総合商社丸紅、電力出身の社長へ4月に交代 失敗経験生かし、商品軸の縦割り組織を変革

東洋経済オンライン / 2019年1月17日 19時0分

社長交代について記者会見する柿木次期社長(右)と國分社長(記者撮影)

「覚悟はできているんだろうな?」

総合商社5 位、丸紅の國分文也社長は1月7日の朝、柿木真澄(かきのき・ますみ)副社長にそう告げた。國分社長の後任として新社長になってほしいという打診だった。1月15日に開催した取締役会で柿木氏を社長とする人事案を正式決定し、4月1日から柿木社長、國分会長という経営体制がスタートする。

■財務健全性は大きく改善した

2013年に社長に就任した國分氏は、財務体質強化に追われた。高値づかみとなった米穀物大手ガビロン買収などがあだとなって丸紅の財務体質が傷んでいたからだ。財務の健全性を示す負債資本倍率は2013年3月末時点の1.5倍から2019年3月末には0.9倍になる見通しと大きく改善した。

國分社長は社長在任期間を振り返って「(功績と呼べるような)大きなものはない」としつつ、「ただ5年、10年先を目指す上でのボトムラインはできた」と変革への備えを進めたと話した。

後任の柿木氏は1980年3月に東大法学部卒業後、丸紅に入社。現在、丸紅の収益柱の1つとなっている電力事業に携わり、2016年4月からは電力・プラントグループCEOとして電力事業を牽引してきた。

中心となっているのはIPP(独立系発電事業者)といわれるビジネスモデルだ。長期の売電契約に基づいて運営する発電所で発電した電力を売電するものだ。

電力事業は丸紅の2019年3月期の純利益の見通し2300億円のうちの約2割を占める。国内と海外23カ国で発電事業を行っており、持分発電容量は1221万9000キロワットと中国電力を超える水準だ。

15日に開いた交代会見で柿木氏は丸紅の抱える課題としてこれまでの商品を基軸にした縦割りの組織体制を超える必要性を「1番の問題」と分析。「社長のリーダーシップのもと打ち破る」と強調した。こうした組織改革の必要性に迫られているのはどの総合商社も共通だ。丸紅がどのような形で進化を図るのかにも注目が集まる。

■10年後には事業がなくなってしまう

國分社長は柿木氏が後任としてふさわしい理由として実績やリーダーシップに加えて3つの要素があると説明した。1つ目は成功だけでなく失敗した経験があることだ。手掛けた中東の発電所案件ではパートナー企業が倒産。「会社に行きたくない」(柿木氏)ほど苦しい状況を同僚たちと乗り越えた経験を持つ。2つ目は柿木氏が落ち着いた性格で環境変化が激しい中にあっても冷静に判断を下せること。3つ目として、人と群れず、孤独に強いことを挙げた。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング