ベンツ新型Aクラス、「話せる」進化の舞台裏 「AI音声認識」を入門車から初導入の狙いとは

東洋経済オンライン / 2018年10月19日 8時40分

メルセデス・ベンツ日本は10月18日、コンパクトカーの新型「Aクラス」を発表・発売した(撮影:今祥雄)

「Hi, Mercedes(ハイ、メルセデス)」

メルセデス・ベンツ日本(MBJ)は10月18日、5年ぶりにフルモデルチェンジしたコンパクトカーの新型「Aクラス」を発表・発売した。最大の目玉は、新開発した対話型の車載システム「MBUX」(メルセデス・ベンツ・ユーザー・エクスペリエンス)だ。人工知能(AI)を活用し、言葉の曖昧なニュアンスをくみ取って自然に近い会話を可能にする音声認識システムを搭載する。音声認識機能は冒頭のキーワードで呼びかければ起動する。

家庭では「アマゾンエコー」や「グーグルホーム」といったAIスピーカーが身近な存在になりつつある。こうした中、車載用に特化した独自開発のシステムを搭載することで、最新の機能に敏感な若い世代を中心に新たな顧客層の取り込みを狙う。

■最新技術を入門モデルに搭載する異例ぶり

1998年に初代が発売されたAクラスは今回のモデルチェンジで4代目。3代目はスポーティなスタイリングが特徴のクルマに生まれ変わり、国内だけで累計4万5000台を売るヒット作となった。4代目にもスポーティなコンセプトは受け継がれ、ウインカー操作で自動的に車線変更する機能など運転支援システムも上級車種であるSクラス並みに充実。車両価格は税込み322万円からで、298万円からだった3代目に比べて上昇した。

「新しい時代を切り開くモデルだ」。MBJの上野金太郎社長は18日に都内で開かれた発表会で、充実の安全支援機能などAクラスの先進性を強調した。特に自社開発の最新技術であるMBUXがエントリーモデルのAクラスから初導入されるのは異例だ。

従来では、最新技術はSクラスなど上位車種のモデルチェンジのタイミングで採用され、徐々に下位モデルに浸透していくのが通例だった。「Aクラスをメインプレイヤーと位置付けているというメッセージ」(MBJのゲルティンガー剛執行役員)という通り、Aクラスがメルセデス・ベンツブランドの新たな顔になりつつある証左とも言える。

MBUXは、話しかけるだけで直感的な操作ができるAIアシスタントが中核だ。システムには米国の半導体大手エヌビディアのAI向け半導体技術のほか、米ニュアンス・コミュニケーションズによる自然言語の音声認識技術が採用されている。

従来の音声認識は「レストランを探して」「室温を1度上げて」といった一定の定型コマンドに反応するだけだったが、MBUXでは「お腹が空いた」「寒いよ」と言うだけでその意図をくみ取って反応してくれるのが特長。AIによる学習能力も備え、新しい流行語や俗語なども学んで進化していく。

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