「鉄道が消えると街は廃れる」はウソだった! 北海道・増毛「廃線で困ったことは何もない」

東洋経済オンライン / 2018年5月17日 7時0分

廃線前のJR留萌本線増毛駅(写真:FootmarQ / PIXTA)

鉄道がなくなると、街は廃れる――。

このところ各地で相次いでいる“鉄道廃止”をめぐる議論やうわさ。今春にはJR三江線が廃止されたし、来年4月1日には北海道のJR石勝線夕張支線(新夕張―夕張)が地図から姿を消す予定だ。ほかにも、廃止の危機が叫ばれる鉄道路線は少なくない。そして、そんな話題になると必ず出てくる声が、冒頭のそれである。はたして鉄道の廃止は、街をどう変えてしまうのだろうか。

■廃線で困ったことは特にない

北海道増毛町。ここには、1年5カ月ほど前まで鉄路が通じていた。しかし、2016年12月にJR留萌本線留萌―増毛間が廃止された今は、鉄道の消えた街。廃線直前には多くの鉄道ファンでにぎわい、運行最終日には増毛駅前の広場で盛大なセレモニーも行われるなどお祭りムードで盛り上がった。増毛駅は高倉健主演の映画『駅 STATION』の舞台のひとつ。いわば、町にとっては重要な観光資源のひとつだ。そんな増毛の町から鉄道が失われて、変化はあったのか。

「いや……正直なところ、何も変わりませんよ」

増毛町の担当者は苦笑い混じりにこう打ち明ける。

「もともと地元の人たちはマイカーか、公共交通機関でも廃止された留萌本線と並行して走っていた沿岸バスを使うケースがほとんど。廃線が日常生活に影響を及ぼして困っているということはありません」

留萌本線の現役時代から、地元の人はほとんど鉄道を使っていなかったというのだ。

地方の鉄道にとって重要な“客”といえば免許を持たない通学の学生たちや病院通いの高齢者たち。しかし、彼らもめったに鉄道を利用することはなかった。確かに、筆者が留萌本線運転最終日に増毛を訪れて取材した際も、地元の人たちは鉄道への郷愁こそ語れども日常的に使っていたという声はあまり聞かれなかった。

「なくなるのは寂しいけどね、乗ったのはずーっと昔。ここ数十年はまったく乗ってなかったね」(地元在住のおばあちゃん)

「実は一度も乗ったことはないんです。学校にはバスで行くし、家族で遊びに行くとなったら札幌まで車で行っちゃうから……」(地元の高校生)

■数十年前から日常の足ではなかった

かくのごとく、増毛の町にとって鉄道はもはや日常の“足”ではなかったのである。さらに、こうした状況になっていたのは最近のことではなく、数十年も昔から。

「30年くらい前だったかな、沿岸バスが通学定期券を値下げしたんです。それで一気に学生たちが鉄道からバスに切り替えた。それからはもうずっと留萌本線はガラガラでした。留萌市内にある高校は駅から遠くて留萌駅から歩けば30分くらいかかるし、ダイヤも増毛の子どもたちの通学には合わなくて朝7時くらいに学校に着いてしまう。だから、直接学校の近くまで行ってくれるバスのほうがありがたいんです」(増毛町担当者)

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