任期中実現に黄信号、安倍改憲に「断念宣言」 政権の政治的遺産づくりは「日ロ」へシフト

東洋経済オンライン / 2018年12月12日 8時0分

12月1日、アルゼンチンのブエノスアイレスで会談前に握手する安倍晋三首相とロシアのプーチン大統領(写真:共同通信)

盛り場にジングルベルが鳴り響く年の瀬、与野党対立で混乱した臨時国会が10日、会期を延長せずに閉幕した。土壇場までもめた改正出入国管理法をはじめ生活関連の重要法案が軒並み成立した一方、安倍晋三首相が強い思い入れで自民党に指示した憲法改正のための自民党改憲案の国会提示は、年明けの通常国会以降に持ち越した。

この結果、首相が狙う通常国会での改憲発議の可能性は消え、首相が公約した「2020年の新憲法施行」も困難になったとみられている。

首相の悲願達成へ落とし穴となったのは、皮肉にも自民党総裁選3選後の党・内閣人事で首相が敷いた「改憲シフト」だった。首相は、与野党の改憲協議の舞台となる衆参両院憲法審査会を動かすため、要所に最側近を配置した。それが立憲民主党など主要野党の反発を呼び、側近の失言も追い打ちとなって「臨時国会での改憲戦略の誤算」(自民国対)につながった。

■改憲発議の「断念宣言」

首相は臨時国会会期末の10日夕、首相官邸で記者会見した。その中で、改憲に関して首相が昨年5月3日の憲法記念日に「2020年を新憲法が施行される年にしたい」と表明したことを問われると、「今もその気持ちに変わりはない」と述べた。その一方、国会での改憲発議など施行までの段取りについては「国会次第だ。予断を持つことはできない」と踏み込んだ発言を避けた。

さらに、「最終的に決めるのは国民の皆様だという意識を強く持つべきだ」と指摘したうえで、「まずは具体的な改正案が示され、国民的な議論が深められることが肝要で、与野党といった政治的立場を超えて、できるだけ幅広い合意が得られることを期待している」と淡々とした表情で語った。永田町では「衆参両院での改憲勢力3分の2を背景とした次期通常国会での改憲発議の”断念宣言”」(自民幹部)との受け止めが大勢だ。

これに先立って衆院憲法審査会は10日、臨時国会での初会合を開き、改憲に関する国民投票法改正案の継続審議を決めた。自民党改憲案の国会提示は見送り、短時間で散会した。

自民党は首相の意向を受け、審査会での党改憲案提示を目指してきたが、改正出入国管理法の審議での与野党が激しく対立。審査会の森英介会長(自民)が審査会開催を強行して主要野党が猛反発したこともあり、最終的に臨時国会での提示断念を余儀なくされた。

首相は9月の自民党総裁選で3選を果たすと、党総裁として臨時国会での自民党改憲案提示に改めて強い意欲を示した。その上で、10月2日に断行した党・内閣人事では同党の憲法関係の陣容も一新し、党改憲案の取りまとめを指揮する憲法改正推進本部長に下村博文元文科相、同案を党議決定する総務会トップの総務会長に加藤勝信前厚生労働相を起用。衆院憲法審査会の与党筆頭幹事には新藤義孝元総務相を充てた。3氏とも首相の最側近の有力議員で、党内では「中央突破の布陣」(細田派幹部)との見方が広がった。

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