リニア新幹線、工事順調でも残る「最大難所」 品川近くの建設は進むが、静岡は今も協議中

東洋経済オンライン / 2018年12月10日 8時0分

建設が進むリニア中央新幹線の北品川非常口は直径が40mにもなる。JR東海が11月28日に報道向けに公開した(撮影:尾形文繁)

JR東海道線の新橋―横浜間は、日本初の鉄道路線である。そして東海道新幹線は言わずと知れた日本初の新幹線。2つの”初”路線は品川から横浜方面に出発するとしばらく並走するが、目黒川の手前で二手に分かれる。東京都品川区北品川4丁目、東海道線と東海道新幹線の線路に挟まれた付近にリニア中央新幹線の北品川非常口が建設中だ。品川―名古屋間の2027年開業に向け、工事は着々と進んでいる。

11月28日、この非常口が報道陣に公開された。現場では、直径40mの巨大な穴が大きく口を開けている。深さ約90m。25~30階建てのビルに匹敵する高さだ。

「2つの“日本初”に挟まれて、リニアの路線ができます」と、工事を担当するJR東海(東海旅客鉄道)中央新幹線建設部の吉岡直行担当部長が笑う。むろん、リニアも完成すれば日本初だ。

■巨大な穴にシールドマシンを搬入する

それにしても直径40mという非常口はずいぶん大きいように思われる。北海道新幹線が走る青函トンネルで非常口として用いられている地下と地上をつなぐ斜坑は、ケーブルカー用の線路と階段が設置されている程度の直径しかない。

「リニアのトンネルを掘削するための機材を搬入するためには、これくらい大きな穴が必要になります」と吉岡部長が教えてくれた。

東海道新幹線と違い、リニアは品川―名古屋間286kmの9割が地下区間だ。品川、大田、世田谷の各区内は地下40m以上という大深度地下を走行し、この北品川付近では地下83mという深い場所を走る。

都市部のトンネル工事では「シールドマシン」と呼ばれる筒状の機械が、前方の土砂を削り取り、ベルトコンベアで土砂を後方に運ぶ。堀った部分が崩れてこないように、掘る作業と並行して壁で覆っていく。そのため、掘削工事に先立ち、シールドマシンなどの機材を搬入する立坑が約5km間隔で設置される。トンネル完成後、この立坑は非常口に加え、トンネル内の換気や異常時の乗客避難、保守作業時の出入り口として使われる。

地表から地下深くまでエレベーターで降りた。ぽっかりと空いた円形の穴から青空が見える。外壁には「0」「180」という数字が書かれており、0は品川方面、180は名古屋方面である。

今後掘り進めるトンネルは品川方面から名古屋方面に向って下っていく。斜度は40パーミル。1km進むごとに40mの高低差が生じる。東海道新幹線1編成を例にとれば、先頭と最後尾で16mの高低差が生じる計算だ。新幹線で最も急勾配とされる九州新幹線でも35パーミル。鉄輪の斜度の限界を超えられる理由は、磁気を利用して動くリニアだからこそだ。

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