「弱い安倍首相」が日本経済にプラスなワケ 「3選後」の安倍政権はこれからどうなるのか

東洋経済オンライン / 2018年9月22日 8時0分

なぜ日本経済には「弱い安倍首相」のほうがプラスなのだろうか(撮影:尾形文繁)

■安倍首相が獲得した党員票55%は「ギリギリの数字」

9月20日の自民党総裁選挙は、「安倍3選」という結果だけ見ると「ノーインパクト」だったが、中身的には「ビッグサプライズ」であった。

すなわち、予想通り安倍晋三首相の続投が決まったことに外国人投資家は安心し、「もうしばらく日本株を買っていいんだな」と好意的に解釈しただろう。しかし永田町は震撼し、「こりゃあ3選後の安倍内閣は大変だぞ」と深刻に受け止めたはずだ。どちらも間違ってはいない。マーケット目線で言えば、「ビッグサプライズだったけどノーインパクト」なのである。 

あらためて今回の投票結果を振り返ってみよう。

2018年の自民党総裁選挙は議員票405票、党員票405票、併せて810票をめぐって行われた。当初、石破茂さん(元幹事長)の目標ラインは200票程度で、それに届かないようなら政治生命が危うい、いや、「敗戦後の石破離党説」まで流れたものだ。

それくらい「安倍1強」体制は強力であって、ひょっとすると再度、党則を変更した上で「安倍4選」を目指すのではないか、という観測まで一部では語られていた。しかし勝負はやってみなければわからない。この選挙結果を見た後では、さすがにもう「安倍4選」を語る人は居なくなるだろう。

    議員票  %   党員票  %   合計
安倍晋三 329  81.2%  224  55.3%  553
石破 茂 73   18.0% 181 44.7%  254
棄権 3   3
合計 405   405   810

今回の石破さんの得票は、目標ラインを大きく超えて254票。特に党員票では181票、実に全体の45%を確保した。逆に安倍さんは党員票でも圧勝するつもりが、そうはならなかった。

選挙戦の終盤になって、安倍陣営の甘利明事務総長が「(2012年の総裁選で石破さんが獲得した)55%は超えたい」と言っていたけれども、安倍さんの党員票はずばり55%の得票率に落ち着いた。現職の首相としては、かろうじてメンツを保てるギリギリの数字と言える。

厳密に言えば、2012年の党員票は各都道府県の「持ち票」を取り合う方式で、アメリカ大統領選挙における選挙人制度みたいであった。それが制度変更となり、今年の党員票は全国を集計した票数をドント式で割り振っている。両者を比較するのは、本当は変なのである。それでも、こういう「意味深」な数字が浮かぶところが長年の伝統というもので、自民党総裁選は今回も独特のバランス感覚を発揮したと言えるだろう。

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