2019年米中貿易戦争はどう展開していくのか トランプ大統領と共和党では目的にズレも

東洋経済オンライン / 2019年1月17日 7時40分

IMF(国際通貨基金)は2018年10月発行の「世界経済見通し」で米中両国の2019年GDP成長率を前回予想より0.2%いずれも下方修正した。通商政策の不確実性の高まりによる株価下落などは、消費者や企業のマインドを悪化させ、消費や投資にも響き、アメリカ経済にも悪影響を及ぼす。さらには中国経済の減速が、中国市場で販売を手がけるアメリカ企業の業績悪化をもたらし始めている。

つまり、米中貿易摩擦は現在、「囚人のジレンマ」に陥っている。アメリカと中国はいずれも追加関税を発動しない貿易関係が自国経済にとって最も望ましい。だが、アメリカは中国の不公正貿易慣行を問題視し、追加関税を発動。そして中国もそれに対抗し追加関税を発動し、米中の追加関税の応酬は最終的に両国経済に悪影響を拡大していくことになる。

アメリカ産業界そして経済への悪影響が顕著に表れたのが、新年早々に起きた「アップルショック」だ。アップルが2019年第1四半期の業績見通しを6~10%下方修正したことに加え、2018年12月の米ISM製造業景況指数の大幅低下の発表も相まって、2019年1月3日のダウ平均株価は約3%下落した。アップルのティム・クック最高経営責任者(CEO)は、下方修正の理由として同社の売上高の約2割を占める中国の景気減速を挙げ、その要因に米中貿易摩擦も指摘した。

さらに投資家の景況感を悪化させたのが、ホワイトハウスのケビン・ハセット米大統領経済諮問委員会(CEA)委員長の、米中貿易摩擦による業績の下方修正はアップルにとどまらない、との発言だ。自らの発言が株価下落に追い打ちをかけたのを受け、同委員長は後日、その影響は限定的であると発言をやや訂正した。

だが、同委員長が当初発言したとおり、アップルは氷山の一角であり、中国で事業展開するほかのアメリカ企業にも大いに影響が及ぶ可能性が高い。アップル以外にもすでに中国経済の業績への影響懸念を明らかにしているのがスターバックス、フェデックスなどだ。そのほかにも各社の中国ビジネスの規模から、大手企業ではキャタピラー、ボーイングなどの株価が下落した。

■サムスンの二の舞になるリスク

まだその可能性は低いが、今後、中国市場におけるアメリカ企業に生じるさらなるリスクは、中国国民によるアメリカ製品のボイコットだ。

カウンターポイントリサーチ社調査によると、約5年前、サムスンは中国スマホ市場で15%以上の市場占有率でトップシェアを維持していた。だが、その後、低価格のファーウェイに市場を奪われ急激に市場シェアを失った。それにとどめを刺したのが、2017年、在韓米軍の高高度ミサイル防衛システム(THAAD)配備だ。中国国営メディアの呼びかけもあり、中国では配備地を提供した系列会社を抱えるロッテに加え、サムスンなど韓国製品のボイコットが起きた。今日、中国スマホ市場におけるサムスンの市場占有率は1%にも満たない。

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