ソニー、不振でもスマホから撤退しないワケ 中計から見えた「2020年代の成長戦略」

東洋経済オンライン / 2018年5月24日 23時10分

2月の社長交代会見における吉田憲一郎社長(右)と平井一夫前社長(撮影:尾形文繁)

ソニーは5月22日、吉田憲一郎氏が社長兼CEOに就任後、初の3カ年計画(2019年3月期〜2011年3月期)を発表した。計画期間中は「営業キャッシュフロー」を最も重視、3年間で金融事業を除いたベースで2兆円以上の営業キャッシュフロー創出を目指すことを明らかにした。

部門別の営業利益目標は、「ゲーム&ネットワークサービス」が1300〜1700億円(今期予想1900億円)、「音楽」が1100〜1300億円(同1120億円)、「映画」が580〜680億円(同420億円)、「イメージング・プロダクツ&ソリューションが850〜1050億円(同750億円)、「ホームエンタテインメント&サウンド」が750〜1050億円(同860億円)、「モバイルコミュニケーション」が200〜300億円(同150億円の赤字)、「半導体」が1600〜2000億円(同1000億円)というものだ。

吉田社長は全体の営業利益計画は開示しなかった。「この3年間は利益成長よりも、事業のリカーリング化(継続的な収益を生み出すビジネスモデル化)によって利益の質を高めることに軸足を置きたい」と語った。

■株価は2日続けて下落

今回の中計は、新体制の元で発表された新プランではあるものだが、これまで平井社長が進めてきた2期6年の中期計画に続く第3期目と位置付けられており、従来路線の継続の色が濃いものだった。

過去最高の業績を挙げた直後でもある。投資家は明確な利益成長戦略を期待していたためか、ソニーの株価は21日の終値5388円から3日続けて下落し、24日の終値は5100円だった。

前社長の平井一夫氏がたどり着いた「感動」をもたらす製品・サービスを作ろうというスローガンは、「ラストワンインチ」という言葉に集約されている。これは、クラウドにアプリケーションの価値が集まる中にあって、最終的に手に触れるモノに価値が生まれるという考え方である。この考え方を徹底することにより、平井前社長はソニーのエレクトロニクス部門を復活させた。

吉田新社長の戦略はこの流れを引き継ぎ、さらに映像・音楽を楽しむ製品を起点にコンテンツ事業へと結びつけ、“事業のリカーリング化”を進めるという。

コンテンツ業界は、音楽についてはCD販売、ダウンロード販売から配信への移行が進み、落ち着いたことで事業性が以前よりも増している。その中で英EMIを買収する計画を発表した。昨年、平井氏は国内の経営指揮を吉田氏に任せ、頻繁に米ソニーピクチャーズに足を運んでいた。

■映画会社も事業の形を変えようとしている

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