、欧米は動揺するが…

東洋経済オンライン / 2018年3月23日 8時0分

今年3月、2人とも権力基盤をさらに盤石なものにした(写真:左・Jason Lee/REUTERS、右・Sputnik/Alexei Druzhinin/Kremlin via REUTERS)

ロシアのプーチン大統領と中国の習近平国家主席が相次いで「国民の圧倒的支持」を得て、再選、再任を果たし長期政権の道を確保した。政権維持に苦しむことの多い主要民主主義国の政治指導者から見ると、投票結果の数字はうらやましい限りだろう。この結果、代表的権威主義国家の中国とロシアの政権は安定し、国際社会での影響力がさらに増していくことなりそうだ。

対照的に欧米先進民主主義国の多くが排外主義を掲げるポピュリズム勢力の跋扈などに苦しみ、政権が不安定化している。戦後長く続いてきた民主主義や市場主義、国際協調主義を中核とする国際秩序が、台頭する権威主義国家を前に揺らぎ始めているように見える。

■完璧な統制の下で、「選挙」の形で正統性を演出

まずロシアと中国の「選挙結果」を数字で見てみよう。

3月18日に投票されたロシアの大統領選には8人が立候補した。有権者数は7343万人で、投票率は67.5%だった。数々の不正投票など問題が指摘されているが、プーチン大統領は5620万票を獲得し、得票率は76.7%でほかの候補をまったく寄せつけない圧勝だった。かねてプーチン氏は70%の投票率と70%の得票率を目標に掲げていたが、それをほぼ達成できたようだ。

習近平氏の場合はもっと完璧な勝利だった。今月初めに中国の国会にあたる全国人民代表大会(全人代)が開催された。まず、国家主席の任期を2期(10年)までとしていた規定をなくす憲法改正案が採決され、賛成2958票(99.8%)、反対2票、棄権3票、無効1票で可決された。

その数日後に主な人事についての採決がおこなわれ、習近平国家主席の再任については投票数2970票すべてが賛成で反対や棄権は0票だった。また異例の人事として話題を呼んだ王岐山氏を国家副主席に起用する案も賛成2969票、反対1票という結果だった。習近平氏については国家軍事委員会主席に再任する案も賛成2970票、反対0票だった。

このほか李克強首相の再任、新たに設けられた国家監察委員会主任、最高人民法院院長、最高人民検察院検察長などの人事も採決されたが、反対票は0か1ケタにとどまった。異論を認めない完璧な統制のもとでの投票が行われたことが数字の上でも示されている。

中ロ両国は非民主的政治体制を意味する「権威主義国家」の代表的な国である。そして2人とも民主主義を否定している。習近平主席は「外国の政治制度モデルを機械的に模倣したりするべきでない」(2017年10月18日、中国共産党大会での報告)と語り、プーチン大統領は「他国やその国民に自分の基準や規範を押し付けるのはお門違いで誤りだ。民主主義がよい例だ。外から押し付けようとするのは意味がなく非生産的だ」(『オリバー・ストーン オン プーチン』文芸春秋社)と述べている。

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