高齢者の医療費は原則「3割」に引き上げよ 現役世代の負担を軽くすることこそが重要

東洋経済オンライン / 2018年4月16日 8時0分

75歳以上でも高所得者の窓口負担が1割なのはおかしくないか(写真:しげぱぱ / PIXTA)

もし、年収400万円の人が病気やけがをして病院に行ったとき、その人が69歳以下だと、かかった治療費の「3割」を窓口で払わなければならない。だが、70~74歳だと、治療費の「2割」だけ、また75歳以上だと、「1割」しか払わなくてよい。これがこの国の医療の仕組みである。

たとえば、69歳以下の人が病院の窓口で3000円払うような治療と同じ治療を、75歳以上の人が受けた場合、窓口では1000円払えば済む。

患者の自己負担の割合は、原則として、所得の多寡ではなく年齢で決まっている。69歳以下(厳密にいうと義務教育就学後から)の現役世代の人は、低所得の人でも原則3割負担である。

■団塊世代では夫婦で年金400万円以上も

この医療の自己負担割合に、なぜ今焦点が当たっているのか。それは、今夏に政府が取りまとめることにしている「基本方針(俗称、「骨太方針」)」に向けた議論が始まっているからだ。政府の経済財政諮問会議や財政制度等審議会、与党内の会議などで、具体的な改革策について検討が進められている。

2025年には団塊世代がみな75歳以上となる。団塊世代の中には、受け取る年金だけでも、夫婦で400万円を超える世帯も珍しくない。ちなみに世帯所得が400万円というのは、最近の調査における全年齢層の世帯所得の中央値(真ん中の世帯所得額)が、ほぼこの金額であることに基づく。

仮に今の仕組みのまま2025年を迎えれば、団塊世代の中で、比較的多く所得を得ている夫婦でも、医療費の窓口負担は1割でよい、ということになる。勤労世代の共稼ぎで同程度の世帯所得がある夫婦は、それが3割だというのに、である。

勤労世代と同程度の世帯所得がある高齢者には、勤労世代と同程度の窓口負担を求めるべきだ。そうした意見は、わずかだが、すでに反映されている。わが国の医療には「現役並み所得」という定義があり、現役並み所得以上の収入を得ている高齢者には、勤労世代と同じ3割の窓口負担を求めている。

しかし、その「現役並み所得」という定義が、実に恣意的なのだ。勤労世代と同程度の所得を得ている高齢者、というと、どんなイメージを持つだろうか。普通に考えれば、勤労世代と同程度の課税前収入や手取り所得(可処分所得)、と想像するだろう。ところが、わが国の医療での現役並み所得は、そうではない。

現役並み所得とは、所得税における課税所得が145万円以上の人、という定義になっている。その定義に基づくと、現役並み所得を持つ人の課税前収入は、夫婦2人世帯では、勤労世代では386万円以上、高齢世代では520万円以上となる。”課税所得”では145万円と同額なのに、”課税前収入”となると、勤労世代と高齢世代とで差が出てしまう。この定義に基づくと、前掲の課税前収入が400万円の高齢夫婦世帯だと、現役並み所得未満の収入ということで、医療の窓口負担は1割になる。

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