トランプ大統領の「本当の敵」は中国ではない 今後のマーケットの鍵を握る重要人物とは?

東洋経済オンライン / 2018年11月9日 8時0分

個人的にはこの解任劇は衝撃的だった。政権の行く末に暗雲が立ち込める予感がする。そもそも上院議員から政権入りするのは格落ちだ。トランプ大統領に請われ、上院議員を辞め、あえて司法長官に転じたセッションズ氏。彼をトランプ大統領がどう扱うかは、彼の仲間だった今の共和党上院の面々が見守っている。トランプ大統領がこの行動に出たのは、中間選挙で共和党議員の勝利に、自分が貢献したとの自信の表れだろう。

だが個人的には、これから本番を迎える国内外の反トランプ勢力との一騎打ちで、このトランプ大統領の「共和党は俺のモノになった」的な態度や自信がどう影響するかを注視したい。

■本当の敵はアメリカ国内にいる

中国やイラン、ロシアなどの「外敵」よりも、国内の敵との闘いがより深刻になるのはアメリカの宿命である(未だに南北戦争がアメリカ史上最多の戦死者数を出したのだから)。そんな中、直近の一連の中東スキャンダルでトランプ大統領が必死で守ってきたのは娘婿のジャレッド・クシュナー氏の可能性が高い。

トランプ大統領本人とロシアや中東とのビジネスは古い。大統領自身がそんな古いスキャンダルを恐れることはないだろう。だがクシュナー氏の不動産ビジネスはまだ新しく、中には今も続いているとされる案件も取りざたされる。

今、反トランプ陣営が集めている材料の中には、クシュナー氏が政権入りしたことによるレバレッジで利益を得たことを疑われる案件だ。モラー特別検察官は、ロシアゲートを切り口に、そのあたりの実態をあぶりだすことで、最終的には、トランプ大統領が「国益よりもファミリービジネスを優先させた」という印象を揃え、それで大統領を弾劾に持ち込む意図が感じられる(国家反逆罪)。

実は、そのパターンはあのウオーターゲートという前例がある。リチャード・ニクソン大統領を辞任に追い込んだウオーターゲート事件は、元々は侵入罪という軽犯罪だった。メディアと民主党はこの軽犯罪を執拗に追及した。

この時、イエール大学院を出たばかりの若きヒラリー・クリントン氏がそのスタッフにいたのだが、追及に業を煮やしたニクソン大統領は、大統領権限で特別検察官を罷免してしまった。そしてそれを機に、事態は軽犯罪から、大統領による司法妨害へと発展した。

ただし、最終的にニクソン大統領に引導を渡したのは、仲間のはずの当時の共和党上院議員たちだったのである。ニクソン大統領が行った数々のリベラル政策は、金融を本業とする筆者としては評価されるべきものと考えるが(金本位制の中止、米ドルを基軸通貨として機能させる「ペトロダラーシステム」の構築 、中国との国交など)、当時の共和党保守派には、これらの政策はゆるせなかった。

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